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  後藤 元秀 市長

 

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市長の部屋 令和2年3月
「豊前桜の生みの親 佐野藤右衛門さん」「中学校国語教科書に載っています」

 「お父さん、その人なら知ってるよ。国語の教科書に出ている『桜守三代』の佐野藤右衛門さんやろう」―これは、ことし1月19日に行われた市の「令和元年度さくら記念植樹祭」を担当した市の職員が中学校1年生の長男と交わした会話の一部です。職員は天地山公園など市内14か所に16種類の桜の苗木300本を市民のみなさんに呼びかけて植える最前線を担当。この事業を指導していただいた松沢七海司さんから松沢さんの桜の師でもある佐野藤右衛門さんのことを聞いていたのです。

 京都・仁和寺の領地で代々田畑を耕し後継ぎが「藤右衛門」を襲名、12代目から植木にかかわる仕事をしており、今の藤右衛門さんが16代目。14代、15代とともに「桜守三代」として教科書7ページにわたって紹介されています。この16代が京都で育てた桜を、潮風に強い遺伝子を注入してつくった桜に「豊前桜」と命名していただき市内に植えたことから、職員が長男に伝えたつもりが、教科書で習っていたことを逆に知らされたのです。「驚きました」と職員。そして「豊前にこんな著名な、桜の権威がつくった桜を無料でもらえたんですから。子どもたちにも誇りを感じてもらえます。」

 こんな明るい話題をお伝えできて嬉しいのですが、この冬初の平地降雪に見舞われながら新年度の当初予算などを審議する市議会が2月19日に終わりました。執行部から27議案を提案しましたが、第27号「豊前市長等の給与等の特例に関する条例の制定」など2議案が継続審査となりました。

 第27号は、私と教育長の給料を10%、5%カットする議案。経常収支比率が100%を超える見込みで、貯金(財政調整基金)は10億円ほどしかなく、このままでは財政再生(赤字債権)団体入りに大きく近づく危険域です。豊前市は45年前の昭和50年、赤字再建団体入りしました。国の指導の下、あらゆる住民サービスが打ち切られ、租税などが上がりました。3年間で脱却できましたが、「地獄を見た」との声は多かったようです。「こんなことになってはいけない」のですが、今年度の経常収支比率は100%を超える見込みです。さらにここ10年間で10億円台から15億円台まで積み上げてきた貯金(財政調整基金)を大きく切り崩して新年度予算を立てざるを得ませんでした。

 少子長寿化が進み、社会保障費がこの10年間で平均1億円ずつ伸びています。加えて、今年度に実行した防災ラジオの整備や新年度から取り組む市庁舎の耐震事業にかかる起債の返還が2、3年後には始まり財政は間違いなく窮迫します。

 このような厳しい近未来にどう対応していけばよいのか。頭をかかえる日々ですが、令和の時代に夢を描けない、希望を持てない豊前市にならないように頑張らねばなりません。そこで、考えました。この窮状を率直に市民のみなさんに知っていただこう。再生団体入り目前と言われる他の自治体を調べますと「市民に心配かけないように」と情報を公開せず、せっぱつまって「首長の給与カット」となっています。

 豊前市は、いまならまだ間に合います。市民のみなさんのご理解とご協力があれば切り抜けられると確信しています。協働の力で財政立て直しができます。

 新年度前にも財政健全化推進組織を立ち上げ、歳入増対策や財政再建策を具体化して市民のみなさんに理解を得ながら取り組む覚悟です。そのような私たちの思いを、姿勢を示す意味でもこのような給料カット議案を提案しました。

 桜の花は厳しい冬の寒さを乗り越えて美しい花を咲かすと言います。厳しい財政事情という「寒波」を市民のみなさんのご理解とご協力をいただいて乗り越え、市民のみなさんみんながこれから迎える桜の季節に負けない笑顔が輝く豊前にしたいと願っています。

 

 市長の部屋 令和2年2月
「経常収支比率がさらに悪化」「背景に急激な少子化、長寿化」

 早春の清々しい空気につつまれ、静豊園さんの河津桜が咲き誇る季節を迎えました。1月19日に天地山公園などで行われた令和元年度を記念する「元年桜」植樹には天地山だけで200人を超すみなさんの参加をいただき盛り上がりました。この勢いを「桜の里、花の豊前」づくりにつなげていきたいものです。

