トップ > 市政 > 令和4年度市長の部屋

市長1

 

市長2

  後藤 元秀 市長

 

市長行事

交際費

ご意見

市長の部屋 令和5年3月号

「台湾の大学生が次々にやってくる街に」
「サテライトキャンパス構想」

 台湾からの大学生を受け入れて豊前市内の企業で研修したり、豊前の伝統文化を体験したりすることで卒業単位が取得できるサテライトキャンパス構想が、昨年の台湾の大学関係者の豊前市入り、市からの訪台を経て今春から大きな一歩を踏み出す見通しです。

 台湾の台北駐福岡経済文化弁事処の仲介で一昨年、MOU(サテライトキャンパス推進の覚書)を結んだ中華民国私立科学技術大学校院協進会(66校加盟)に続き、マスコミ界に多くの人材を送り込んでいる台北にある世新大学とも2月6日付でMOUを締結しました。

 協進会加盟の大学は1週間から10日間の日程で短期の豊前市遊学としてスタートすることになりますが、世新大学からは5か月間という長期の学生も受け入れることになる見込みです。

 豊前にも視察に来た協進会代表校の龍華科技大学はこの春にも学生を送り込む方針です。TSMCの拠点の都市にある明新科技大学も関係職員、学生を派遣する経費約500万円を予算化したと聞きました。他にも、日本語を専攻している学生を送るなど、協進会66校から1人ずつ、66人がやってくるかも、です。協進会ではありませんが67番目の世新大学は長期留学となります。
 そこで問題となるのが、この学生さんたちにどんな企業が、どんな研修体験をさせていただけるのか。指導体制は整うのか。神楽など伝統的な文化を学ぶにはどうやればいいのか。これから本格的に受け皿づくりが急務です。最初は小さくスタートして、場を踏みながら大きく育てていくしかありません。安全に安心して豊前学を修了できるように取り組まねばなりません。
 市での体験が素敵なものになれば、学生が次々にやってくる街になれるはずです。「豊前は面白い、勉強できる、学べる」という輪が広がれば、学生だけでなく友だちや家族にも広がって行きます。台湾の観光客がたくさん来てくれる豊前、日本ではあまり知られていないけど、台湾では人気の豊前になるかもです!

 台湾からの学生を受け入れるだけでなく、台湾に留学する道も開かれます。龍華、明新科技大学では学生寮を完備して留学生を受け入れています。龍華には10人ほど、明新には40人ほどの日本人学生が学んでいます。北京語と英語主体の授業ですから、おのずと2つの言語が取得できることになります。日本語を入れてトリリンガル、3か国語を話せる、分かる人材になれる可能性があるのです。台湾の半導体企業での新卒の年間給与は約500万円。経済活力で元気な台湾。日本の比ではないようです。

 もちろん熊本進出のTSMCや関連企業は日本人社員募集の時には、台湾の大学で学び台湾を知る人材が必ず求められます。龍華、明新科技大学では留学生を受け入れた場合、授業料と寮費は合わせて年間約50万円と聞いています。龍華科技大学の寮を見ましたがきれいな4人部屋で、簡単な朝食もつき自炊も可能でした。

 海外の学生を受け入れ、海外へも学びに出る。そんな国際化。豊前市として「私には関係ない」なのか、「私に何ができるか」で変わります。出会った外国人に笑顔で「こんにちは」と声掛けする。知り合いに、友だちになる。余力があれば自宅での食事に招く。ホームステイで、日本の母に、父になるなど。市国際共生推進室ではみなさんの参加で、台湾からの学生に安心して楽しく過ごしてもらえる環境を整えていきたいと考えています。関心ある方は国際共生推進室までご連絡ください。

市長の部屋 令和5年2月号

「使い捨てカイロ、使い終わったら海に」
「使い捨てカイロの使用後、どうしていますか」という問いに、多くのみなさんは「ゴミ箱にそのまま捨てる」と答えるのではないでしょうか。

 豊前市の場合、捨てられたカイロが焼却施設に運ばれて、他の燃やせるごみと一緒に焼却処分されます。焼却場でカイロは、多額の処理費をかけて処分され金属類を含んだ灰となります。

 カイロの成分は、手元にある普通サイズの重さを計ると43g。この半分以上が純鉄という鉄。ほかに水を含んだ雲母石からつくられた用土や樹脂と活性炭などが中身で、あとは全体を包む不織布です。鉄や石でできているから本当なら「不燃物」として扱わなければならないので、包装には「市区町村の区分」に従って処分を、と記載。全国では豊前市同様に「可燃物扱い」にされているところが多いようです。

 焼却処理されるということは、高温で燃やされて炉底に積もった主灰と大気を汚染する危険性が高いため、排気口で回収する飛灰(フライアッシュ)に金属分は残ります。この飛灰には他の重金属の残渣も含まれている可能性が高いため、処理の特別許可を持った企業などに運ばれ1トン当たり52,580円かけて運搬と処理を委託しています。

 こんなことをしながら、実はいま、海洋では海の鉄不足が大きな問題になっています。海水に含まれる鉄分が不足している、というのです。人間でいえば、血液中の鉄分が不足する貧血です。海水の鉄不足は海の生態系に大きな影響を与えています。「磯焼け」という海底から海藻類が消える現象で、海藻を餌とする魚介が減っています。

 豊前海は瀬戸内海の「海の揺りかご」と呼ばれ、産卵の場であり稚魚、幼魚の育つ海域です。海の生態系の根幹を担っているといえるでしょう。豊前海の海洋環境が良くなること、鉄不足が解消されアカモクやアマモ、ワカメなどの藻場が元気になることで魚が増えて、結果として海洋生物のおいしいたんぱく質を求める消費者の健康を守り、漁師さんたちの暮らしが良くなることにつながります。

 となると、私たちが使っているカイロを海で利用できないか。高いお金を払って焼却処分するのがいいか、海で利用し海洋環境を健全にして、おいしい魚と活性化する漁村を目指すのがいいか、です。

