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  後藤 元秀 市長

 

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 市長の部屋 令和3年3月号

「デジタル化で暮らしが、社会が、変わる日が近づいています」

 豊前市内の23歳男性が2月6日に自宅を出て、行方不明になったまま日が経っていきます。豊前署や豊前消防署、豊前市消防団、市役所職員、ご家族関係者の必死の捜索にもかかわらず、手がかりすらつかめていません。安否を気遣いながら、ご家族のお気持ちを察すると胸が痛む思いの方が多いはずです。市民の生命、財産を守る使命をもつ市として、市長として誠に申し訳なく、もどかしい限りです。

 この事案を振り返って、気づくことがいくつかあります。①警察署が家族から行方不明届を受理後に消防署、消防団、市役所との連携強化②他に職をもちながらボランティアで出動してくれる消防団のみなさんへの連絡網整備③正確な地理情報の確認④行方不明の可能性がある方にGPSなどの位置情報を発信する機器の所持などです。

 私が市長になってからラッパ型放送がスタートしましたが、「音が割れて聞き取れない」「うるさい」「台風や豪雨のときは家の中に居て聞こえない」など苦情が絶えることがありません。そこで室内でも伝わり、聞き返し機能もある、スマホでも確認できる、現在配布している防災ラジオの導入に至りました。

 今回の行方不明事案でもたくさんの方に一斉に情報を送ることが出来ました。直接お聞きしましたが、自宅の敷地や周辺の道路、川、溝などを見回っていただいた方が多くおられました。めったに開けない倉庫の扉を「恐かったけど開けて調べた」との声もお聞きしました。お役に立っている、と感じています。

 防災無線ラジオや先ほどの②③④に関して共通するのは政府が強力に進めようとしているデジタル化です。とくに認知症の方などで行方不明になる事案も増加傾向です。何らかの形で所持していただく制度ができれば、GPS電波を探して捜索範囲も絞れます。命に関わる1分1秒が短縮できます。

 人力でやるより正確で、早く、便利になるデジタル化で市税や使用料の納付を、住民票などの交付を市役所の窓口に並ばずに全国のコンビニでできるように今議会に提案しています。また、今後は「自分が自分である」証明証であるマイナンバーカードが必携です。お持ちでない方はぜひ申請、取得してください。

 少子化などで人口減少が止まりませんが、Wi-Fiなどデジタル化の受け皿整備を強力に進めて、豊前に住みながら都市で働いていたときと同様の仕事ができる、場所づくりが急務です。デジタル化や作業のロボット化は市の主要施策として取り組むべきです。

 小中学校の現場では、児童・生徒に1人1台のタブレット端末が、教職員には指導用のパソコンが新学期に向けて整備されています。いまの小中学生が大人になるころには、自分の手指のように機器をつかって社会活動することになると考えられます。基礎から応用を教える人材が絶対に必要です。こんな人材も、学校や市役所に配置しなければなりません。

 デジタル化で暮らしが、市役所が、社会が変わる日が近づいています。

 

 市長の部屋 令和3年2月号

「他人(ひと)の喜びを、わが喜びに」「今年こそコロナ終息」

 新型コロナの感染拡大が止まらないまま迎えた新春でしたが、さらに変異種も持ち込まれ、福岡県にも緊急事態宣言が再度出されるなど先行きが見ない不安な日々が続いています。豊前市役所でも「これ以上の感染者は出さない」との強い決意で職務に携わっていますが、加えて今年は例年を超える豪雪にも見舞われました。大雪、路面凍結などで被害にあわれた皆さんにお見舞い申し上げます。

 防災無線などで水道管の凍結防止を呼び掛けていた1月11日未明、市の配水量に異常が発生。午前2時半に上下水道課などの職員10人を緊急招集して赤熊地区市道地下での水道本管漏水を確認。市管工事組合のみなさんのお力を借りながら同日9時前までに復旧。埋め戻しなど午前中を要しましたが生活インフラ確保を成し遂げました。

 工事関係者、職員の皆さんが大寒波のなかで、地下約1.5mまで掘り下げ、あふれ出る水との戦いに挑む姿を現場で見て、「困ったときに体を張って救う職務」に深く頭の下がる思いでした。耐用年数を超えるような老朽管の更新で、管破損-漏水-土砂流出-道路陥没の事故防止は絶対です。市役所はこれからも安全、安心な暮らし確保に向けて努めてまいります。

