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  後藤 元秀 市長

 

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市長の部屋 平成31年3月

「年間出生150人の時代に」「急減する人口に変革の手を」

  「団塊の世代」「油断」(日本に石油が入ってこない、日本における石油危機という主旨での油断)などの言葉を産み、社会の近未来を見抜いて警鐘を鳴らしてこられた堺屋太一さんが逝去されたニュースに驚かされた方が多かったのではないでしょうか。この堺屋さんが著した「平成三十年」という本には、経済が衰退していくなかで抜本的な改革を決断できずにずるずると国家を運営する政府。その結果、国際競争力を失い、縮小する経済のつけが国民に回ってくる時代。さらに少子高齢化、とくに少子化対策に後手を引いてしまった国の閉塞感が漂う姿を見抜き、描いています。

 日本の少子化は、これまでにもいろいろな話題にのぼってきましたが、大きな社会問題として積み残されたままです。地方では、直面する課題として現存し、大都市でも近い将来に「手遅れ」として浮上するはずです。

 豊前市ではどうか、と言いますと、平成29年、30年は1年間に生まれた子どもが約150人ずつです。現在の小学生が1学年平均200人ほどであり、幼児も近い数字ですから、この2年で一気に約50人ずつ減少したことになります。人口減が止まらない、どころか急減しています。この傾向は、結婚、出産世代の数からみてこれからもつづく可能性が高い、とみられます。この少子化こそ、国、地方問わず大問題です。

 統計によりますと、日本では50歳までの女性7人に1人が、男性5人に1人が1度も結婚したことがない、そうです。日本の合計特殊出生率は平成28年が1.44人、福岡県では同1.50人ですから、減り続けるのは当然です。

 これまで、結婚や出産は個人の問題で政府や地方の行政が口出すことではない、という考え方で推移してきました。できることは、働ける仕事づくりと子どもを産み育てやすい環境づくり、子育て世代、子どもにできる限り支援する、だけ。でも、実態は、このような施策につかえる財源の限りが支援の限りです。

 こうしたなかで、政府はワーク・ライフ・バランスという仕事だけでなく、家庭を大切にする生き方へ舵を切り直し、本年10月からようやく幼児教育・保育の無償化に踏み切るようです。100歳まで生きる長寿化の流れが進み、高齢の方たちへの行政サービスはとどまらない状況下、少子化、子育てという政策を手厚く打っていくには国と地方に多くの財源、人材が必要です。人口減で消費が落ち込み、経済が伸びなければ税収も上がらず、とくに地方の現状では厳しい限りです。

 豊前市では、このような状況をどのように打開していくのか。まち・ひと・しごと創生会議でテーマに掲げた「交流人口、観光」「教育・文化・スポーツ」「一次産業」の3つの振興に加えて、危機打開に大胆な対策をたて、将来像を描いて実現に向けた力強い変革の一歩を皆で踏み出さねばなりません。そのスタートラインである新年度が目の前です。

 あの堺屋太一さんはこんな言葉を遺されています。「日本の歴史を振り返っても、大きな変革は、それまでにあった価値観をすべて否定することから起こっています」と。

 

  市長の部屋 平成31年2月 

「何が起きるかわからない年が動き始めています」

 新年が明け、恒例の行事が一段落。大寒も過ぎて旧正月のころを迎えました。お元気にお過ごしでしょうか。穏やかな新春を迎えたばかりの正月3日、市内を襲った熊本県北部を震源とした地震の揺れ。新年号で予測した「変化の年」「何が起きるかわからない年」が確実に動き始めているようです。

 予期せぬことが起きている、のを実感させられたのが国民健康保険。昨年4月1日、国保の財政運営の責任主体が市から県へ移されたばかりです。県は「制度施行3年間は、納付金の算定にあたり、「一定割合」を0%とする。」という激変緩和措置を、公表していました。ところが、2年目である31年度は、この激変緩和措置を0%から上方修正する案が示されたのです。来年度は100兆円超の過去最大の当初予算を組む国が財政負担を避けた「激変緩和措置撤回」へ急転換した結果と思われます。