 もちろん、海に戻したほうがいいに決まっています。ただ、海に戻すには安全性を確保するために海上保安部などが認める必要がありそうです。県の豊前海などの研究所などと、何より漁協漁民のみなさんの理解と協力が必要です。

 こんなことが解決してもカイロを使う市民のみなさんが、自分のこととして考え、行動する「住民参加型」の運動にならなければ成功しません。例えば、市内の量販店に回収の場を設置させていただいたり、小・中学生が学校で集めたり、老人クラブのみなさんが公民館まで運んで集積するなど。「鉄は熱いうちに打て」といわれます。春が来てカイロがいらなくなり、忘れ去られることがないように、実現できたらいいですね。

新年の挨拶 令和5年1月号

「卯の年 夢を語って実現しましょう」

 新しい卯の年が明けました。市民のみなさまが健康で、明るい年明けを迎えられたと念じながら、お慶び、お祝い申し上げます。昨年は、大富神社の感応楽がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど市の歴史に残る出来事がありました。とは言え、新型コロナ・変異ウイルスの勢いは収まりを見せず、インフルエンザへの不安、また物価高は財布と頭を悩ませています。こんなに険しく立ちはだかる山を、明るい時代をつくる夢を抱えて兎のようにぴょんと乗り越える年にしたいものです。

 そんな明るい夢を描きたくなるのですが、最大の関門は人口減少です。国もようやく新年度からこども家庭庁を新設して省庁の壁を取り除いた「子ども中心の体制」を整備。地方で急速に進む少子化にストップをかけようとしています。この動きに併せて市も執行体制を見直します。

 その最大事業が、市教委を中心に進めている小中学校の再編です。市民のみなさんの意見を聞きながら丁寧に進めてきましたが、いよいよ大詰めです。新しい統合中学校と2校の小学校。そして義務教育学校への再編。議会でも、少子化が加速するなかで「将来をにらみながら地域の意見を聞き、しっかり取り組むように」と意見をいただいています。人口減少の中で「移り住んででも行きたくなる」学校に。デジタル化したICT教育や英語教育を「先取りする」気構えで、選ばれる最先端教育環境を目指します。

 再編の影響は学校だけでなく、地域にも及びます。地域と子どもたちの距離が広がり、疎遠にならないように、道路などの環境整備を含めて取り組んでいきます。また、スクールバスの増強と経費負担増。カーボンニュートラル宣言した豊前市としてふさわしい整備にしなければなりません。例えば、EVバス導入の場合に、空いている市の施設空間の活用。特に、ため池の湖面発電の可能性などを追求したいものです。

 将来、子どもたちが主役の時代に向けて「循環型社会」への取組が大切です。無駄にしている資源はないか。昔からスローガンとして耳に残る「ゴミを資源に」です。ごみ処分にかけている経費を、資源に変える、資産に変える。例えば、12月議会でも答弁しましたが、し尿汚泥の肥料への転換。費用はかかりますが、循環型社会への一歩と農家も喜ぶ一石二鳥です。電気エネルギーが必需の時代は、電力を生み出せる自然環境を持った「田舎」の出番です。お金をかけずに民間の力もお願いしながら知恵を絞ります。

 民間といえば、豊前市の観光協会が頑張ってくれています。国の地方創生事業を巧みに活用しながら企業版ふるさと納税を率先して取り込み、宇島駅前、求菩提山を拠点に人が活躍、交流できる「ハレノヒ」プロジェクトがその核事業です。同駅に新しいトイレができ、旧印刷会社跡地が見違えるような交流の場、コワーキングスペース、サテライトオフィスなどに生まれ変わります。ご期待ください。求菩提山周辺では、拠点となる建屋も一部改装できています。キャンプ人気も根強く、サウナのメッカとしても大きな可能性を秘めています。恵まれた自然を最大限に活かすためにも、民間のお力、お知恵を取り込む努力をしなければ、です。

 減り続ける人口ですが、いまの豊前経済を下支えしてくれているのが、外国人の技能実習生です。選挙権こそありませんが税金を納めていただいているれっきとした市民です。それこそ、日本に夢を抱いてやってきてくれています。こんな実習生が、人手不足のなかでこれからも増えていく可能性が高くあります。「来てよかった。住み続けたい」と思ってくれる市にしたいものです。 

 といいますのも、市が掲げているサテライトキャンパス構想が、実は大きく進展してきました。昨年11月に台湾の4つの大学の学長らの来訪があり、年末には尾澤満治市議会議長、豊前市と台湾友好議員連盟郡司掛八千代会長とともに4つの大学へ答礼の形で訪問。早ければ今年から4つの大学が主導する「中華民国私立科技大学校院協進会」(66大学学生数約43万人)から短期間ですが希望する学生が豊前市に滞在しながら学ぶ「キャンパス」がスタートします。台湾の学生さんたちが街中を歩く姿が現実に近くなりました。

 ベトナムとの交流も進展してきました。ベトナムの学生さんたちを迎え入れる態勢をどのように整備するか、となります。夢ですから表に出してもいいか、と思います。できれば、ベトナム人などを受け入れる日本語学校を創れたら、と考えています。こんな構想、夢を語りにベトナム北部、中国との交易の拠点であるランソン省からこの春にも、ベトナム政府も肩入れしてくれている「交流」を深化させるべく、古い友人となっている省政府の要人一行がやってきます。豊前市が国際共生する自治体として大きく踏み出す年になりそうです。

 ベトナムとは、食の方でもつながりを強化したいと思っています。昨夏の訪問で首都ハノイには九州経済連合会会員企業が母体となる九州プロモーションセンターという施設が日本大使館に近い一等地にあります。ここでは表通りに和牛を専門にしたレストランを構えています。その昼食代が1人1万1千円。夕食はもっと高い設定です。この席がなかなか取れず、行列ができます。「大使館も近いし、日本人など外国人向けですね」と聞きましたら「いえいえ、80%以上はベトナム人」と。驚きました。さらに「ベトナムでは霜降りの肉より赤肉が好まれます。シカなどのジビエ肉は垂涎 です」とはもっとびっくり。「豊前のジビエ肉にチャンス」と。市では、国外持ち出しが厳しいジビエ肉の輸出ルートを模索しています。先に明るさが少し見えています。

