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51話~60話

第51話 まねは本物

「首吊りのまねをしていたら、本物の首吊り自殺になったそうよ」
「そんな事が本当にあるだろうかね」
「事実だよ。今朝の新聞にのっているよ」
「それじゃ私、これから金持ちのお嬢さんの真似をして、厚化粧にきれいな着物を着てお琴でも弾こうかしら。本物の金持ちになるのじゃないかしら」

第52話 直前か直後か

「また便所の電灯を消し忘れている。最後にいったひとは誰かね」
「最後にいったひとが悪いのじゃないよ。直前にいったひとが消し忘れたのだろう」
「直前の人ねえ。最後の人とは大きな違いだが、はてどっちかなあ」
「そりゃあ、直前の人ぢゃ」
「そう言えば直前の人のようでもあるが、最後の人のようでもあるなあ」

第53話 杯数で数えた

「あれだけ沢山あった餅を、よう食うたもんじゃ。お前は何ぼ食ったか」
「6つだよ」
「お前は」
「8つよ」
「お前は」
「わからんよ」
「おぼえん程沢山食ったのか」
「そうじゃねえよ。わしはひとつづつは数えんで、へえ(杯数)で数えたんだ」

第54話 そっちの半分が大きいようだ

こすったれ婆さんじゃ、油揚げを買っても半分しか買わない。それがいつものこと
「婆さん、油揚げは半分だろ。仕方がないあげましょう」
程よく半分に切って渡したが婆さん、油揚げを持ったまま動かない。そして何かを見据えている」
「婆さん、まだ買いたいものがあるかね」
「そうじゃねえ…そっちの半分の方が何ぼか太うはねえかな」

第55話 豆の値はなんぼに決めた

「目出度くすみ酒もすんだので、結い納金のことですが○○○ではどんなものでしょうか」
「結構です」
と承知したものの、後で家族と検討した結果、増額してもらうことになり仲人さんに頼んだ。
「結納は決めてありましたが○○○に増額してくれ」
と言うのですが…
これを聞いた親爺さんさすがに八百屋
「そりゅうすごい豆の値上がりだなあ」

その後、この地方では「娘を嫁にやるそうだが、豆の値は何ぼにきめたかな」と言うようになった。

第56話 拾ったのは夢、小便は本物

「昨夜は50円貨を拾うた夢を見て大失敗だ」
「夢でも拾うたらいいじゃないか。夢が覚めて、もともとじゃ」
「いや、拾うと思ったら人が来ているじゃないか。しゃがんで小便をする真似をして拾ったんだ」
「なるほど、うまくやったじゃねえか」
「それがうまくねえんだよ。50円は夢だったが、小便は寝床の中で本物だったからなあ」

第57話 これは普段頭ですよ

「おい、よそに行ったら、ごめんくださいと言って入るのじゃ、忘れるな」
「わかったわかった」
と返事はしたものの忘れそう…一生懸命である。
「御免ください」
と張り切っての大声はよかったが、無我夢中のため、小繰戸で頭をゴツン。
「あー痛あー」
この家の奥さんビックリして出てきた。
「痛かったねえ。大事な頭を打って…どうしよう」
「何、これはふだん頭ですよ、うちに帰ればまだ何ぼでもある」

第58話 海にも親子があるかな

わが子を肩車に乗せて散歩しているうち、大池の堤にでた
「どうだ大きい池だろう」
「おっとん、海はこれよりも大きいかな」
「そりゃあそうよ。親子程違うんだ」
「海でもやっぱり親子があるかな」
「きまっちょるじゃねえか、浄瑠璃の中にうみの父上母様は、とあるじゃろがや」

第59話 もういっぺん喧嘩をやるか

「夫婦喧嘩は犬も食わん」
と言うから、知らん事にしようと思ったが、あまりにも激しい。
酒に目のないあいつだから一本持って行こう
「おい、夫婦喧嘩は止めて、仲直りにこれでも飲んでくれ」
と、二合かんびん一本置いて帰って行った。
そのあとで主人は
「二合の酒じゃ、わしには足らんよ、もういっぺん喧嘩を始めようじゃないか」

第60話 今度と又で二度参る

「君、お宇佐に参ったと言うじゃないか」
「参ったよ、それはそれは立派だね」
「君はお宇佐に初めて参ったんかね」
「そう言う君は、参った事があるか」
「お宇佐ならねえ、今度参って、又参れば二度参ることになるよ」
というのは児童作文を読んでの実話

 

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