 市として即、県最高幹部のひとりに「いまになって、予算措置など絶対にできない。県の責任で」と直談判。影響が大きすぎる多くの市町村からは、「納得できない、受け入れられるものではない」との意見も出たのでしょう、県幹部も即、担当部署幹部を上京させ撤回に動き、とりあえず、年度内激変はおさまっています。しかし、このままおさまったとは思えません。この流れは「次年度からの激変緩和は厳しくなった」と、判断したほうが賢明と考えています。

 じつは、豊前市が運営主体だった昨年度までは、高齢者の偏在による保険者間の負担を調整するための財政支援措置を受けていたのです。よいことではありませんでしたが、これで何とかやりくりしてきたのが実態です。お蔭で長寿社会の先端にいる豊前市では保険税を上げずに、市の負担も少なくできてきました。

 「激変緩和という支援措置は3年で受けられなくなるとは、分っていた」のですが、「3年待たずにやってくる」のです。31年度から国県の支援が見込めないなら、どうするのか。市関係の国保赤字分は①保険税の値上げ②赤字を市の負担③医療費の節減―という選択しかありません。どの選択肢も難問山積です。

 どれがもっとも市と市民にとってベストなのか。①は、6千人ほどの国保加入者を経済的に苦しめます。②は、求められる他の行政サービスを削らなければなりません。もちろん国保以外の市民の 理解も必需でしょう。③は、市民参加の健康づくり推進。医療を適切に受診することを妨げずに、自ら取り組む環境整備がもとになります。

 みなさんはどの道を選ぶべきだとお考えでしょうか。いずれも険しい道ですが、変化に対応する柔軟な知恵と将来を見据えた市民のみなさんの理解と協力が絶対に必要なことだけは確かです。みんなで変化の年に対応していき、良い年に変えましょう。

 

平成31年 新年のあいさつ

謹賀新年 「平成の時代を経て」「新年はどんな年に」

 新年、明けましておめでとうございます。平成最後のお正月は、猪の年となりました。過ぎ行く平成を振り返りながら、新しい元号を迎える気持ちの切り替えを迫られます。

 では、新年はどんな年になるのか。元号が変わるように、大きな変化の年になりそうです。

 昨年末に、政府提出の「入管難民法改正案」が賛否分かれる世論のなか、国会は徹夜審議で可決。現在の技能実習生から労働者としての受け入れに転換です。長期滞在の可能性も、見えてきました。海外から「夢を抱き、家族などの期待を背に」やってきた「税金を払ってくれる」定住外国人をどのように処遇するか、問われます。豊前商工会議所や区長会などの団体と情報収集、協議しながら外国の若者が「第2の故郷」と言ってもらえる豊前を目指さなければと思います。制度がスタートするのは来年度からですが、その1カ月後には新元号となり、実質的には新元号に併せて「新移民時代」がやってきそうです。

 同じく、水道法の改正もありました。人口減少の流れが止まらないなかで、生活インフラの最たる上水道。市は、今年6月1日から、耶馬渓ダムに加え伊良原ダムの水を日量6,400トン受け入れなければなりません。1立方メートルあたりの料金はまだ決まっていませんが、巨額です。人口減-利用者減という環境で水を無駄にせず、水道事業経営をうまくやっていくのは厳しい状況ですが、頑張らねばなりません。将来的には、水道事業を、現在ある京築地区水道企業団を含めて、より広域での運営なども考えなければならない時代を迎えます。

 秋には消費税が10%に上がりそうです。この流れの中で、現金からスマホやカード利用のキャッシュレスへの舵を切りそうです。受けて立たねばならない地場企業のみなさんには機器をそろえるなど負担が大きく、厳しい局面を迎えます。市としてどのような支援ができるか。大きな試練でもあります。

 長寿の方が多くなる一方の市の年齢構成。このなかで「1人あたり医療費が全国でも上位」という問題が、このままでは収まりそうもありません。国民健康保険を使う市民の医療費増が保険税アップへ、となるか。市民全体が担う一般会計からの持ち出しになるか。それとも、1人ひとりの健康増進の取組で、予防で、医療費減につなげるか、問われる時代にもなります。