 1月28日の旧正月近くに、豊前市をホームタウンとするNPO法人九州プロレス(筑前りょう太理事長)が無料のプロレス大会を開いてくれます。豊前市の神楽も見られる、コラボ大会という極めて珍しいシーンが見られます。有り難いですね。

 これまで述べてきました夢物語。お金があれば、もっと壮大な夢を描けもしますが、限られた財源のなかでの夢です。この夢を、あの童話の中の「出足はいいが、途中で眠ってしまいゴールできない」ではないように、市民のみなさまのご協力をいただきながら、実現にむけて全力で取り組みます。みなさまにとっても夢がかなう1年になりますようにお祈りいたします。

市長の部屋 令和4年12月

「コロナと世界に振り回されながら迎えた師走」

 新型コロナの感染が収束を見ないまま、師走のときを迎えました。コロナだけでなく収まる気配のない気候変動、ロシアのウクライナ侵略、ドル高円安が進む経済など世界の激しい動きに振り回されています。

 弱い国や地域では、飢えに苦しみ命を落とす子どもたち、ウクライナで戦火に追われ、命を奪われる姿が伝えられています。生命について、改めて考えさせられる1年でもありました。と、同時に死の背面にある健康に関して、もっと目を向ける必要性を感じています。 

 市として、口腔ケア事業を推進していますが、7年もたつと少しマンネリ化してきているのではないか。歯をきちんとメンテナンスすれば、口の中の衛生環境をきれいに保て、全身の健康につながることが、市民のみなさんにどこまで浸透しているのか。実践していただいている方が増えているのだろうか。気になっています。

 というのも、身近な方から「歯の痛みを我慢していたために、長期入院して大きな手術までしなければならなくなった」との話が届きます。病気に対して、早期に適切な治療を施す。早期に発見して早期に治療する。もっと大事なことは、病気にかからないように心身を健康に保つこと。かかっても未病状態で発病させない、改善することが大切です。

 とくに、自分の心身の衰え(フレイル)を知って対応することが重要です。そのために、一人ひとりが自分のどこが衰え、悪くなっているのかを知って良くなろうと努力する。そうできる手助けが求められます。市が取り組む次なる課題です。

 また、給料や年金が据え置かれているのに、生活物価が上がり続ける。命と暮らしにかかわる物価の急上昇に、ストレスで心が病むのではないか、心配は尽きません。

 こうした高騰する物価対策に、国は地方創生臨時交付金を自治体に配分。市には7,878万2千円が交付されました。市では、これに市単独で3,227万7千円を上積み。県からの補助金を加えて総額1億1,212万4千円を予算化。臨時議会で議決いただき、地域公共交通、社会福祉施設、子育て・保育施設などに細かく支援金を支給します。

 そのほか、燃料代高騰で苦しむ麦の作付け農家に、種子代補助として計552万円。国が非課税世帯に5万円を支給する制度の対象とならない世帯に1万円の物価高騰対策・お買い物エール券を支給します。厳しい年の瀬を少しでも支えることができたら、みなさんの使っていただくお金で、エール券で地域の経済が少しでも活性化できたらと願っています。

 このように、国からの地方創生の交付金は、地域の実情に合わせて「知恵を絞って」使うことになっています。それに加えて、今回は、市単独の財源3,200万円超を上乗せしています。1人当たりではわずかかもしれませんが、市民のみなさんが歳末を少しでも元気に、明るい新年を前向きに迎えていただければと、念じています。

市長の部屋 令和4年11月

「健康保険証、運転免許証がマイナンバーカードと一体化へ」

 マイナンバーカード(以下、マイナカード)の交付率は、豊前市が10月9日時点で63.56%と福岡県内のトップにいます。これは、市民のみなさまのご理解と行動、担当職員の「県内1位を」という志の高さのおかげです。また、手続き推進に特別の費用をかけず、早期に新型コロナワクチンの接種会場での申込受付コーナーを設置するなど他の自治体にない工夫を凝らした結果でもあります。そして、市民のみなさまのご協力と、関係者の努力が認められ、総務省の広報誌で紹介される予定と聞いています。国が注目しています。

 このマイナカードが、令和3年10月から健康保険証として使うことができるようになりました。市内では16の医療機関、薬局で使えるようになっていますが、カード読み取り機がある医療機関、薬局が少ないために広がりに欠けています。ただ、令和5年3月末までに政府は医療機関や薬局にカード読み取り機を投入して、河野太郎大臣は再来年秋に「これまでの健康保険証を廃止してマイナカードに切り替える」と言明しました。

 このことは、私が所属する市町村長グループの勉強会に講師としてオンライン出席した河野大臣が、「厚生労働大臣をねじ伏せてでも(私の記憶)」説得して実行すると予告。1か月も経たないうちの今回の発言です。やりますね、河野大臣。

 これによって、医療事務がスピードアップされ、正確性の確保が期待できます。また、個人情報が守られることを前提に、多人数のケースから読み取れる医療データを活用して、治療や予防の改善改良に結び付けていくことなどが予測できます。また、将来的には健康維持や増進に活かせる個人レベルの生涯カルテもつくられる可能性があります。デジタル化による副次効果です

 このように、これまで当たり前だと思ってきた、思わされてきた暮らしの環境が最新の機器を使って大きく変わってきます。個人的なベースとなるマイナカードを所持することになりますが、便利で速く動く場面には、対応できない人たちが出てきます。ここをどのようにサポートするのか、行政の責務です。