 桜の開花に合わせるように令和2年度が迫ってきています。市として新年度事業、予算の準備をしていますが、財政状況が厳しくみなさんの「ここに予算をつけて」という要望に十分には応えきれていないのでは、と心配です。

 と、言いますのも平成30年度に98.7%まで上昇した経常収支比率。これは、市財政の弾力性を示す指標で、人件費、扶助費など経常的に支出される経費額を市税、地方交付税などの経常的な収入で割った比率のことで数値が低いほど健全です。令和元年度は100%超となる可能性が極めて強くなっています。

 県内60市町村のうち少子化、長寿化が進む42市町で90%を超えており、100%を突破した町もあります。県外では、大分県杵築市が100.9%となり、「このままでは赤字再建団体入りとなる」と、緊急財政対策に取り組んでいます。

 豊前市も健全な財政運営にこれまでも手綱をしめてきましたが、急激に進む人口減少や医療、福祉など社会保障費の増大などもあり非常事態です。

 私が市長になって取り組んだ主な事業はうみてらす豊前、豊前市獣肉処理加工施設(豊前ジビエセンター)建設と、し尿・汚水処理施設の統廃合一元化、口腔ケアと健康づくりなど。今年になって開始した防災ラジオの配布とアンテナ基地建設です。このうち、し尿・汚水の統合は、一時的に経費を要しましたが、運営経費は大幅に節約できるはずで、将来負担を減じる策です。

 来年度から市庁舎の耐震工事が始まります。従来工法だけでなく、工期は少し長くなりますが仮庁舎棟を建てずに庁舎等の空きスペースを活用しながら、炭素繊維技術なども使って当初予想されていた経費の約半額の6億2千万円余で施工できそうです。

 安全、安心を確保する防災事業は後回しにできないもので、取り組まねばなりません。こうした事業には、国や県の補助を積極的に活用し、市の負担軽減を目指してきました。さらに、職員削減につとめ、人件費も抑えてきましたが、その努力を超える急激な少子化(今年の新成人259人、現在の小学5年生10歳児199人、0歳児161人)や長寿化(高齢化率35.89%)に伴う社会保障費増など苦しい財政運営を迫られています。

 1年に約1億円ずつ増えている扶助費に加え、今年度末の退職職員が多く退職金の比率が突出したことがあり、一時的な面もありますが、この危機を市役所として節約だけでなく、入るを計る企業誘致などの民間投資やふるさと納税などで乗り切らなくてはいけません。市民のみなさんにも理解していただき、協働の力で危機打破に向けて頑張る覚悟です。力を貸してください。

 

新年のあいさつ 令和2年1月
 『 令和の時代をこころ「豊」に、「前」向きに』「謹賀新年」

 令和初の新春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催される新年。市民のみなさまにとって明るい、元気に満ちた1年になりますように、市として全力投球せねばと、心に秘めているところです。

 松の内が明けると消防団出初式、成人式など恒例の祝賀行事がつづきます。今年は加えて、令和元年度を記念して天地山公園など市内13か所で桜の苗木300本を植樹する催しがあります。ユネスコ本部にイサム・ノグチ氏と一緒に桜の日本庭園を造るなど、「桜守」として知られる第16代佐野藤右衛門さんに世話していただいた桜など15品種で名所をつくろうという事業です。令和の豊前は桜で地域おこしです。

 また、防災アンテナの工事が進み、防災ラジオの配布が始まります。主に公民館、集会所、市役所での配布を予定しています。さらなる市民のみなさまの安心・安全につながることを願っています。

 さらに、これまで続けてきた口腔ケア事業に今春、九州歯科大学の提案で同大学が開発した新技術をつかって、市職員の歯周病検査を始めます。これが市民のみなさまに広がれば、口腔ケア事業が大きく深化します。

 加えて、今年から国民1人ひとりから申請いただき12ケタの番号と写真を載せ、ICチップの電子証明書がついたカードを交付するマイナンバーカード普及促進事業が本格化します。政府は令和4年度中には国民のほとんどがこのカードを取得する目標をかかげています。市としても、将来は健康保険証として使用でき、身分証明になるカードの取得推進に努めます。多くの市民がカードを所持するころになると、市役所での証明書取得手続きも変わるかもしれません。窓口業務も変わりますね。