 このように何が起きてもおかしくない時代です。常に、いざというときの対応を心がけておかねばなりません。予定にないからできない、ではなくその場を見て、その場に臨んで柔軟に対応できる力を備えることが求められます。

 自分でできることを、しっかりやる、ことも大事です。1月9日には新成人を祝う成人式が市民会館で行われました。270人の新成人のうち208人が出席、コロナ禍のなかでの静かに落ち着いた式でしたが、参加者には一生に一度の尊い思い出になったはずです。改めておめでとうございます。

 このステージで式の前、市内でタピオカドリンクを販売しながら、得意のダンスを道路そばで披露してきた、その姿がラジオやテレビに紹介されたヴィクトリアさんがダンスとスピーチを見せてくれました。パフォーマンスを終えて呼吸を整える間もなく、息を弾ませながら発したのは「あなたたち、自分にできることはたくさんある」「みんなは大好きなことをやっていますか」「自分にできる、大好きなことをあきらめてはいけない」「人に喜ばれ、人の役に立つのが仕事」など、素晴らしい内容でした。まさに、他人の喜びをわが喜びに、が最高の喜びです。

 新春恒例の行事が相次いで取りやめになるなか行われた行事、出来事で、いろいろなことを学びました。人と人とが出会うことで学ぶ機会も増えます。支え合うなかで、新たな力や知恵が身につくのではないでしょうか。コロナ感染が続いてこんな学びの機会が少なくなってしまうのが心配です。こんな時こそ、インターネットで結ばれた人たちで交信できるSNSなど最先端の機器での交流にも挑戦したいものです。

 若い人たちは当たり前のように使いこなしている機器を、年長者でも使える豊前市を目指したいですね。かく言う私も、実はアナログ人。今年こそはコロナ終息を願い、脱アナログを宣言したいと思います。

 

市長の部屋 令和3年1月号

「ウィズコロナ時代幕開け」

 パンデミックとなって世界を震撼させた新型コロナウイルスに振り回された年が明け、令和3年の新春を迎えました。市民のみなさま、新年明けましておめでとうございます。コロナウイルスと共生するウィズコロナの時代の幕が開けました。が、コロナ禍で犠牲になられたみなさまに心からお見舞い申し上げますとともに1日も早く、安心して接種できるワクチンが行きわたることを願うばかりです。

 このような時代に市役所はコロナに合わせて本格的なデジタル化を迎えます。DX(デジタルトランスフォーメーション)という、IT・ICT(情報・コミュニケーション技術)を駆使して、生活や企業活動、教育が「いまより早く、より良くなる」時代です。

 市役所の仕事も変わってきます。デジタル化の目指すところは、単純作業や計算などを機器にゆだねて「人の温もりが求められる職場」に手厚く人材を配置することです。

 その第一歩が、登録された印鑑以外を必要としている、「誰がついたか分からない三文判でも、ついてさえおればOK」の印鑑制度を廃止することです。電子での印鑑・決済になれば、ペーパーレス化と事務処理の効率化、スピードアップにつながります。

 IT,ICT時代の日本を支える人材が現在、17万人も不足しているといわれています。こんな人材を市内で育成し、市内のIT企業で働けるようなチャンスを産学官連携で創りたいと考えています。努力します。

 小中学校では、デジタル化が進行しています。年度内に先生や児童生徒に1人1台のタブレット端末が国の施策「GIGAスクール構想」で無償貸与され、追加購入した電子黒板が配備されます。先生が、教科書を片手に黒板に向かってやっている「一斉授業」から1人ずつの理解度、習熟度に合わせて指導できる「個別対応」も可能な教育現場になります。習熟の遅い子はどんなところが遅れている原因かを分析でき、そこを補習して追いつかせる。習熟の早い子の能力に合わせて、可能性を伸ばすこともできるようになります。

 コロナ対策で学んだことは、健康な心身を持つこととご高齢で疾患を抱える方々を重点的にコロナ感染から守ることではないでしょうか。生涯現役を口腔ケア事業を通して取り組んできた流れは変わりません。歯科矯正など口腔ケアの充実や病気になりにくい、発症しにくい体質になるような予防医療にも将来課題として挑戦しなければ、と考えています。