 このほか、温暖化の影響が大といわれる台風、豪雨などの異常気象に対応できる強靭な市のインフラ整備、市面積の3分の2を占める山林の活用、児童・生徒数が減少し続ける小中学校の将来像、老朽化しているゴミ処理施設など新元号の時代に、大きな課題が山積しています。市民のみなさんと果敢に取り組み、元気な豊前市を取り戻すために誠心誠意努力する覚悟です。頑張りましょう。

 

市長の部屋 平成30年12月 

「バイオマス発電所が動き出します」

 豊前バイオマス発電所の建屋が九州電力豊前発電所の隣に鉄骨の大きな姿をみせています。ベトナム、タイからの木質ペレットを年間合わせて16万トン、インドネシア産PKS(パーム椰子殻)17万トンを燃料に年間約5億kWhを売電する計画です。平成31年末から年明けの商業運転目指してこれから設備工事などが急ピッチで進みます。

 廃止方向に動く石油火力から再生エネルギーの時代に流れができていますが、順調に進展するには、浚渫など港湾整備や外国船をどのように迎え入れるか、地域の受け入れ力も問われます。市として来秋予定の試験運転に支障のないように協力していかねばなりません。

 こんなバイオマス発電の先進地が日田市にあります。代表的な株式会社グリーン発電大分・天瀬発電所を視察してきました。温泉街の山頂を切り開いた2.7ヘクタールの敷地に、山積みされた大量の木材が燃料です。これを機械で細かいチップにして乾燥、燃焼させて年間約4千万kWhを売電しています。

 ここは隣接の農地にできたイチゴ栽培ハウスに、発電で発生する温水を供給しており格安の暖房費で農業経営を支えています。コジェネ(コージェネレーション)という熱供給システムを実現しています。

 最新、最先端の技術を結集した豊前バイオマス発電所の電力供給能力だけでなく、燃料面では豊前市がもつ山林の活用や廃熱の利用など地域の総合力を高める方向に進めていきたいものです。どんな豊前市に変身するきっかけとできるか、この一年にかかっています。もっともっと勉強が必要です。

 「交通安全指導員さん、ありがとうございます」

 豊前市交通安全指導員協議会(山本康弘会長)の歓送迎会に出席しました。退任された谷崎ユキ子さんに市長からの感謝状を贈らせていただき、就任の末森正義さんに委嘱状を渡しました。

 谷﨑さんは12年4か月間にわたり交通量の多い千束小学校そばの交差点に立ちつづけ、行き交う住民の安全に目を光らせてくれました。これまで退任された多くの先輩方も、それぞれの地域で尽力いただき、遅ればせながらこの場を借りて感謝の意を表します。

 退任のあいさつで、谷﨑さんは「晴れの日ばかりでなく雨の日も、そして寒くてつらい日もたくさんありました。でも、頑張れたのは、何か自分のできることで地域に役立てれば、という思いと、ある小学生の存在でした」「その児童は機嫌の悪いとき、気の乗らない時は、おはよう、と声掛けしても知らん顔。でも気分のいい時は笑顔で、おはようと応えてくれる。これが楽しみ、嬉しくて街頭に立つ励みでした。」と。そして、声を詰まらせながら一呼吸おいて「この児童の成長をみて、頑張ろうという気持ちになり、続けてこれたのです。」谷﨑さんお疲れ様でした。

 

市長の部屋 平成30年11月 

「不登校児、生徒の拠りどころ」「フリースペースすまいる・川内が閉所」

 週末ごとに襲ってきた台風の強風、豪雨に見舞われながら9月末、市内の一角で静かに、穏やかに執り行われた閉所式がありました。平成22年に宇島に誕生した不登校の子どもたちの拠りどころフリースペース・フォロ「ひまわり」。翌年に移転し「すまいる・川内」と名称変更した山田地区の旧川内小学校がその舞台。きれいに清掃された小さな木造校舎の中でこの8年間余、数多くのドラマが展開されてきたようです。