 また、マイナカード内の情報は氏名、住所、生年月日などに限られ、個人の疾病、健康情報などは安全対策した専用サイトにつなぐ必要があるため、守るべき個人情報は担保されるなど、市が市民のみなさんに分かりやすく説明する努めが出てきます。    

 さらに、詐欺などの事件、被害者の発生が予想されます。このようなことが起きないように行政として安全な使い方などの普及も重要な役目になります。

 マイナカードが、広く使われるようになると、他の分野も大きく変わってきます。再来年度末としていた運転免許証との一体化も前倒しすると河野大臣は表明しました。「私は今のままでいい」「勝手にやっておくれ」ではなく、まずマイナカードを持ち、携帯電話のスマホをだれもが使いこなせるようにならなければならなようです。

 大変ですが、まだ、マイナカード未申請の方、スマホをお持ちでない方にお伝えします。この変化をとらえて自分の暮らしをより安全で、より良い、便利で、楽しいものに変えていきましょう。みなさんが「近未来のデジタル社会」に参加できるように、市役所も頑張ります。

市長の部屋 令和4年10月

「少しですが、健全化している市財政」

 9月議会は「決算議会」。感染拡大がずっと続いたコロナ禍の厳しい経済環境下、伴って疲弊する地元の経済であり、厳しさに包まれた令和3年度の一般会計は、令和2年度が国のコロナ対策で1人10万円の給付金支給などがあったことから歳入(136億8500万円余)歳出(132億200万円余)とも10%前後のマイナスとなりましたが、繰り越し財源3980万円余、実質収支は4億4300万円余となっています。

 歳入では、市税32億6900万円余(対前年1%プラス)、寄附金は、ふるさと納税関係2億2400万円余(同12.9%プラス)です。ふるさと納税は個人、企業版と分かれていますが、もっと増やさなければなりません。先月号でも申し上げましたが、市民のみなさまのご協力(市外の親戚、お知り合いや企業へのお声かけ)をお願いいたします。

 この他の歳入は、地方交付税(36億2500万円余)や地方消費税交付金(6億400万円余)、国庫支出金(28億6400万円余)、県支出金(12億2400万円余)、市債8億3300万円余などです。

 歳出では、住民税非課税世帯への臨時特別給付金や子育て世帯への臨時特別給付金の扶助費36億6200万円余、公共事業など投資的経費12億3300万円余で、ほかに新型コロナウイルス感染症関連補助金を含めた補助費等15億5300万円余となりました。

 明るさは見えませんが、厳しいと言われ続けるなかで、主な財政指標である財政力指数は0.53と、前年(0.54)とほぼ同程度。歳出に占める人件費や扶助費、借金返済など経常的な経費が市税や交付金など経常的な歳入に占める割合である経常収支比率は91.7%と、前年(96.7%)、2年前(99.2%)に比べて大きく改善。市の借金である市債は、過去最大で137億円ほどあったものが、94億円余まで下げることができました。

 今回は市財政で使う専門用語が並び、また、桁が大きくなじみのない金額で「読んでいてもわからない」「数字ばかりで難しい」と感じられた方も多かったと存じます。ですが、財政の現状をお伝えしないと、財政面から市が目指す方向をお知らせすることも大切だと、判断しています。

 財政健全化の旗を掲げ、行財政改革推進プランを地道に取り組んできた市役所は「いつもお金がないと言うばかり」と、議会や市民のみなさまからは指摘され続けてきたのですが、上記のように少しですが健全化している市財政です。このような努力は、気を抜くと、いつの間にか後世につけを遺し、可能性を奪うことになりかねません。

 しかし、ケチるだけでなく、やるべき時には断固やる、果敢に取り組む。これも絶対です。目の前に動いている学校再編問題。これが実現の方向に決まれば、多額の資金が必要となります。この投資も財政面での体力がなければ踏み込めません。統合中学校と義務教育学校の建設、八屋中と千束中学校の小学校への改築など数十億円の予算が見込まれそうです。子どもたちの将来のために、今できる最善の教育環境を整備することが必須です。このために「ケチな市役所」であるのです。

市長の部屋 令和4年9月

「ふるさと納税を豊前市に」「みなさんの働きかけをお願いします」

 ふるさと納税ってよく耳にする言葉だと思います。とくに、個人版のふるさと納税は、巨額の「税金」を集めた自治体がマスコミをにぎわせています。150億円を超える自治体もあるほどです。北海道にある全国トップの紋別市では、ふるさと納税制度が始まる前の平成19年度の一般会計予算を超える額を令和2年度に達成しています。

 令和3年度、九州では、都城市が146億円超で、福岡県では飯塚市が65億円超でそれぞれトップです。豊前市は遠く及ばず2億1千万円ほどで、大苦戦です。人口減で自主財源にも陰りの出るなか、ふるさと納税は自由に配分できる貴重な財源です。これが多ければ、市民のみなさんの多くの要望に応えることもできるのです。

 なぜ、豊前は苦戦しているのでしょうか。ふるさと納税の動機の一つには、近年激化する自然災害を受けた自治体への支援の気持ちがあります。さらに、返礼品の魅力があります。紋別市はホタテ貝や乳製品などが人気。都城市は肉と焼酎が有名。飯塚市はハンバーグで圧倒しています。

 豊前市にもカキやエビ、カニなどの海産物やあまおうに代表されるいちご、ゆず製品、美味なお米。肉類にホルモン、うどんやトイレットペーパーなど誇れる商品はあるのです。が、全国に知られていないのが弱みです。ふるさと納税を挽回するために、市では市内産の製品をより魅力的な商品に磨き上げる能力ある企業と連携を模索するなど頑張っていますが、成果はこれからです。

 すぐにでも効果が出る方策は、市民のみなさんにお力を貸していただくことです。市外にお住いの、みなさんのご家族や同級生、親しくしている友人などに「豊前市にふるさと納税を」と呼びかけていただきたいのです。市を挙げての総力戦です。ぜひご協力をお願いします。