 こうした事業に取り組むことで、歳末から新年にかけて宇島駅前を彩り元気づけてくれるイルミステーションのように輝く豊前づくりを頑張らねば、と思います。そのためには、やっぱり財政の健全化も同時に取り組まねばならない課題です。約8年前に市長職を拝命したときの財政と比べてみますと、財政の健全性を示す主な指標のうち、自由に使えるお金の多寡、柔軟性を示す経常収支比率は93.5%から99.2%と窮屈ですが、予算の自主財源比率である財政力指数は0.48から0.53に上向き、実質公債費比率は10.7から10.2、将来負担比率は70.0から50.4と大きく改善できました。市の借金である起債残高は114億3千万円余だった普通会計が、目標である100億円台にまで約14億円ほど減少できる見込みです。市民のみなさまのお力を借りながら財政の健全化に寄与するふるさと納税、今年度から1割の負担で済む企業版ふるさと納税を増やすべく、頑張ります。厳しさつづく財政環境ですが、コロナに負けず,SDGsの目指す社会づくり、明るく、元気な豊前づくりに頑張ります。市民のみなさまの丑年1年間のご健勝、ご活躍をお祈りいたします。

 

市長の部屋 令和2年12月号

「コロナに振り回されたこの一年」「明るい、希望の持てる話題も」

 新型コロナに明け、感染の収束を見ないままに迎える師走です。令和初の新鮮な心持ちでの新春でしたが、この1年で世界流行・パンデミックにまで広がったコロナ惨禍。希望に満ち溢れたはずの東京オリンピック・パラリンピックをはじめ幾多の催事、行事が軒並み中止や延期に。人や情報が動かなくなれば経済が停滞し、活力喪失。コロナではなく、経済的に追い詰められる危機が生じています。

 気候変動も激甚な災害という形で生命や暮らしを危機に。線状降水帯からの観測記録を超える豪雨、危険な暑さなど自然の驚異、猛威が目の前に。安全、安心という基盤を脅かされ、厳しい過酷な年となってしまいました。

 普通の暮らしを奪われ、感染、災害に見舞われた多くのみなさまにこの場を借りてお見舞い申し上げ、一日も早く「普通の暮らし」に戻れるようにお祈りいたします。

 そんな中ですが、いくつかの「闇」を、「苦難」を払ってくれるような明るい、希望のもてる話題が思い浮かんできます。まず、年明け早々の豊前桜の植樹。この桜花に誘われるかのごとく、大富神社の感応楽が国指定の重要無形民俗文化財に。神楽に次いでの指定直後の今年3月には、感応楽を含む全国の「風流踊 (岐阜・郡上踊りなど37件)」がユネスコの世界無形文化遺産に申請され、遠からず認められる可能性があります。「世界遺産が豊前市に誕生」です。

 世界と言えば、市内在住の外国人が増えるにつれて関係も深まってきました。市内最多数のベトナムから、コロナ感染防止のマスクを享受。在福岡総領事館のヴ・ビン総領事がお越しになり「教育面で豊前市とベトナムの関係を深めたい。その ために市長と兄弟の仲で尽力」との約束。目標を共有して成果が出るように頑張ります。

 台湾からも、台北経済文化弁事処・福岡分処(総領事館)の陳忠正総領事が台湾系華僑幹部とともに来訪され「豊前市との関係を強め、経済、教育など応援をしたい」と。このほか、中国からもマスクの贈呈をいただくなど国際的なつながりが進んでいますが、既存のドイツだけでなく欧米の企業からの豊前市進出の動きも出てくるなど人口減の豊前が国際化によって変貌する気配を感じています。

 文化、スポーツ大会などの行事が激減したこの一年でしたが、数少ない全国大会で青豊高校3年の伊藤彩香さんが100mハードルで、八屋中学3年の渕上翔太さんが男子110mハードルでそれぞれ優勝、全国制覇。八屋中学2年谷中天架さんは全国100mハードルのタイムで6位、同1年の岩本咲真さんは県大会100mと100mハードルで優勝。豊前市が一躍中高のハードル王国に。野球でも三毛門の丸山翔大さんがプロ野球ヤクルトから指名を受けました。

 こんな結果も健康から、です。健康づくりは口腔ケアから取り組んでいる豊前市職員全員に、事業連携する九州歯科大が開発した歯周病菌検査キットを先行試行。万病のもとである歯周病菌を早期発見早期治療です。市民のみなさんにも早く検査できるように頑張ります。健康づくりでコロナと共存できる来年にしたいものです。

 

市長の部屋 令和2年11月号

「邪馬台国は別府扇状地」「豊前市は奴国だった」?