 学校に行けない、行きたくない児童や生徒に「居るだけでいい」「ゆっくり語り、学ぶ」場を提供し続けてきました。家庭にこもってしまう子どもたちに、部屋から、家からの一歩を踏み出し、孤からの脱出を目指す。これを立ち上げの頃から主要な役割を果たしてこられた鳥田俊孝代表や吉本信一さんをはじめ、おおくのボランティアで活動にかかわってこられたみなさんが、支えてつづけてきたのです。もちろん、地元の川内地域の住民の方々の理解と支援がありました。

 閉所式では、中学生ら4人の子どもたちが、すまいる川内での思い出を発表、これからの決意を述べました。印象に残っているのは、みんなで行ったプロ野球観戦や映画と買い物、キャンプなど。人前に出られなかったのに、人ごみの社会に溶け込む体験を「楽しい」と感じることができたのです。大きな進歩です。

 鳥田代表は、挨拶のなかで子どもたち一人ひとりについて紹介、まさに「ゆっくり」とした口調で「寄り添う」姿勢を示していました。スピードと効率性に最大の価値を置く現代社会では、価値とみなされないユックリズム。スローライフこそ幸せがやってくる、なんです。

 歌や学びの発表のとき、1人の若い女性が子どもたちの中に入り、世話をしているのが目につきました。姉妹で前身のフォロ「ひまわり」に通っていた方で、高校を卒業後、専門学校に進みアパレル関係の仕事に従事。スタッフになったとか。発表する児童が、言葉を発しようとしてできないのを、横から「いいの、いいの。大丈夫」と声掛け。時間をかけながら、やさしくなだめます。

 彼女自身が体験してきたから、子どもたちに伝わるひびきがある、伝わるのではと感じるほど。その場の緊張した空気を解きほぐしてくれました。素晴らしいリーダーに変身した「卒業生」の姿です。この場面を見て、すまいるの活動は大成功であり、集団を組織で運営する学校教育にはなかなかできないところを支えていただいてきたのを実感させられました。

 こんな、すまいるの存在は存じていましたが、活動の場面を実際に見ることはありませんでした。いまになって「拝見しておくべきだった」と猛反省しています。閉所は、鳥田代表はじめ、ボランティアの多くが高齢になって続けるのが困難になったから、の判断。猛省しながら、巣立った子どもたちが、すまいるの体験を糧にのびやかに成長されんことを祈っています。遅ればせながら、支援のみなさまに市長感謝状を贈呈しました。

 

市長の部屋 平成30年10月 

「ジビエ料理が身近に」「獣肉処理加工施設が稼働」

 農林業に大きな被害を与えているシカ、イノシシなどを捕獲、肉にして活用することを目的にした豊前市獣肉処理加工施設が大西地区に完成し、今月から動き出します。9月議会で承認されまし た。

 これまで、中山間地域の農家が、耕作より多くの労力と時間をかけなければならないほど困惑してきたシカやイノシシなどの有害鳥獣対策ですが、捕まえても衛生面などから「市場出荷」「商品化」できないために「もったいない」「何とかだれもが食べられるように」などの声が寄せられていました。とくに、東京など都会で起きているジビエ料理ブームのなかで、「シカ肉が欲しい」などのリクエストも聞くようになりました。

 農家や山林所有者の獣による被害が少しでも軽減でき、捕獲したシカ、イノシシなど肉や加工品が市の特産品にできるように、と建設したのがこの施設です。国の支援を活用した衛生的な処理施設で、精肉は熟成してうまみが増すような設備も整っています。猟友会に所属する市有害鳥獣捕獲員の有志で組織した組合を指定管理者として指定しました。

 山などで猟友会が仕留めたり、山里に仕掛けたワナで捕獲したシカやイノシシを短時間のうちに施設まで運び、解体処理。枝肉としたあと、精肉に。さらに温度、湿度設定した専用の熟成庫で寝かせるなどして販売することになります。後段の解体処理後の加工室は、完全に隔離されて衛生的な環境を保った加工室で精肉または、熟成を経た肉として販売されます。未利用の部位などは外部でハムやソーセージにも加工可能です。