 さらに、ふるさと納税には企業版があります。2年前から企業版ふるさと納税として寄附を行った企業については、寄附額のうち法人税等が実質1割の負担で、市の目指す地域づくりに企業も参加できることとなっています。そして、この地域づくりが国から認可された事業であれば国が同額の予算をつけることになっています。つまり企業の実質負担の20倍の事業ができるのです。 

 市ではこれをつかって観光協会と連動して「うみ・まち」「やま・さと」と題した「ハレノヒ」プロジェクトを進めています。駅前にKITENという施設が開設され、これから旧印刷工場跡のコミュニティ拠点事業、他の財源で駅前トイレの建設にも取り組む予定です。求菩提キャンプ場周辺にもツクシシャクナゲを堪能できる癒しのスペース整備などが計画されています。企業にとってもSDGs(持続可能な開発目標)やCSR(企業の社会的責任)で取り組まねばならない趨勢(すうせい)にあります。市民のみなさんの関係する企業の社長さんや取締役の方でご縁のある方に「豊前市に企業版ふるさと納税を」「市役所の総合政策課に連絡して」とお声かけをお願いします。

市長の部屋 令和4年8月

「丁寧に説明して、しっかり理解していただく」

 市政懇談会を3年ぶり、11か所で行っています。意見交換のなかで市長に厳しい言葉も届きます。「気づかず、知らなかった」「いい勉強になった。今後に活かさねば」と、多くを有難く受け止めています。

 が、こちらの説明不足、思い込みでの発言かな、というものも。例えば、主にベトナムや台湾に向けての窓口である国際共生推進室の新設に関して、です。

 この設置を、「外国との交流で豊前市に何のメリットがあるのか」という質問。豊前市に来ている技能実習生のことと思いますが、「実習生が来てくれて、豊前市の大きな戦力になっている。豊前市の経済を支えてくれている」とお伝えしました。

 6月市議会でも、「外国人に力を入れるのもいいが、豊前市民をもうちょっと大事にしてと市民からの声がある」とした一般質問。実習生は豊前市に籍を置き、各種保険料も払っている紛れもない市民です。人種や国籍は異なりますが、国際的に共生している存在なのです。

 ちなみに、市内で働く外国人は6月末現在で263人。実習生の年齢は18歳から47歳です。多いのは20歳台の実習生で、同じ年齢層では、全体の5.44%。つまり若い世代の20人に1人以上が外国人です。企業では大きな戦力になっているはずです。

 市では国際共生推進室を中心にベトナムや台湾の大学の分校誘致も進めています。実習生に加えて留学生が来てくれる国際都市を目指しています。

 どのように、です。一例をあげますと、市内にある豊前築上医師会看護高等専修学校(2学年制、1学年定員30人)から令和3年3月に、ネパール人の卒業生1人が誕生し、現在は近隣の病院に勤務しています。外国人でも頑張れば、日本で資格が取れる「国際看護学校」とも言えます。

 ベトナムの看護大学などで学んだ学生が日本語を学びにやってくる。必要な漢字の読み書きができるレベルの日本語検定を取得。看護学校に入学して学生として市内に在住する。そんな学生がやってくる市の将来像を描きます。

 資金をはじめ、サポート体制など多くの課題はありますが、看護師不足は、6月末時点での地元ハローワークに出されている求人数30人を見ると明らかです。日本人が集まらないのです。実は、看護学校も定員の半数の学生しか在籍していません。

 希望があれば、誰でも受け入れられる。国連が採択したSDGsでも持続可能な開発目標17の中の8に「すべての人が働きがいのある人間らしい仕事をし、環境を守りながら経済成長を目指す」と謳われています。

 力や知恵を、国境を越えて出し合う、互いが支え合う社会がこの地域でも実現できるように、最善を尽くさねばならない時代です。そのためにも丁寧に説明して、しっかり理解していただくことの重要性に、市政懇談会を通して改めて気づかされています。

市長の部屋 令和4年7月

「うみ・まち」、「さと・やま」 ハレノヒ実現プロジェクト

 少子化、人口減少で基礎的な活力が下げ止まらない豊前市を「何とかしなければ」と、市の観光協会(田北信行会長)が地域の皆さんと一緒に頑張ってくれています。発足以来5年目を迎え、ますます勢いを増しています。市では昨年度、専門家の知恵を借りながら獲得した国の地方創生事業に取り組んでいます。今年度から令和6年度までにかけてその姿が徐々に現れてきそうです。

 「ハレノヒ」実現プロジェクトと名付けたこの事業は、南北に長い市の地形を踏まえて北のうみ・まちと南のさと・やまのエリアに分けて「ひとりひとりが主役となる」ことを目指す活性化ビジョンです。「駅から始まる賑わいづくり事業」「自然環境整備事業」「生涯を通じた教育に関する事業」「地域団体・ボランティアに関する事業」に取り組んでいます。

 「うみ・まち」では、宇島駅からZig-Zagホールまでの300mほどの通りに市と民間の遊休不動産を活かして人が集う、働く施設を配備。その第1号として駅前に高校生など駅利用客が学びや集いに使える、名付けて「KITEN」が誕生。KITENとは物事が始まる「起点」や臨機応変な対応ができる「機転(気転)」と、ちょっと「来てん」などの意味をもたせています。

 6月10日の夜にはプレオープンイベントとしてプロミュージシャンを招いてのコンサートが開かれました。暗かった駅前の建物に灯りがともりました。こうした灯りを民間のみなさんの力を借りながら少しずつ増やしていきたいものです。

 今後は、生涯教育・住民交流やビジネスの拠点をつくる計画です。テレワーク、ワーケーションを見据えて都会から移転、移住が可能なサテライトオフィスや起業支援の拠点づくり。商店が並ぶ、これまでの商店街ではない新しい街並みを目指しています。

 「さと・やま」では、里の温暖な気候や穏やかな農村環境から得られる食と文化。修験道の求菩提山のふもとに広がる空間がキャンプ場やアウトドアレクリエーションの場として魅力を高めています。咲き誇るツクシシャクナゲ、アジサイなどの花が多くの人を惹きつけています。