  最近読んだ本の中で「おもしろい!」と感じた『邪馬台国は別府温泉だった』(酒井正士著)について少し紹介します。日本の古代に関して記された中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん) 」にある邪馬台国についてはこれまで「畿内説」「九州説」に大きく分かれ、九州も諸説があります。

 そこに、生命科学者である筆者が倭人伝に書かれた方角や距離を「科学的に」たどって突き止めたのが、壱岐からの上陸の地は洞海湾(どうかいわん)、末盧国(まつろこく)は北九州市・枝光。東南に陸行500里、伊都国(いとこく)が築上町。さらに東南100里至る奴国(なこく)が、なんと豊前市。東行100里が不彌国(ふみこく) 、中津市となり、その先が別府、邪馬台国との新説です。

 江戸時代の新井白石(あらいはくせき)や本居宣長(もとおりのりなが)から末盧は松浦(唐津・呼子)、伊都は糸島、奴国は那の津と「後の時代に付けられたであろう」類似の地名を当て、倭人伝の方角や距離は「当時は正確に測ることはできなかった」と勝手に決めつけていたのではないか、と。

 本では、当時(3世紀)の中国はすでに方位は8尺竿を垂直に立て、同心円を描き、その円周線と日の出、日の入りの時の竿の影が重なる2点を結んだ線が東西。距離は、夏至の日に立てた8尺竿の影の長さが南北で異なり1寸違えば、その距離は1千里と言われていることをもとにした1里約77m説を採っています。こんな測量技術ができていたのです。この方角と距 離を倭人伝に記述された「データ通り、科学的に」方角、距離に当てはめると別府説になるという訳です。

 わくわくしながら一気に読破しましたが、「科学的に解析した別府説」は終盤に、別府に古代遺跡が見つかっていないところに触れ、その理由は、奈良、平安時代に鶴見岳などからの大噴火で火砕流に埋もれてしまったから。堆積した火山灰の下には、イタリアのポンペイのように火山灰を掘れば邪馬台国が~と。こんなロマンティックな面も持つ別府温泉説。

 こんな歴史をひもとくと、知らなかったことがいっぱいあるのに驚きます。知らなかったことを知る喜びに出会えます。豊前市が奴国という、こんな楽しい出会いです。見方を変えれば、地方創生の時代に、新たな「地域振興資源」が与えられました。

 邪馬台国や奴国をテーマにした特産品づくり。筆者を招いて市民のみなさんに「奴国は豊前市」について語ってもらえたら、などと思いを巡らします。もしかしたら、コロナ禍でうつうつとした空気が少しでも晴れるかもしれません(でも、かかる経費を考えるとまた、うつむいてしまいそうにも)。明るく、こころ「豊」に、「前」向きに、奴(やっこ)さんでも歌いたいものですね。市民のみなさんも市役所にアイデアを送ってください。いずれにしても、北九州市から別府市までの市や観光協会など関連団体に呼び掛けて、東九州の県境を越えた新たな観光につなげたいものです。

 

市長の部屋 令和2年10月

「コロナ禍で動く社会、変わる暮らし方」「そこに襲い来る台風が」

 コロナ禍を機に新しい生活様式が、デジタル社会の本格的な到来という形で動き出しそうです。この欄で再三触れてきたAI(人工知能)による膨大なデータ蓄積と活用やIT、ICT(情報通信技術)を駆使した今以上に効率化、高速化して大局と細部への対応を図れる機器の発達。そんな機器に囲まれた環境での新しい生活様式が具体化する可能性が少しずつ見えてきそう です。大都会への集中から地方への分散へ都市の在り方も変わってくるのではないでしょうか。

 小中学校に電子黒板配置やタブレット端末を子どもたちへの1人1台配布で一斉授業しながら個別の達成度に合わせた指導やオンライン授業の実施。お医者さんのところに行かなくてできるオンラインでの受診など。まさかの世界が現実化されていきそうです。