 こうして出来た精肉は、道の駅おこしかけやJAのふれあい市場、うみてらす豊前などの売り場や地元の料理店に卸され、消費者に販売することになりますが、福岡市など都市部への売り込みにも力を入れていきます。

 この加工工程は地域おこし協力隊員に担当していただきます。市外から来たフレッシュな、優秀なメンバーです。今年度内に3人体制をとれるように計画しています。技術を磨いて、おいしい商品をつくってくれることを祈るばかりです。

 東京都の板橋区では豊前市の観光特使を引き受けてくださっている鈴木雄二さんが知り合いの和洋中の料理店に直接販売網を広げてくださっており、9月にはシェフや調理人さん4人とともに豊前に来られ、うみてらす豊前で「豊前市の食材を利用した試食会・交流会」を開催してくださいました。

 このネットワークを広げて、「板橋区を拠点に豊前市の美味しいシカやイノシシの肉を売り込みましょう」と張り切っています。このほか、インターネット販売やふるさと納税の返礼品としてもPRして、豊前市の新たなブランド、特産品に育てていかねば、と思っています。

 真新しい施設から、やっかいものが、ブランド商品、特産品に生まれ変わり、市に活力をもたせてくれる日がやってきます。お肉を買って、食べて応援してください。

 

市長の部屋 平成30年9月

「ボランティア活動で官民協働のまちづくりを」

 平成最後の終戦の日、マスコミに人命救助の速報が流れました。山口・周防大島町で12日から行方不明になっていた2歳の男の子を、大分・日出町からやってきたボランティアの尾畠春夫さんが発見、家族に引き渡された吉報です。多くの国民が尾畠さんに称賛と感謝の思いを抱いたのではないでしょうか。

 体温に近い猛暑の中、多くの幸運が重なった結果なのでしょう。が、なんといっても尾畠さんの10年以上の体験、知識にもとづく「感」「眼」が、危機にさらされた幼子の命を救ったと言われています。尾畠さんはボランティア活動のなかで体得した「子供は下らない、上がっていく」と確信、山中のうっそうとしたしげみの中で発見したそうです。

 地理、地域に詳しい警察や消防関係者が「ここではないか」としたエリアを重点的に調べていたのに対し、それ以外の地域に眼をつけた尾畠さん。「警察や消防は何をしていたのか」との非難めいたテレビのコメントもありましたが、「官が気付かない、できないところを民が補った」「官民の協働の成果」ともいえます。

 ボランティア活動は、阪神淡路、東日本大震災などをきっかけに賛同参加する人たちが急増した印象があります。尾畠さんの「自分を育ててくれた社会に恩返し」から「社会、被災地のために役に立てれば」などをきっかけに。一部では「就職に有利」との話も聞かれますが、「自身の勉強や将来的に役立つ」といった動機から参加する方もいます。いずれにしても困った人たちや地域に奉仕する素晴らしい活動です。

 消防団や防災ボランティアとして防災士会があります。団員、メンバーはそれぞれ仕事をもち、いざという時や訓練には空いた時間を自分のことや家族につかわず地域社会のために使ってくれています。頭が下がります。

 こんな防災ボランティアだけでなく、自分の能力と時間を地域の求める人たちのために活かす一般ボランティアの存在も大切です。本市でも、30のボランティア団体が活動展開中で、今年度から社会福祉協議会・豊前市ボランティアセンターに専従のボランティアコーディネーターを配置して強化を図っています。こうしたボランティアの存在を「もっと市民に知ってほしい」「各団体がもつ独自の能力、魅力をもっと地域活力に活かして欲しい」「奉仕活動の輪が広がり、共助や互助の力が大きくなることで市の総合計画にうたう協働のまちづくりにつなげたい」と願っています。

 7、8月に12ヵ所で「豊前市に元気を取り戻すために」をテーマに開催させていただいた市政懇談会。元気のもとは「人口」「経済力」などに加え「健康と安心・安全」です。官と民が協働でまちづくりをする、できる、が大切です。尾畠さんのボランティア活動に学びながら、官としての責務をしっかり果たさなければ、と熱い、暑い夏に思いました。