 昨年は、し尿、汚水の処理業務が1本化できました。これによって大幅な経費節減が期待されますが、もうひとつゴミ処理施設の老朽化という難題にも直面しています。吉富、上毛両町とつくった組合で広域の処理をしていますが、灰捨て場が満杯寸前で、焼却設備も修繕費がかさんできています。新しい処理施設を検討しなければなりません。気象変動の原因とされるCO2をできるだけ削減し、安全でお金がかからない方式を最優先に検討しなければならないと考えます。

 難題山積ですが、ことしは少子化に伴う教育環境の整備にも着手しなければならない見込みです。10小学校、4中学校の古くなった校舎を長寿命化という工事で整備すると今後10年間で約50億円もの予算が必要です。巨額な経費を捻出しなければなりません。頭の痛いところです。

 こうした財政状況を改善するにはし尿処理のように効率化による経費削減と自主財源の獲得しかありません。見直すべき事業を徹底して洗い出し、企業誘致などの投資を働きかけるのはもちろんですが、新年度から制度内容を変えてスタートする見通しの企業版ふるさと納税獲得にもしっかり取り組まねばなりません。個人版はこれまで同様ですので市外在住の家族、親族、知り合いの方々にお声掛けお願いします。

 経費を削り、回して副食費給付などの子育て支援、増えていく外国人対応、危険な空き家対策など対策していかねばなりません。もちろん1次産業の振興、3次産業の取り込みなど力を入れていきますが、市役所職員一丸となって、昨年のラグビーワールドカップに見たワンチームで、「ワン フォー オール、オール フォー ワン(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」精神でこの1年を頑張ります。

 子の年が、市民のみなさまにとって健康で幸多からんことと、こころ「豊」に「前」向きな1年になりますことを祈念して新年のご挨拶といたします。

 

 市長の部屋 令和元年12月
 「来るべきソサエティ5.0社会に向けて」

 ソサエティ5.0という言葉を聞く、文字を見ることが少し多くなってきたようですが、はて、何ぞや?と、いう方も多いのではないかと思います。かく言う私も、言葉は知っているが、他の人に説明できるほどではありません。

 だけど、私たちの暮らし、社会に忍び寄ってきているのは確かなようです。ソサエティ、つまり社会が1.0の原始・狩猟社会。2.0の農耕社会。3.0の工業社会。4.0が、いまの情報社会。そして、その次の新たな社会が5.0で、超スマート社会とも呼ばれているようです。IoT(物のインターネット)で社会がつながり、AI(人工知能)により多くの蓄積情報が分析、利用され、少子長寿命社会にロボットやドローン、自動運転が取り込まれて生活、労働環境などが驚きの変化をするといわれています。

 こんな社会で「残る業務」は、企画立案・対人関係の仕事しかなくなる、とも予測されています。無人の農業用機械やドローンなどを駆使したスマート農業。ロボットが働く工場で加工され、食品という商品をロボットが販売する、なんてことには一気にいかなくても、近いところまで行くかも、です。こんな社会に求められる人間像は具体的に浮かんできませんが、AIに負けない頭脳をもち、対人関係をうまくできる人間力をもつ必要があるようです。

 そんな時代に求められ、生き抜く力をもつ子どもたちを育て、教育していかねばなりません。気の遠くなるような話ですが、令和の時代はそれを避けて通れない、のではないかと思っています。

 学校現場は、その歩みをすでに進めています。先生が教室の黒板に教えるテーマを書き込んで、それを基に子どもたちがノートする時代の一斉授業から、電子黒板やタブレット端末などICT機器を使って個別に対応できる授業へ。来年度には、暗記だけでなく主体的に、対話的に、深く学び、その学びが生涯にわたって能動的につながるよう目指すアクティブ・ラーニングが取り入れられるようです。

 その教育現場の空間的環境整備、指導する先生方への支援など行政課題が目の前に山積してきます。これらをどのように解決していくのか。財政がひっ迫する中での厳しいかじ取りを担わなければなりません。