 そんな環境に、アナログ世代はどう生きていくのか。頭を抱え、目をそらしたくなる場面に直面、逃げずに迎え撃つしかないのかもしれません。前向きに受け止めて、古びた脳をきたえて認知症を近づけない効果も欲張らねば、と考えたいところです。

 生活様式だけでなく、都市の在り方も変わっていかねば、と期待しています。「都会への集中と効率化で経済発展と競争力の強化」から3密をさける意味でも「地方への分散型」へ動いていくかもしれません。そのためにはまず、人の移動です。都会から地方へ、移住を促したいところです。

 豊前市に移り住んだら職住が近接でき、人生の貴重な時間を通勤という移動時間に費やしてしまう「無駄」を省き、家族との時間や趣味に使えるのです。オンラインやテレワークで仕事はきちんとこなせる。豊前だったら、心「豊」かに、「前」向きに過ごせるということを、たくさんの都会からの移住を考えている方に伝えたいですねえ。市民のみなさんもご自身のSNSで広めてください。

 コロナ禍で動く社会と変わる暮らし方に想いを巡らせていましたら、朝晩は秋の気配を感じさせるヒヤッとした空気を感じ、虫の声が耳に響くようになりました。思い返せば、線状降水帯がもたらした異常な豪雨。雨が上がったら「危険な暑さ」の到来。そして台風9,10号の連続襲来。「これまでに経験したことのないような暴風、高波、高潮となる恐れのある」10号は最大瞬間風速85mの予測でした。

 結果としては「予測内」で通過。大きな被害は免れましたが、防災に費やしたエネルギー、時間は大きかったと思います。お疲れさまでした。被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げます。これからまだまだ、台風はやってくるはずです。油断なきように、心構えしましょう。

 台風に合わせて消防団のみなさんに警戒パトロールなど大きな力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。市職員も夜を徹して避難所開設・運営に、市民支援に「生命財産を守る」使命を果たしてくれました。市長として感謝です。

 快適さ、利便性を追求し続けるデジタル社会の進展に、歩調を合わせたような厳しい自然の猛威、自然からの試練に囲まれて、時代は動いていきます。どうしたら、安全安心な暮らしができるのか。次の台風襲来がよぎります。

 

市長の部屋 令和2年9月

「デジタル社会へ、マイナンバーカード普及を」

 総務省が進めるマイナポイント事業が9月から始まります。マイナンバーカードをもつ国民がクレジットカードやQRコード決済などから1つのキャッシュレスサービスを選択、登録して2万円使うかチャージすれば5000円分のマイナポイントをもらえる事業です。全国でもらえる人数に制限があり、期間も来年3月までに、という制約はありますが、早ければ可能性はあると思います。

 日本が遅れてきたキャッシュレス化などデジタル社会に突破口を開く施策であり、前提になるのがマイナンバーカードです。マイナンバーカードは、自分が自分であることを「所持すること」で証明できますが、日本では普及が進んでいません。多くの国ではID(身分証明)カードが「当たり前のように」所持されています。が、日本ではIDカードはありませんので、マイナンバーカードが変わるものになるでしょう。

 では、このカードを持てばどんなメリットがあるのか。マイナポイントをもらえる、だけではない利点。あの1人10万円の特別定額給付金は、カードを持つ人にはスマホなどからのオンライン申請で早く給付されました。わざわざ窓口まで出向 かなくても自宅から手軽に、便利に、早く、という得がありました。デジタル時代の例の1つでしょう。

 来年3月からは、みなさんがお医者さんに診てもらうときに必要な健康保険証としてマイナンバーカードが徐々に利用できるようになります。同じカードですから「なんのメリットが」と思われるかもしれませんが、「マイナポータル」というインターネット空間の中で自身の薬剤情報や特定検診情報が確認できるようになりますので、健康管理に活かされるという大きな利点があります。

 このほか、普及できれば市役所の窓口まで出かけていかねばならない印鑑証明や戸籍抄本などの取得、税金の支払いといった手続きが簡素化され、窓口まで行かなくてもできる可能性が見えてきます。

 こんなこと言うと、「若い人にはメリットが多いだろうけど、長寿世代にはとても無理」との声が聞こえてきそうですが、ここを乗り越える努力も必要です。どうしたらできるか。パソコンやスマホを使いこなせないから無理、ではなく、使える人や場所を確保する。使えるように学ぶ、など。その場づくりやサポートは行政の仕事でもあります。