 

市長の部屋 平成30年8月

「豪雨襲来の、緊迫した2日半」「お見舞い申し上げます」

 西日本を襲った豪雨で200人を超す犠牲者が出ました。昨日までの幸せな暮らしと慣れ親しんだふるさとの風景を失った被災地のみなさんに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。復旧復興へ本市としてできる限りを尽くす覚悟です。市内でもがけ崩れや床上浸水などの被害が出ました。心よりお見舞い申し上げます。

 あの豪雨をもたらしたどす黒く分厚い雨雲が長崎県から筑後地域にかかり、本市の南部に次から次に押し寄せてきたのが7月5日から6日、7日未明にかけてでした。この間、警察や消防の方々はもちろん、地元の消防団のみなさんが地域を巡回し、区長会、自主防災組織や公民館長さんたちと連携して住民の安全確保に動いていただきました。本当にお疲れ様でした。感謝いたします。

 この2日半の間に降った総雨量は八屋地区で390ミリ、岩屋地区で360ミリでした。6日午後あたりから雨の勢いが強まり「明るいうちに要援護者など弱い立場の方を避難させなければ」「明るいうちに避難の判断しなければ、暗くなってからでは危険が増す。」総雨量が200ミリを超すころから防災の拠点である市役所総務課のフロアに緊張感が漂い始めました。総務課にあるテレビの画面には気象台から送られてくるレーダーがとらえた紫色から赤、オレンジなどの雲の姿が映し出され、「すぐそばまで接近してきた」「わー、犬ヶ岳辺りにかかってきた。この紫の塊は大きいぞ。」「この雲が直接きたら、やばい。」など職員の声が緊迫感を一層増す。

 そんな中で、フロアの電話はひっきりなしに鳴りつづける。それを女性職員が手分けして丁寧に応対。ほとんどが雨水による災害への不安や溢れる水対策、避難所のことなど。1件ずつ丁寧に応対して記録用紙に記載。緊急時特別出動班の職員に渡し、対応する職員が動き出す、という連携プレーです。

 災害対策本部を立ち上げ、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告を発令し、区長さんたちの協力を仰ぎながら公民館などの指定避難所に避難された方々の対応に職員も当たりました。夜半に交代の職員が出て、宿泊した職員もいました。

 このほか、「雨水が流れ込むから何とかして」と助けを求める電話には、常備している土嚢2,000袋を職員が運んで対処。不足してきた土嚢づくりには、叩きつける豪雨の下で、若手の職員たちがスコップで土嚢に砂をつめて補給。夜遅くまで作業は続き、作成して運び込んだ土嚢は合わせて2,800袋にもなりました。

 こうして豪雨は去っていきましたが、いつ、どこで起きてもおかしくない災害に直面し、改めて防災の大切さを実感しました。なかでも市民のみなさんに雨雲の行方や避難についてなどの気象情報を戸締りしてカーテンを閉じた部屋でも鮮明に聞き取ることができる防災ラジオがあったら、もっと安心につながるとしみじみ感じました。この防災ラジオが市内全域をカバーでき、各戸に配布するのに必要な設計が本年度行われています。必要なアンテナを建設し、次年度以降に配れるように事業を進めています。

 

市長の部屋 平成30年7月

「あ・い・う・べ体操で健康増進」

 早朝、始業前の市役所でラジオ体操をやったあと、いくつかの課で「あ、い、う、べぇ」と繰り返す大きな声が響き渡っています。口腔ケア事業に取り組んで3年余り。この事業は在宅の高齢者を対象に展開するとともに、保育園や小学校に広がっています。この春から、市役所のフロアでもようやく口腔ケアのあ・い・う・べ体操が始まったという次第です。ひとつの事業を浸透させるには、まず「隗より始めよ」ではありませんが、市役所から行動に移す、ということでもあります。