 この地で伝統的に営まれてきたお茶の生産を持続できるように、時代に合わせて磨かなければなりません。買える、味わう地元の拠点づくりも重要です。求菩提資料館の敷地にはあまり使われていない施設もあり、このエリアでも効果的な活用が望まれます。例えば四季堂として使われている建物をキッチンやカフェを備え、背後の谷側にデッキを延ばして眼下にツクシシャクナゲが広がる世界。ここで、おいしいお茶が飲めたら最高ですね。

 観光協会をはじめ、官民連携で進められるこの事業では、「うみ・まち」、「さと・やま」のふたつのエリアの間を「行き来したくなる」仕掛けをつくり、生産や消費を連携させて活性化を促すことを目指しています。ここに生きる、暮らす、訪れたひとりひとりが笑顔で元気になるプログラム。これから、注目と応援、参加をお願いします。

 先月号で紹介した「脱炭素、ゼロカーボンシティ宣言」は6月6日付で宣言しました。

市長の部屋 令和4年6月

「カーボンニュートラル宣言の準備をしています」

 自然の営みではなく人類が生み出した二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスがもたらした気候変動は、多量の雨を集中的に降らせ大災害を引き起こしています。雨の季節到来。いつ、どこで起きてもおかしくない危機が私たちの隣に忍び寄っています。

 何かが起きたときに、即対応できる能力の保持、強化が大切です。分かりやすく言えば消防や警察、自衛隊などの公的組織の適切な配備。加えて個人と近隣での共助の備え、予防にも取り組む消防団など地域防災力の強化が求められています。

命を守る最前線で、こうした組織がスピードをもって対応、対処できる防災力の向上、維持に行政が積極的に取り組まねばなりません。こうした強靭な体制が、住民のみなさんの安全、安心につながってくるからです。

 ところが、気温上昇、豪雨などをもたらす気候変動は、強固を重ねる備えをも超えてしまう勢い。いたちごっこ、です。やはり、抜本的、基本的なところに手を付けなければならないのです。つまり、人間が生み出してきた気候変動のおおもとを、変えていかねばならないのです。

 それには、人為的要因である化石燃料(石炭、石油、天然ガス)を、温室効果ガスを増やさない再生可能エネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオ燃料など)に転換しなければなりません。が、すべてを再生可能エネルギーに切り替えるのは現実的ではありません。

 そこで、日本政府は2年前に2050年を目標として化石燃料由来の温室効果ガスを森林や植林により吸収させ、さらに今使っている化石燃料をできるだけ再生可能エネルギーに転換し排出ガスを除去。実質的にゼロにするカーボンニュートラル宣言をしています。これは自治体や企業にも広がり、宣言をするところが増えてきています。

 これまで、環境に配慮するのは、コストアップなど経済成長の妨げとみられてきましたが、ESG、SDGsなど持続可能な社会づくりに向けての取組が加速。政府もグリーン成長戦略と位置付けて推進、自治体にも広がってきました。

 こんな動きに合わせて県内でもカーボンニュートラル宣言をしている市町は、令和4年4月28日現在で24あります。28年後に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする施策に取り組んでいく決意表明です。豊前市ではまだなのですが、実は近いうちに発表できるのではないか、と考えています。宣言後にどのような温暖化防止、緩和の政策を出すのか準備しています。山地、空き地などへの積極的な植林。市の所有する土地や施設に太陽光、水力などの発電設備を持つことやガソリン車から電気自動車への転換。土壌、海底からのメタンガスなどの発生を抑える取組。市民のみなさんにも暮らし方を通してできる脱炭素への協力をお願いすることになります。市を挙げての取組です。

 こうした動きが広がればロシアからの化石燃料依存を減らすことができ、覇権国家への抑止力になるのではないでしょうか。そして何より、子どもや孫の世代に美しくて豊かな自然環境、住環境をバトンタッチできるはずです。

市長の部屋 令和4年5月 

「すぐそこに来た国際共生時代と急伸するデジタル化」

 コロナ禍で急速に進むデジタル化。市役所でも各地をオンラインで結ぶ会議が増えています。4月には、台湾の外交部(外務省)と2つの大学を、国内では台北駐福岡経済文化弁事処(総領事館)、別府大学をそれぞれ市役所と結びオンラインミーティングを行いました。

 今年度市役所に新設した国際共生推進室の初の事業です。台湾の大学に留学経験があり、この春、地域おこし協力隊員として同室に配属された山田京承(きょうすけ)さんが通訳。横浜にある中華学院理事会秘書長を務める政策アドバイザー(特別顧問)に就任した馮彦國 ひょうげんこく さんが立ち会って、台湾の大学のサテライトキャンパス(分校)を設置するためにそれぞれがどのように取り組んでいくのか。多くの学生を迎え入れるためにどんな「受け皿」が求められるのか、など意見交換がなされました。

 その結果、「コロナ禍が落ち着けば7月には学長と選抜された学生の訪問団が豊前市を訪問、視察する」「最初は小規模の学生で開始する」「学生は台湾の授業をオンラインで受講する」「必要な時には別府大学が支援、協力する」「分校開設のために、学生が留学ビザで入国できるように台湾から日本政府に働きかけてもらう」など提議、今後は実務者レベルの協議の場を設けることを決めました。このほか、受け入れるには市役所だけでなく市民のみなさまの理解と協力が不可欠です。みなさまの賛同をお願いします。

 豊前市は台湾の分校構想以前から、ベトナムの大学分校の誘致も行っています。同室には、昨年度に地域おこし協力隊員に就任した、ニュンさんというベトナム人女性も配属され、ベトナムの大学からも看護や介護、農林分野の学生を迎えるための準備を進めています。

 こうした外国人学生が多く集まる市になれば活力が湧いてきます。外国人技能実習生だけでなく、学生の集まる街に変貌すればさらに活気が出てくるはずです。ウクライナからの難民についても何ができるか考えておく必要があります。国際化、国際共生の時代はすぐそこに来ています。