 予測されるソサエティ5.0社会ですが、何となく無味乾燥、無機質で温もりを感じさせない社会の雰囲気が漂います。そうした社会に必要な人の交流、ぬくもり、温かさや、潤いこそソサエティ5.0社会の到来とともに備えなければならない要件ではないかと思います。

 9月議会で承認いただいた令和元年度を記念する桜植栽事業は、そうした潤いや安らぎ、癒しをもたらしてくれる環境を生み出してくれると信じています。市内の空き地、荒地に桜などの花が咲く樹木を植えて、大切に育てて、今より多くの花木に囲まれ、みんなで花を楽しむ豊前市ができたらなあ、と思っています。こうした協働事業はソサエティ5.0社会でもずっと残っていきます。

 

市長の部屋 令和元年11月 
  「外国人実習生と地域との交流会」

 台風19号が大規模、広域に多大な被害をもたらしました。亡くなられた方のご冥福を祈りつつ、被災されたみなさまに心からお見舞い申しあげます。復旧復興にできる限り支援いたします。

 被災地のみなさんに「元気を贈りたい」と頑張ったラグビーワールドカップで、日本が全勝でベスト8に進出する快挙。対南アフリカ戦は惜しくも負けましたが、大健闘です。混成チームが日本ラグビーの新しい歴史をつくりました。

 日本チーム31人のメンバーは日本生まれがほぼ半数。このワールドカップの規約で国籍を問わず、その国でプレーした年数などチームメンバーとなる資格さえ持てば、その国の代表となれるからですが、国際化を象徴したチーム編成です。人口減少社会に突入した日本ではこれから、こんな「混成」「編成」がどこでも見られるのではないかと思われます。「内なる国際化」の進展した姿です。

 こうした動きのなかで10月13日には「沿岸警備協力会がつなぐ外国人実習生と地域との交流会」が、午前中は市の多目的文化交流センターでソフトバレーボール大会。その後、九電豊前発電所・資料館で昼食懇談会がありました。

 同協力会(尾家清孝会長)が豊前警察署(山邊晶貴署長)とともに、ベトナム、中国、ミャンマーから実習生を受け入れている企業や高校の参加をえて開催。実習生約100人が青豊、築上西の高校生、豊前ライオンズクラブなど地域のみなさんと汗をながし、笑顔を交換しました。

 ソフトバレーボールは、彼らの祖国にはないスポーツですが、若いだけにすぐに慣れて好プレーも随所にみられ、珍プレーが笑いを誘うなど盛り上がりました。昼食会は、実習生には「高価」なコンビニのおにぎりと盛り鉢の惣菜を食べながら、それぞれの国のことや豊前市についてなど意見を交換。食後には、実習生が1人ずつマイクを握って自己紹介する時間も。

 実習生に「将来の夢は」と尋ねると「3年後には母国でレストラン経営」「洋服屋さんをやりたい」「お金持ちになりたい」などに加え「日本に残って働きたい」という言葉も聞かれました。

 こうした「夢」を実現できるように、地域として企業のみなさんと協力していかねばなりません。このためにも、実習生を企業が採用、教育するだけでなく、市に籍を置き税金を払ってくれている実習生を災害や事故から守り、求められる教育を提供しなければなりません。企業と居住区とともに市役所が三位一体となってラグビー日本チームに学んで「よき混成」「内なる国際化」「望まれる迎え入れ」に努めなければなりません。

 実習生は「不足するのを補う労働力」ではなく「夢を抱き、家族の期待を背負った人間」です。彼らが、豊前市を好きになり、第二の「母国」と思ってもらえたら、と願います。

 この交流会の最後に、これから冬の寒い季節を迎える実習生のために市役所職員が集めた冬物の衣類をプレゼントする場面も。このプレゼントは、冬のない国から来た実習生にはとても喜ばれるようです。

 市民のみなさんにも冬着のご提供をお願いします。詳しくは本紙23ページをご覧ください。

 10月20日現在の在籍外国人は322人。

 