 使いこなせるようになれば、大きなメリットが享受できるデジタル化が進みます。交通面での不便さや時間のかかる現在のアナログな社会が、だれでもより便利に早く行政面でのサービスを受けられます。そんなデジタル社会は目の前に近づいています。

 マイナンバーカードですが、直近のデータでは、豊前市民の取得率は16.4%と全国平均17.5%までも届いていません。特効薬やワクチンが開発されたあとにくるウィズコロナ、アフターコロナ時代にこれまでとは違うデジタル社会をつくるために、みんながマイナンバーカードを持つ、使えるデジタル社会をつくりましょう。

 

市長の部屋 令和2年8月

「60兆個の細胞を元気に」「自分でできる予防医療」

 「健康診断受けているから大丈夫。早期発見、早期治療で安心と、思い込んではいませんか」と、市役所で行った職員研修のときに、講師である日本予防医療協会(岡山市)の代表理事 医学博士の金城(きんじょう) 実(みのる)先生から問いかけら れて戸惑いました。ガン検診で小さなガンが見つかって「ラッキーだと思っていませんか」と、言うのです。

 早期発見、早期治療は確かに大切なことですが、金城先生は病気に「なってから、治す」ではなく「ならないように、なりにくくする」への意識転換が大事、と。

 では、どうしたらいいのか。それは予防です、と。予防医療は病気の症状を和らげる対症療法ではなくて「自分の身体を構成している60兆個の細胞を元気にすること」。金城先生曰く、ガン検診では細胞が1センチ大になってようやく発見され、治療されるのが普通で「早期発見、早期治療」と言われます。この大きさになるまで9年ほどかかります。この9年間は「未病」で、大きくなるまで「経過観察」です。

 この現代医療に、予防医療をとりいれて「病気になりにくい」身体にする。そうしないと、豊前市の県内で最も高い国民健康保険医療費(年間1人あたり44万円)や中位の介護保険料(同約27万円)が今のままでは破綻するかもしれません。困るのは市だけではなく、市民のみなさんにも負担が生じる可能性があります。こうした近未来を招くことのないように、健康意識を高めていかねばなりません。

 体の表面を覆う皮膚(面積は畳1枚ほど)の細胞に現れるシミやイボなど細胞の変化は体内にもできている可能性があり、悪性だと怖い。もうひとつ、体内の消化器、呼吸器などの表面の粘膜はなんとバドミントンコートほどの広さとか。この粘膜層を形成する細胞を元気にすると免疫力がアップして感染症にも抵抗できる身体に。

 金城先生は元気な細胞をつくるために「細胞に酸素と栄養を行き届かせること」が必要。そのために、こうしなさい、これをやって、と「がんばらせる」と大半の人が続かない。予防医療に24年間取り組んでの「結果」。で、「がんばらなくてもできることの継続」の重要性を提唱。具体的には、食事法と「万歳ストレッチ」「腕振り体操」運動を勧めています。

 万歳ストレッチは、朝起きたときやトイレのたびに鏡に向かって先ず笑顔。両足を肩幅に、息をしながら両手を高く上げ、力を入れて手を開いたり閉じたり5回繰り返して静かに下ろすだけ。下ろしたときに腕に感じる血液の動きが血流で、これが滞った状態のときに肩こりなどを感じるのだとか。腕振り体操は、片方の足を前に出して軽く腰を上下させながら両腕を大きく前後に振る。これを1分間つづける。身体の隅々の毛細血管に血が通い、身体が温まって免疫力が上がる。こんな運動を「継続」することが大切と言います。

 コロナに負けずに共存できる心身になるため、これまで市が推奨してきた口腔ケアと合わせて、取り組んでいきましょう。コツコツ続けて健康という最高の幸せをつかみましょう。大切な自分とみんなのために。

 

 市長の部屋 令和2年7月

「コロナ禍(か)でガラリと変わる近未来」

 今年4月7日に政府が緊急事態宣言を出して以来、生命、健康を脅かされ、経済危機が深く、大きく広がり不安の日々に包まれています。豊前市も事業者向けなど支援策を講じてきましたが、個人向け支援策などは不十分とのお声も届いています。家庭でいう貯金にあたる財政調整基金が県内の市の平均額から大きく低い現況では納得される手を打てないのが実情です。国の臨時交付金をにらみながらの対策を6月議会に追加提案で議決いただきましたのでお待ちください。自粛要請解除で感染者が増える予測もあります。市内感染者は11人発生(6月22日現在累計)しており、引き続き油断できない状況です。