 こんな国際的な動きに加えて、デジタル化も急伸しています。コロナワクチン接種会場に開設したマイナンバーカード申し込みコーナーは、おかげさまで大きな成果をあげています。令和4年4月1日現在のデータではカード交付率は行橋市が58.2%で県内1位ですが、豊前市は54.4%と迫っています。マイナンバーカードを取得し、手続を行えば、6月以降最大2万円分のポイントを得られますので、手続を終えられていないみなさまの申し込みをお願いいたします。

 このマイナンバーカード取得が、市のデジタル化の基礎です。進展につながります。市は今年度、新たな人材を加えて更なるデジタル化を推進します。市役所の各種手続を便利に早くできるようにするためです。将来、事務の効率化や人口減に対応した体制を整備するためです。こうした「国際共生スマートシティ」を目指します。ぜひご協力ください。

令和4年度 施政方針

 市政の基本的な考え方に入る前に、いま、民主主義を武力で踏みにじるロシアのウクライナ侵略という暴挙が行われ、多くの命が奪われています。国際的な問題であり、地方自治体としてどこまで言及すべきか悩みましたが、ロシアのウクライナへの戦争は断じて許してはなりません。平和と民主主義を守る立場を基本とする豊前市から、敢えて訴えます。ロシアはすぐに戦争を止めるべきです。

さらに我々は、ロシアなど他国の地下資源に多くを頼るエネルギー政策を自国の再生エネルギーへの転換すべきであり、我々地方の自治体もその役割を果たさなければなりません。小麦など食料を輸入に頼るのではなく国産化を強力に推進しなければなりません。食料安全保障の一役を、国とともに我々地方も担わなければならないと改めて認識させられました。

ロシアに即刻戦争を止めさせる国際世論に加わり、国際的に力を合わせて発展する国際共生社会を、さらにデジタル化による国際共生スマートシティを本市も目指さなければならないと、改めて思っております。

 それでは、市政の基本的な考え方について申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株が国内外でこれまでにないスピードで急拡大しています。市内においても、多くの感染者が発生し、未だ収束の兆しが見えない状況が続いています。

 感染拡大を防ぐためには3回目のワクチン接種が急務であります。本市においても1月から医療事務従事者、2月から高齢者施設等の入所者及び従事者に先行して接種を開始しており、3月からは75歳以上の高齢者を対象に集団接種を開始します。65歳以上の対象者の方については3月中に完了する予定で、順次、それ以下の年齢の方々にも拡大してまいります。今後も引き続き、早急なワクチン接種の推進に全力で取り組んでまいりますので、市民の皆様には、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げます。

 国においては、昨年12月閣議決定した「令和4年度予算編成の方針」において、日本経済の先行きについて、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が、さらにロシアのウクライナ侵攻により、厳しい見通しとなっております。引く続き国、世界の状況を注視する必要があるとしています。

 その上で、岸田内閣では喫緊かつ最優先の課題として新型コロナウイルス感染症対応と感染症により影響を受けた方々の支援、さらに「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに掲げ、「デジタル田園都市国家構想」など大胆な投資により、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を国主導で推進し、経済成長を図るとしています。

 本市においても、新型コロナウイルス感染症の影響による市税収入の落ち込みなどは少しずつ緩和されつつありますが、引き続き感染防止対策、市内事業者への支援策などを続けてまいります。

 また、国の動向を注視し、コロナ禍の厳しい状況の中ではありますが、都市から地方への人の動きを捉え、ポストコロナ社会を見据えた新たな取組みを実施することにより、地域の活力を取り戻し、人口減対策、産業の振興に努めてまいります。

 さらに少子化の中で教育環境の充実と若い世代が住みたいと思える街を目指し、学校再編成事業、保育・教育施設整備事業に取り組むなど、重要な課題に対応しながら、財政の健全化を図り市民サービスの安定的な提供に努めてまいります。

教育・文化の充実
 学校教育につきましては、学校再編成が喫緊の最優先事項であります。

 現在、1学年あたり約200人の小中学校の児童生徒数が、将来的には1学年あたり100人程度になるとの推計もあります。

 このため市教育委員会では、『豊前市「教育みらい」検討委員会』の提言をもとに「豊前市立学校適正配置基本方針」を策定し、豊前市の未来を担う子どもたちにとって魅力ある教育環境を整備するため、市内小中学校の再編成を計画しています。

 本年2月中に4回の説明会を開催し、市民の皆様にご理解いただけるよう努めているところです。今後もさらに丁寧な説明に努め、様々なご意見もいただきながら子どもたちにとってより良い方向になるよう皆様とともに考え、基本計画を策定してまいります。

 また、学校再編までには期間を要するため、子どもたちにとって安全で快適な教育環境を確保するため、引き続き学校施設の維持補修について必要な措置を行ってまいります。

 生涯学習については、地域づくり協議会による地域の自主的、自律的な活動を支援するとともに、地域活動を担う人材確保の支援をしてまいります。

 また、市民がデジタル化の利益を享受できるよう公民館を中心に学習の場の提供、充実に取り組んでまいります。

 史跡求菩提山につきましては、平成30年度から実施してきました瀧蔵坊の保存修復が完了しました。今後は、森林セラピーなどのイベントなども含めて、観光と文化財の連携による幅広い活用を検討してまいります。

 また、市指定文化財である岩屋坊が老朽化しているため、これを改修し、合わせて求菩提山の修験道関連文化財として保存活用を図ってまいります。

国際交流
 市では、昨年から多文化共生コーディネーターとして地域おこし協力隊を採用し、市内在住の外国人の生活支援、相談、外国人と市民との交流を図る企画など国際交流の取り組みを進めています。さらに、昨年、台湾の総領事館である台北駐福岡経済文化弁事処と台湾の大学のサテライトキャンパスを市内に設置して、学校、学生の交流、人材育成を目指すことを目的に連携協定を結びました。また、台湾の私立科学技術大学校院協進会とも同じ目的で連携協定を締結しました。