市長の部屋 令和元年10月 
「財政危機をふるさと納税で突破」「市民のみなさんと総力で」

 9月議会が終り、令和元年度も後期の半年が本格的に動き出しました。決算議会でもあり、広域での伊良原ダム建設、給水事業の開始など巨額の経費を伴う事業が本格稼働するとともに、長寿化、少子化の影響を受けた社会保障費の増大が市財政に大きな負担を与えていることがより一層鮮明になってきました。財政構造の弾力性を示す経常収支比率が98.7%と、まったく余裕なしの状況です。

 これまでの借金返済、人件費や扶助費などの義務的経費の支出と継続事業などをやっていくだけでやっとの厳しい財政の現状。新たな、大型の事業などとても考えられず、今をしのいでいくのがやっとの状態です。

 そんな市財政ですが、市を少しでも元気にするために「入るを量りて出ずるを制す」を続けていかざるを得ません。税収を上げ、無駄を省くしかありません。「出ずるを制す」は3か所あったし尿・汚水処理施設を1か所に統合するなど、各種個別事業、施設を人口減少に合わせ、将来を見込んだ規模にしていかねばなりません。

 「入る」では企業誘致など市への投資を呼び込み、就労の場を確保していくことや独自の知恵や裁量で収入となる「ふるさと納税」を拡充していくことなどです。企業誘致では、これまで視野に入りにくかった農業分野でも可能性が見えてきました。ベビーリーフなどのハウス栽培で県下トップの生産量が確実な企業や耕作放棄地で大規模な太陽光発電と農業を合体したソーラーシェアリングの企業が立地。農地の回復と新たな雇用が生まれ、特産物が生産されます。

 ふるさと納税は、返礼品を巡って大きな話題となりましたが、これまで以上に積極的に取り組んでいかねばなりません。市の目玉商品であった友好都市の東松島市の牛タンが、そのままでは使えなくなり、今年度からは地元の産品と抱き合わせた商品(50%以上が豊前市産)でなければ、使用できなくなりました。

 また、企業版ふるさと納税について、内閣府は来年度から「地方創生事業に賛同した企業は1割の負担で10万円以上を寄附できるよう」税制改正の要望を行いました。改正されれば、豊前市を地方創生事業で元気づけたい、という企業が市の事業をこれまで以上に財政面でバックアップできることになります。

 地方創生で、どんな事業に取り組むのか、市として試されますし、ふるさとが豊前市である方々や企業経営者はもちろん、縁がある、関心をもつ方々や企業に「豊前市をふるさと納税で応援して」と働きかけなければなりません。市長としてトップセールスしていき、職員も頑張りますが、市役所だけでは限界があります。市民のみなさんも、ぜひ縁のある方々、知り合いの市外企業などを紹介してください。総力戦で、財政危機を突破しましょう。力を貸してください、令和の豊前市を明るく、元気にするために。

 

市長の部屋 令和元年9月
「市内に95もの公共施設」「進む老朽化、人口減少」

 米中の、そして日韓の貿易摩擦の影響もあり、国際的な景気の先行きが不透明な状況下にあります。国はもちろん、地方も財政の見通しが厳しく、先が思いやられます。

 豊前市においても、加えて人口急減や長寿化などで税収が漸減。増えていく一方の市民サービス、伴ってかかる費用をどのように維持、工面できるか。心休まることはありません。

 こうした中、7月1日にし尿・汚水処理の公共下水道・浄化センターへの統合が実現しましたが、この秋に安全運転確保のための第2ルートが実現するまで油断できない日々が続きます。一元化から経費の大幅削減に至るまでにはまだ時間を要しますが、完成すれば財政面での効果が期待できます。

 こうした努力が報われる日を待ちたいところですが、容赦なく追いかけてくるのが多額の経費を要する事業です。これから目の前にやってくる市庁舎の耐震事業をはじめとする公共施設の維持、更新です。

 市内には、市の本庁舎だけでなく消防施設(18)、小学校(10)、中学校(吉富を除く4)、公営住宅(11)、公民館(12)、スポーツ系施設(7)、社会教育系施設(8)など95の施設があります。築50年以上の建物もあり、老朽化が進んでいます。

 これらの建造物を維持管理していくとなると、平成26年度に策定した「豊前市公共施設等総合管理計画」で今後40年間に約609億円、年間15億円余の大規模改修、更新費用がかかる見込みです。とても払える経費ではありません。人口減少、財政窮迫の現状で、将来を見据えた「骨太の対策」が必要です。人口規模に見合った施設の縮減や整理、統合が必然となり、避けて通れない課題だと認識せざるを得ません。誰かがこの難問に真っ向から立ち向かわなければ、後世に大きなツケを残します。