 感染者、濃厚接触者に対して、感染に関する誤解や、偏見に基づく差別を行うことは許されません。防災ラジオなどでもお伝えしていますが、正確な情報を入手し、冷静な行動に努めてください。誤ったコロナ情報に振り回されないことが大切です。

 この新型コロナウイルスは社会にも大きな変革をもたらしつつあります。この3か月間で、働き方がガラリと変わってきました。テレワーク、リモートワークなど職場に出勤せずに自宅などでの勤務。ズーム会議や福島県磐梯(ばんだい)町は議会の委員会をオンラインで。民間ではオンライン飲み会なども。このように密を避けて、人が集まらなくてもことが進めば、機能が成り立てば、高い地価の都会一等地に高い家賃を払って会社をかまえる必要性すらなくなります。密と効率を求めた都市の在り方も変わりそうです。

 社会構造が、大都市への少極集中から地方の多極集中へ大変革の流れが起き始めたようです。コロナ禍の終息後にいままでの働き方に戻さない大手企業が出てきています。中小企業には厳しいハードルかもしれませんが、向かわなければならない近未来ではないでしょうか。

 こんな社会を支え、引っ張っていく技術が急伸しています。ITやICT(情報通信技術)、さらにこれを使って構造改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の創り出す社会や企業。インターネットを駆使しビッグデータ、AI(人工知能)で動く社会活動などなど。アルファベットやカタカナで何がなにやらわからない、理解できない時代に突入。いずれ無くなる仕事や新たに成長する仕事が予測されています。

 こうした社会にはとてもついていけない、と思っている方も多いのではないか。そのひとりとして口惜しさとあきらめが混在しています。でも、これから社会に出ていく豊前市の子どもたちには、こんな思いはさせたくありません。

 われわれが教科書とノート、鉛筆をもって、黒板の前で教える先生から学ぶ、のではない新しい教育環境を備えなければ、これからの時代に与えられた能力を存分に発揮し、人生を輝かせることは難しくなります。文科省は児童生徒に1人1台のコンピュータ端末を与えるGIGAスクール構想や、電子黒板、電子教科書で学び、オンライン授業の時代に向けて教育ICT環境の整備を進めています。自治体にもそれを進めるための相応の負担が生じます。が、豊前市の将来を託し、広く活躍できる子どもたちを育てるのは最大の重要課題です。財政健全化を目指しながらもしっかりと取り組まねばと、コロナ禍でできた時間に考えていました。

 

 市長の部屋 令和2年6月

「コロナ禍(か) で始まる新たな日常」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出されていた緊急事態宣言で「特定警戒都道府県」の指定を受けた福岡県は5月14日、他の 38県ともども解除となりました。とはいえ、ステイホーム、営業自粛の要請が緩められるだけです。終息ではなく、ようやく日常を取り戻す入口に立つことができただけ。第2波にも備えなければなりません。

 これからもコロナの猛威が、生命や身体、暮らしだけでなく社会経済を破滅に追い込み続けている事態は解消されていません。あらゆる手を使って命を守り経済を回復させなければ、明日はありません。財政面で大変苦境にある豊前市として、この危機をどう迎え撃つのか、まだまだ試されています。

 市は緊急事態宣言直後、感染拡大防止のための休業要請に応じて営業自粛をした事業者などを対象に休業協力金を20万円、時間短縮に10万円を支給。これに続き第2弾として幅広い業種に広げて「頑張ろう!ぶぜん!応援金」 10万円(休業加算5万円)を施行。商工会議所などが主導したテイクアウト「♯豊前エール飯」なども広まっています。

 財政面で厳しい豊前市は、財政健全化推進の立場から、市長給与の10%と教育長給与5%カットを4月から実施。財政支出について「使うときには使う」だけでなく、併せて節減、健全化を目指さなければアフターコロナ時代を勝ち抜けません。

 いずれにしても、コロナ感染による病気だけでなく、経済打撃でも生命を奪われるような状況をつくらないようにしなければなりません。どちらの生命も大切さに変わりありませんから。