 新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により、スケジュールに遅れは生じていますが、台湾からの短期間の学生受け入れ等、本格的に動き出す予定です。市としても、サテライトキャンパス誘致などの「人口増加策」やデジタルトランスフォーメーション時代にふさわしい国際共生スマートシティを目指し、しっかりと体制を整え取り組みを進めてまいります。

安全・安心なまちづくり
 近年の気候変動による豪雨災害に備えるため、防災重点ため池、井堰の改修を計画的に行い、さらに水路、河川の維持、補修を行う事で災害の発生、拡大の防止に努めてまいります。

 令和2年度から継続しておりました市庁舎の耐震改修工事については、工事中、市民の皆様にはご不便をおかけしましたが、令和3年12月をもって無事完了しました。大規模災害発生時には、災害対策・災害復旧業務の拠点として市民の皆様の生命・財産を守るべく災害対策の強化に取り組んでまいります。

 また、災害備蓄品及び感染対策に対応する避難所用備品の整備など非常時の備えも着実に行っておりますので、今後も継続、充実してまいります。

 地域の防災の要となる消防団については、人材確保のため処遇改善を図るとともに、組織、活動の充実に向けて支援を行ってまいります。

健康・福祉の充実
 高齢者福祉については、高齢者が活動的で生きがいのある生活や人生を送ることができるよう健康教室・介護予防教室などの充実に取り組むとともに、デジタル化が進む中、スマートフォン教室を実施するなど、民間事業者と連携してデジタル化されたサービスや業務の利便性に高齢者が取り残されないよう取り組みを進めてまいります。

 健康増進につきましては、持病のない健康な体を維持していくことが何より感染症での重症化リスクを減らすことに繋がります。健診やその後の保健指導、健康教室などを通して、生活習慣病予防・重症化予防を図り、個別指導、フォローを実施してまいります。

 また、各種スポーツ教室、イベントなどを通して、子どもから高齢者まで多くの市民がスポーツに親しみ、健康づくりに取り組むことで、健康で生きがいのある生活が送れるよう環境づくりに努めてまいります。

 子育て支援につきましては、子育て環境の整備として、計画的に私立保育園の増改築事業に補助を行い、幼児教育、保育の充実を図り、子どもを産み育てる環境の充実により若い世代の定住に繋げてまいります。

 また、近年、子どもを取り巻く環境は変化し、児童虐待相談、発達が気になる子ども、医療的ケアが常時必要な子どもの支援などの相談が増えています。市としても、これまで児童相談所等と連携し、相談や個別対応など行ってまいりましたが、今年2月から福祉課内に子ども家庭総合支援拠点開設のための準備室を設置し、4月1日からの開設を目指しています。専任の社会福祉士など専門的な知識を有する人材を配置しましたので、子育てに悩む多くの方に寄り添い、支援が必要な子どもやその保護者の相談などに応じてまいります。

 生活困窮者の支援については、社会福祉協議会と協力し、コロナ禍により増加する生活困窮者の自立支援のための貸付や相談を継続し、さらに家計改善の指導など、より具体的な支援に取り組んでまいります。

産業の振興
令和3年度事業において地方創生事業「ハレノヒ」実現プロジェクトとして宇島駅前活性化に向けた交流・仕事の場づくりや自然環境を活かした地域資源活用のための体制づくりなどを目指し、活躍拠点整備計画策定事業に取り組んでいます。

 これをさらに具体化し、駅前、中心市街地の賑わいづくりや市外からの活躍人口を呼び込むため、ジグザグホールを活用し交流の場として整備し、合わせて「テレワーク」や「地方移住」といったコロナ禍による人口密集の都市部から地方への人の流れをつかむためサテライトオフィスの整備にも取り組んでまいります。

 農林水産業につきましては、認定農業者や農業法人の経営拡大のための投資を支援し、経営の安定化を図るとともに、研修環境を充実し、地方移住への動きを加速させ、幅広い人材の受け入れを可能とするため、国の基準よりも年齢制限を引上げて新規就農を支援することで新規就農者の定住と定着を支援してまいります。

 商業の振興については、依然として飲食業を中心に中小事業者はコロナ禍による影響を受けていますので、引き続き事業者を支援する取り組みを継続してまいります。

 また、観光関連産業においても多くのイベントが縮小又は中止となっており、宿泊施設も非常に厳しい状況が続いています。感染症の状況をみながら、イベントの開催、観光客の誘致など取り組んでまいります。

 企業誘致については、市内での雇用の創出、人口増に対する効果が期待されます。議会でも特別委員会でご審議いただいていますが、現在は企業を誘致する工業団地がないため、工業団地適地調査を行い、企業誘致のあり方について、より多角的な視点で実行性のある取組を検討してまいります。

SDGsの取組
 昨年11月5日、「誰一人取り残さない持続可能な社会」の実現のため、本市は民間事業者等と三者で「地方創生とSDGsの推進に関する包括連携協定」を締結しました。豊前市らしいSDGsの取組の実施を目指し、これを支援していただき、真に豊前市に根差した各種プログラム等の企画・実施に取り組みます。そして、豊前市に関係する人々の活躍や地域活性化、安全・安心なまちづくりを進め、豊前市における課題解決、地方創生とSDGsへの取組を推進してまいります。

 さらに、持続可能な社会の実現のため、財政の健全化を図り、事業の見直しと効果的な投資のバランスを取りながら、財政運営に取り組んでまいります。

 また、個人版のふるさと納税や企業版ふるさと納税などのさらなる自主財源の確保にも努めてまいります。

 以上、申し上げてまいりましたとおり、コロナ禍の中にあっても将来の飛躍と発展のため全庁をあげて取り組んでまいりますので、議員並びに市民の皆様のご指導とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

AIチャットボット
閉じる