 国は、公共施設等の老朽化対策をはじめ適正管理を推進するため、人口減小する自治体に「個別施設計画」をつくるように求め、計画を立てたところに財政支援を始めています。豊前市は、施設の多くが建設された昭和40年に3万2千人ほどだった人口が現在2万5千人台の20%減になっており、施設の延べ床面積も単純計算で20%は過剰と言えます。

 し尿・汚水処理施設の統廃合のように、他の公共施設の見直しが待ったなし状態です。市は3年ほど前から国の支援制度に併せて削減への取り組みを始めていますが、進めるのに時間がかかっています。実現にはまず、市民のみなさんに理解をしていただかなくてはなりません。時間を要しますが、将来の子供たちのため、財政再建で元気な豊前市をつくるためにもきちんと取り組んでいかねば、と思っています。

 

市長の部屋 令和元年8月
  「し尿・汚水の集約処理が稼働」「2処理施設排して一本化」

  降りすぎても、降らなくても困る、心配なことしの梅雨。豊前市の農業用水、飲料水は7月中旬までなんとか過不足なく過ぎましたが、水害に見舞われた九州南部に気持ちを寄せつつ、水不足の行橋市や苅田町に気配りでした。

 市は昭和、平成の時代に伊良原ダム建設のリーダー役をつとめ、大きな財政負担を担いながら完成にこぎつけました。元年6月1日から給水を受けられるようになっていましたから、まずは安心。不足する両市町からの要請にこたえ応援水を送れたほどです。

 日量でいえば、「余水」があるのですが、市の直面した最大クラスの問題だった「し尿、汚水の一本化、集約処理」が7月1日から稼働し、余った水も活用できるようになりました。市議会で厳しい質問を受け、職員にも苦労をかけましたが、これまで3か所もあった処理施設がようやく1か所に集約できました。

 人口が急減する中で、能力の半分も使われていなかった公共下水道処理施設(宇島駅海岸側)に、横武地区の農業集落排水施設と能徳工業団地の処理施設を廃止した分を下水管でつないだ一本化です。このつなぎこみ事業を請けて頂いている企業の全面的な協力を得て第1工程が完成できました。感謝しています。

 難産でしたが、余るほどの水をもった市にとって公共下水道施設での処理を安全にできるためにこの水の一部を活用できることもあり、水道会計の「赤字」解消に結びつきます。関連して下水道会計も大幅な収支改善が見込まれます。厳しい財政運営のつづく市にとって大きな節減効果が期待できます。

 今後は、吉富、上毛両町との共同処理で、お互いに将来に負担を残さず、ともに利益になるよう次の広域一本化を実現すべく努力してまいります。

 令和の時代が幕開けして3か月。滑り出しはまずまずですが、市が取り組む課題はまだまだ、たくさんあります。いつ起きるかもしれない災害に備えるため、防災無線に加えて各戸に防災ラジオを無償貸与する事業もこれからが本番です。区長さん、組長さんなど地域の皆様にもお力をお貸しいただかなければとても実行できません。そのときには宜しくお願いします。

 この夏にはバイオマス発電所の試運転がスタートできそうです。が、燃料を宇島港に全量荷揚げできるようにするには解決すべき課題が残っています。関係する皆さんのご理解を頂けるようにがんばります。

 先月号で、花盛りの豊前づくりを目指したい、という記述をしましたが、そのあと市役所ロビーで「城山の桜が載ってなかった」とのご指摘。馬場地区の皆さんが地域挙げて取り組む城山の桜の植樹や手入れのご苦労を知りながら、桜祭りには私も毎年参加しているのに「申し訳ない」限りです。どうか今後も桜の山づくりをお願いいたします。このほか、如法寺のハスの栽培なども記述漏れでした。お詫びいたします。

 豪雨の恐怖に苛まれる季節が過ぎると、身体に負担の多い暑い夏が来ます。熱中症などに気を付けてください。

 