 市内の各種業界では、先の読めない不安、いら立ちが尽きぬと存じます。自動車部品メーカーのある社長は「3、4、5月はボトム(底)で、6、7月に40%から60%に回復できるかも。8月以降に80%まで戻れば、と期待している。が、そのあと100%、コロナ以前の経済環境に戻るとは考えにくい。80%がこれからの生産規模、平常になるのではないか。」との見通しを、電話で話してくれました。

 「元に戻る」ではなくて、業界によっては80%規模の経済状況がつづく可能性が出てくるかもしれません。80%でもやっていける「新たな日常」が始まる、と考えていかねばならないでしょう。

 新たな、という意味では「学校の9月入学、始業」が注目されています。東京、大阪の知事が前向きにとらえて発言しています。注視していかねばなりません。こればかりは国が、にかかるところです。

 市内の小中学校は、5月18日から分散登校の開始となりましたが、本格的に授業がコロナ前に戻るのには日数が必要です。この原稿をしたためながら気になるところです。新たな日常の義務教育体制についても、コロナ禍を機に「子供たちが生まれてよかった」「他所に負けない教育環境がある」豊前市にするには、なるにはどうすべきか。コロナが見ています。

 

市長の部屋 令和2年5月

「新型コロナから学び、みんなの協力で打ち勝ちましょう」

 新型コロナウイルス(新型コロナ)の猛威は止まることなく世界を恐怖の底に導いています。豊前市も複数の感染者が確認され、市民のみなさんも心配が尽きない日々を過ごされていると拝察しています。感染された方々のご回復と、感染者がこれ以上増えずに 1日も早い終息を迎えることを祈るばかりです。

 こんな憎き新型コロナですが、私たちに多くのことを教えてくれています。人間という動物はこれほど弱き動物だったのか、です。科学の力で気候変動を起こすなど地球環境を破壊できるほどの人間が、目に見えない微生物に襲われ、生命存続の危機に直面しています。

 この難局を乗り切るには、人がお互いに認め合い、つながって補う、支えあって生き延びていくこと。自分は他人に頼らず、何でもできると思い上がってなかったか。改めて考えさせられます。

 お互いを認め合い、協力して相手の持つ力を引き出し、社会という協同体を構成している人間です。お互いの能力、技術でお互いを守り、さらに強くしていかねばならない、など再確認です。

 医療面でも、知っているつもりで知らなかったことを学びました。例えば、行政からはもちろん、テレビやインターネット、新聞などの媒体で「石鹸で手を洗う」新型コロナ対策ですが、私は石鹸で手を洗えばウイルスを含む汚れが落ちる、ことだけ念頭にありました。殺菌できるとは思っていませんでしたが、脂質の細胞膜に包まれている新型コロナは、石鹸水の界面活性作用で脂質が破壊され、死滅するとのことです。60%や70%の高濃度アルコールでなくても家庭にある石鹸、洗剤で十分有効なのです。

 治療薬が開発されるニュースもしばしば目にします。「治療薬、ワクチンが開発されれば救われる」というのは、その通りかもしれません。が、治療薬って体内の新型コロナの動きを抑制する力しかない、らしいのです。抗体ができて新型コロナに負けない身体に変わるまでの時間稼ぎの役割だとか。

 ワクチンは弱い新型コロナを体内に入れて抗体をつくるわけですから、薬さえあれば大丈夫とは言っても薬頼みでは心配ですね。結局のところ、新型コロナ対策は、感染しても抗体を早くつくれる健康な心身を持つことが最も大切です。つまり、免疫力ですね。

 飛沫の拡散を防ぐには効果があっても、鼻や口などに入ってくるウイルス防止には弱いといわれるマスクの内側に、殺菌力ある唾液を満たしている体質が必要です。口呼吸を改善できる「あ・い・う・べ体操」など『口腔ケア』ではないでしょうか。 

 新型コロナとの戦いは24時間、毎日続いています。感染して頑張っている方々が早く元気になられることを祈ってやみません。医療現場の最前線に命がけで挑んでおられる医療従事者のみなさんに感謝をお伝えします。市民のみなさん、「あなたの自制があなたと大切な人を守ります」。みんなの協力で新型コロナに打ち勝ちましょう。

 

 

 

 

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