 市の大きな方針である「生涯現役社会づくり」の核になる口腔ケアと栄養摂取を取り入れた「いきいきフェア」を6月2日に開催。そのなかで口腔ケア事業を主導していただく九州歯科大学の安細敏弘教授が、「口腔ケアでいきいき健口長寿」と題し、「口のなかを清潔に、強くすることが全身の健康につながること」「口の中の細菌を減らし清潔にすることが全身の健康につながる」「口内と口周りの筋力をつけることが誤嚥(飲み込み間違い)防止などに大切」と、講演。

 つづいて管理栄養士の桃田愛理沙さんが「低栄養予防で筋力低下を防ぎ、転倒による骨折や病気を悪化させないように」と口から食べ物をとって栄養をつけることが健康につながることを強調しました。200人ほどの会場を埋めた参加者は、映像を使ったわかりやすい話やブラッシングの実演に見入っていました。

 健康は「市民の真の幸せ」との思いから、このような事業に取り組んでいますが、市がNPO法人等に委託した「健康教室」では、高齢になっても適度な運動を行うことで、筋力の低下を防ぎ、健康状態を改善することを狙いとしています。教室での体力測定の結果からは柔軟性、バランス能力、下肢筋力、敏捷性等の向上が図れていることがうかがえます。「正座ができるようになった」「旅行に行って前より歩けるようになった」「心が前向きになった」「健康になれる自信がついた」などです。また、教室終了後も運動を続けたいという方には、民間での受け皿も整い、年々その参加者も増えています。

 身体を動かし、汗をかくことで健康実感を得たという声は、民間のスポーツジムからも聞こえてきます。80歳を超える方々が参加するジムでは「顔つきや身のこなしが軽やかで、10歳以上若返った」などのメンバーが増えているとか。運動が心と身体に好影響を与えていること。運動と健康の関連が見えてきます。

 65歳以上の人口が35%を超えている豊前市ですが、健康で生涯現役を貫ける人の数がどこよりも多いまちになれれば、幸せ実感人口がどこよりも多い素敵なまちになれます。あ・い・う・べ体操や舌回しなどが健康と、小顔づくりにつながることもある と言われています。とくに舌回しの連続は、頬やのど周りが引き締まり、高齢者に見られるブルドッグフェイスのたるみをとる効果が見られるとか。本当にそうなるのか、口腔体操実践で小顔づくりに挑戦する職員を募集してみたいなあ、とちょっぴり考えています。小顔が実現したら、「口腔ケアは健康と美容効果につながる」となるかも、ですね。

 

市長の部屋 平成30年6月

「中国の改革は地方主導で全国に」「全国市長会代表市長中国訪問団に参加」

 第14次全国市長会代表市長中国訪問団(団長・松浦正人防府市長)の九州ブロック代表として4月16日から21日まで、北京市―江西省・南昌市、九江市、廬山―上海市を訪問しました。全国の各ブロックから私を含めた8人の市長と現地の代表者が、それぞれの自治体がもつ課題や重点施策などの情報交換する場でした。

 中央政府と地方政府が共産党という一政党でまとまる中国は、これまでの訪中では感じなかった「日本の先を行く」姿を見ることになる旅でもありました。北京の日本大使館で横井裕大使と同席した一般財団法人自治体国際化協会の北村朋生北京事務所長(総務省からの派遣)からは、現在の中国について「超自由主義、超資本主義でスピード最重視の完全競争社会。国内総生産(GDP)も日本の2倍以上で、さらに急成長しています」と説明がありました。

 連日開かれた各市との情報交換会で、中国側はいかに経済発展が力強いか、豊かになっているかを発表。日本もそれぞれの歴史、産業、観光面での特徴を紹介しました。

 発展ぶりは随所に見られました。北京では上下3車線のきれいに整備された道路がベンツ、BMW、レクサス、キャデラックなどの高級車であふれ、観光名所やレストランは客でいっぱい。景気の良さを実感させられると同時に「人の数が経済活力である」と実感しました。

 最先端のICTやIoT、AIを活用した社会も日本より一歩先を行っています。北京首都国際空港では、入国管理の行列の横でまだ数台ながら「顔認証」による入国審査が行われており、主に中国人でしたが金属パイプで囲まれた細長い半畳ほどの空間にパスポートを掲示して入ると、その奥にパスポートを差し入れ、指先を当てて指紋をとる装置があり、セルフで入国手続きができるようになっていました。