市長の部屋 令和元年7月
「令和元年を、花盛り、花で元気な豊前づくりに」

 雨にはアジサイがよく似合う、のとおりに第10回枝川内あじさい祭りが6月15、16日に降雨のなか行われました。小さな村の大きな挑戦、と銘打ってわずか17世帯のミニ集落が隣接の新貝区と一緒に、この10数年間1万6千株のアジサイを棚田の畔などに植え続けています。青紫や赤、白などの花が雨に打たれたその美しさに魅かれて今年も多くの観客が訪れていました。

 こんな行事を地元のみなさんが主催していますが、花の咲く2,3週間だけでなく、新たな植栽、株の手入れや除草などは地元民の1年間の「奉仕活動」。祭りでは、アジサイの咲く田んぼに植えられたソバの白い花も満開。地元の「そば打ち名人」の手打ちそばも登場。薬味には地区のスギ林でとれた葉わさびを使い、棚田米のおにぎりまで、美味しさ満載。集落のみなさんのご尽力に頭が下 がります。観光客も年を経るごとに増え、感謝です。

 豊前市には、冬の寒さから抜け出そうとする早春のころ、松江地区のミカン畑のなかに河津桜が咲き始めると、多くの見物客が訪れます。静岡県・河津町出身のミカン園経営の親子がふるさとの桜を豊前市に、とシカの食害に遭いながら植栽をつづけて見事な河津桜園を誕生させました。

 コートをまとっても見たくなる、足を運びたくなる河津桜の赤い花。現地から見下ろす豊前海の絶景も素晴らしく、シーズンには2万人以上もの花見客が押し寄せます。

 これにつづく桜はソメイヨシノですが、この花は市内随所にあります。なかでも天地山公園内の桜が数では多いのですが、園内に入らなければ見えないところが少し残念です。たおやかな美しさを見せる紅枝垂れ桜は岩屋・中畑区から戸符区の川沿いや合河・轟区に見物の人が急増しています。

 桜のつぎに宝福寺山のツツジです。八屋祇園のときに合わせるように山全体が花に包まれて大賑わいです。国の天然記念物指定を受けている犬ヶ岳の尾根に咲くツクシシャクナゲ群落も5月の連休前後が見頃ですし、地元では毎年シャクナゲ祭りを開いています。ことしは、求菩提資料館そばのシャクナゲ園のスギが伐採されており、園内のシャクナゲが明るい陽射しを浴びて輝いていました。

 このほか、菜の花やコスモス、向日葵、ポピー畑、家庭バラ園も人気で、咲き始めから見物客が詰めかけます。こうした花は、所有者や地元の多くのみなさんが手塩にかけ、汗を流した管理のもとで綺麗な姿を見せてくれます。花を愛し、地元を明るく活気づけてくださるみなさんに感謝です。

 花を見て怒る人はいない、花に癒されて元気をもらうなど花の力はすごいものがあります。令和元年を、市民のみなさんと一緒に、花盛り、花で元気な豊前づくり元年にできたらいいな、と思っています。

 

市長の部屋 令和元年6月
「時代が急激に変わる令和の幕開け」

 新元号令和の時代が動き始めました。平成からの変化変遷というだけでなく変革の幕開けでもあります。令和元年初となる県市長会総会(29市)は5月に筑後市で開催されました。

 総会後に講演があり、講師は「一代で日本トップとなった」ハウスメーカー創業者でした。同市出身である創業者のお話を要約すると「令和の時代は、社会が大きく、早く変わる」。経済界では「日本の銀行のトップ5は、2つのメガバンクに集約される可能性が高い」「5つの銀行のひとつは、昨年度27百人採用したのに今年度はわずか3百人」「都市の中心街から銀行のビルが消える日は遠くない」「東大出身のエリートが目指した企業が激減する、生き残れないのではないか」―こんな時代の到来を予言しました。

 さらに、ICT(情報通信技術)やAI(人工知脳)、IoT(モノのインターネットと言って、スマホやパソコンだけでなく家電や自動車、産業機械などがインターネットで繋がっていく)時代が本格化すると、「いままで当たり前だったことが当たり前でなくなる。産業だけでなく、暮らし方や考え方、生き方まで変わっていく。」と示唆されました。

