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11話~20話

第11話 ボンプンネーカープン

幼子を抱いた上品な奥さん、人中で、うかつにも屁を取り落とした。
顔を真っ赤に染めながらも、屁の主をこの子にすれば、罪はない。
自分も恥じることはないと思ったらしい
「坊はまあー プンを出して…笑われるよ」
「ボン プン ネー カープン」

第12話 カタカッポの寺参り

お寺参りをしようとする娘に
母は、
「雨が降りそうだから高下駄がいいよ」
父は、
「雨が降るもんか、草履でよい」
親夫婦は口論に発展したが、どちらも一歩も退かない。
これを見た孝行娘
「お寺参りを止めようか」
と思ったが、それでは仏さんにすまないので
「ご両親、けんかはおよしよ、これならいいでしょう」
と言いながら、右の足に高下駄、左の足に草履をはいて、高くなり低くなりして家を出た。

第13話 黒いなー長いなあー

中年過ぎたおばさんが、天気が良いので織機(おりはた)を外庭に出して織りはじめた。
織る事に夢中になり、裾の乱れも仏の出ていることも気づかない。
そこに同年輩のおぢさんが立ち寄って来たが、裾はすぐに目に止まった。
「出しちょるなあ」
「お天気がいいきまい」
「黒いなあ」
「三銭染ぢゃら」
「長ぇなあ」
「二反続きになるとなあ」

第14話 手を放すと顔にかかる

「子どもと言うもんはなー小便をする時は、着物をまくり上げるだけで、手放しでやるもんだ。見っとも無いから手を放せ」
「でもなー」
「でもなあー それがどうしたのか」
「手を離すと顔にかかるよ」

第15話 名和勘助

馬車挽(ひ)きが馬の口もとを放して馬車に乗っていると、突然巡査が現れた。
急いで馬車からおり口もとを握ったが間に合わない。
「お前三回目だ、もう許さん、名を言え」
「名は勘助」
「姓も名も言うのだ」
「名は勘助」
「名前だけじゃない姓も言え」
「名は勘助」
「姓はないのか」
「あります」
「それなら一緒に言え」
「名は勘助」

第16話 おかいこがおしっこ

田舎百姓から出てきた下女だから方言丸出し。
その一日目である。
「奥さん、こん子は、くすう、たれかぶっちょる」
「まあー何と言うげさくな言葉だろうねー、これから、もっと上品な言葉を使いなさい」
「ハーイ」
第ニ日目である。上品な言葉使いに一生懸命、
「奥様、おかいこが、おしっこですよ」

第17話 職はお仏飯

徴兵検査である。検査官は知恵足らずとも知らず
「住所を言え」
何のことかわからんので、ポカンとしている。
「この男、無学低能だな」
「どこに住んで居るのかというのぢゃ」
「堂山ん(小字名)東」
「職は何だ」
しょくなら知っている。食うことだ。
この間御院家さんがくれた銀飯のことを言えばいいだろう、と自信満々の大声で
「おっぱん(御仏飯)です」

第18話 宿は赤犬が寝ちょった

お婆さんが京参りして御見物。買い物をしていると友達を見失った。
宿に帰りたいが見当もつかない。
しょぼんとして交番に行き
「巡査さん、わしの泊まっている宿はどこですか」
「何町の何という宿屋ですか」
「そげなんこつう、知るもんか」
「何か目印があるだろう」
「そうそう、宿を出る時、玄関脇に赤犬が寝ちょった」

第19話 鉄輪で六郎東風

大字久路土の人は、その東にある、六郎部落から吹いてくる風を、六郎東風(ごち)と言って雨の予報にしている。
鉄輪温泉で一行が諸々を見物している時、
「明日もお天気ならいいがなあ」
「そげちこ、けんどあしたー(明日)雨どな」
「テレビが雨ちゅうたかな」
「テレビは見らんけんど、六郎東風(ごち)が吹きよるじゃねえかな」

第20話 この親不幸者

姑婆さんと若夫婦が激しい口論、その果てに
「お前達が、そんなにわしが邪魔なら、首をくくって死ぬるが、それでもいいか」
と、言いながら庭の木の枝に帯を引っ掛けて、両手で持ち、若夫婦をにらむようにして振り返った。
若夫婦にして見れば、婆さんの死にきらん事は見抜いている。
「死んだ方がよければ、どうぞご自由に」
「親の死ぬのを見て止めぬやつがあるか、この親不孝者め」

 

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