 豊前市も、大きく変わる、変わらざるを得ないのは確実です。この欄で前にも取り上げています人口の急激な減少です。これまで通りに取り組んでいては、次の世代に申し訳が立ちません。

 では、どうすればよいのか。かの創業者は「市長さんたちの集まりですから、この時代の変遷に立ち向かうには、まず市長さんと市役所が変わるべき」と指摘されました。

 どうすればいいのか。大きな宿題を抱え込んだ県市長会総会から4日後、宮崎県都城市で開かれた九州市長会での研修会で開催市の池田宜永市長の講演を聞く機会を得ました。

 「結果を出す自治体経営」をテーマに、ふるさと納税で2年連続全国最高額を記録するなど、日本一の焼酎と牛肉の産地を全国に知らしめた業績を語りました。その中で、「地域の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を活用し、利益の最大化(=地域の発展)を目指す」「市民はお客様」「市の仕事は市民サービス産業」であり、市役所の中にこうした気持ちを持つ職員が明るく、元気に動き回り「熱気とよい空気が市役所に溢れている」「高い目標を掲げ、本気で挑戦する」ことを「何度も何度も繰り返して職員に伝える」とし、ふるさと納税では職員の反対を押し切り「行政の公平・平等の呪縛を解放し、どこもやってないからやる」と返礼品選びを指示して結果を出しています。

 国のエリート官僚だった池田市長が「有限実行、民間の感覚、手法を取り入れた」ように自らを変えたから成しえた成果です。もっと民間の経営感覚を磨かなければ、そしてくどいと言われるほど掲げた目標にみんなで向かって行かねばなりません。

市長の部屋 平成31年4月

「急進する少子化という危機に市民協働で立ち向かいましょう」

 少子化の急激な進み方をとりあげた先月号の本稿の反響は大きく、3月定例市議会でも多くの議員から現状と今後について各方面にわたり質問が出ました。人口減にともなう諸課題は市の財政をさらにひっ迫させ、地域振興への投資、教育や社会保障面などでの十分な行政サービスに影を落とすことにつながります。このままでは公共施設、道路などのインフラの維持や小中学校の在り方にも見直しが求められそうです。こんな危機感を市民のみなさんと共有し、どのように打開していくのか。市のこれからの大きな課題です。

 市議会で多くの議員から人口減に関する質問がありました。例えば、目の前の幼児保育や小中学校の教育についてどうなるのか、どうするのかなどでした。答弁では、文部科学省がかかげる「児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨できる教育環境」を子供たちに提供しなければなりませんが、状況はさらに、極めて難しくなり、今後は総合教育会議や通学区域審議会での論議を踏まえ、市議会や市民のみなさんの意見を聞きながら、方針を決めていくことになると答えています。市としても児童生徒数の将来予測をみれば、吉富中学校を含めて、建設後20年から40年超の15もある学校を次々に新改築、修繕するには財政が持たないのは明らかであり、悩ましい限りです。

 こんな市の近未来では、夢が持てないではないか、という声が聞こえてきそうですが、世の中には「災い転じて福となす」「人間万事塞翁が馬」という故事成語があるとおり、いまの苦難を元気な豊前市に転換する「起爆剤」にしなければなりません。

 全国では、同じような危機に直面した自治体が人口減のなかで成功した事例もニュースになっています。3月の市議会でもいくつも紹介されていました。こうした成功例も学びながら、豊前で活かせるなら、取り組んでいきたいと思っています。とくに、学校教育での成果や外国人の活用など、地域の協力をいただきながら、取り組んでみたいと思っています。

 もちろん、全国にない、豊前市独自の自然や歴史遺産、文化を活かした魅力アップ事業に、こんな時代だからこそ取り組みたいものです。四季折々にたくさんの人が足を運んでくれる「目と耳、舌な ど五感の満足。それに加えてわくわくするような気持ちにさせてくれる、来てよかったと思ってもらえる」豊前づくり、です。

 見方を変えると、いろいろなアイデアも出てきます。市民のみなさんのなかにも「こんな時代には、こうしたらどうか」といった私案をお持ちの方も多いと思っています。ぜひ、市役所にお寄せください。市長室に直接でも構いません。「目安箱」でも結構です。急進する少子化という危機に「市民協働のまちづくり」で立ち向かいたいものです。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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