 また、入国後に直面したのは現金決済のためにホテルで中国元に交換しているのは我われ日本人くらい。中国人はクレジットカードかスマホで決済して「現金はもたない」のです。同行した中国人担当者は「野菜ひとつ買うのもスマホが普通」と。

 スマホを駆使したキャッシュレス社会には情報セキュリティ面での危険性など難題を抱えますが、「現金決済の日本の常識は、中国だけでなく世界の非常識になりつつある」「日本が置いていかれる」の思いでした。

 街角のいたるところに設置された防犯カメラにも驚かされました。「天網工程」という国家級事業として国内に1億数千万台が配備されているとも報道されています。個人のプライバシーが危うい 社会の印象はぬぐえませんでしたが、日本暮し10年の経験ある女性は「小さいころから慣れて、違和感はない。むしろ凶悪犯罪がまず起きないのが安心」と。

 今回、中国社会に見た変貌は、地方が改革にチャレンジして、うまくいったところを全国のお手本にする「地方主導」の面も持つと聞きました。時代の変革を切り開く地方の果敢な挑戦も見習わなければ、と認識させられた旅でした。

 

市長の部屋 平成30年5月

「市民との協働のまちづくりへ」「区長会から意見書いただく」

 豊前市区長会(熊原博幸会長、131人)において、昨年9月から、「区長会のあり方」について委員会で検討、意見の集約が行われ、このほど意見書として市長、教育長と4人の部長に提出いただきました。

 意見書では、①新任区長に対する研修の実施②区長研修会③市への要望書の取扱い④市の諸問題に対して区長会としてできること⑤区の統廃合―の5項目について提言をいただき、実現するにあたり必要な条件整備を求めています。
①の新任区長研修は、区長さんに「なり手がない」と言われるなかで、安心して区長活動ができるように就任後の4月から5月にかけて研修を実施して円滑に区長業務が行えるように支援する。
②の区長研修会は、7月開催の区長会総会は、各ブロック統一要望をやめて、市役所の各所属長から業務説明をもとめ、質疑応答する形式に改めるなど。
③の市への要望書については、市に対し「3か月以内の回答を求める」とし、回答が難しい場合は「理由と今後の方針を説明する」こと。
④市の諸問題に対して区長会としてできること、では「131人の区長のもつ経験や知識を市のかかえる諸問題解決に活用しては」と呼びかけをいただき、「課題共有の場」をつくり、「共有された課題についての解決策」を区長会から提案する。
⑤区の統廃合に関しては、議論する場を設けて継続的に意見集約し、統廃合に向けた方針案の策定を目指す―と、なっています。

 市の総合計画後期基本計画がスタートした新年度ですが、この基本計画に大きくかかげる「市民との協働によるまちづくり」の実現に、区長会のみなさんが立ち上がってくれた意見書にもなっています。市として真剣に受け止め、真摯に対応していかねば、と決意しました。

 また、社会福祉協議会・ボランティアセンターも、今年度はセンター機能を強化してボランティア活動の一層の進展を図ります。ボランティア活動の重要性を認識していただき、だれでも参加できる環境整備に努めてもらえるように期待しています。このような活動を通して、市民のみなさまのお力を貸していただきながら、「豊かな海と山 歴史と暮らしを人がつなぐ “安心文化”のまち 豊前」を、今年度も目指してまいります。

 

市長の部屋 平成30年4月

  「国保の運営が県に移行されます」「全国最高位の医療費を低減へ」

 「平成」がつく時代の最後かもしれない30年度が始まりました。この変革期に、豊前市にも大きな波が押し寄せてきます。そのひとつが、60数年つづいてきた国民健康保険(国保)の市から県への保険者移行です。保険者というのは国保の運営主体で、国保が地方自治体、地域組合からスタートした歴史があり、これまで市町村がその役割を担ってきました。これが、都道府県に移行という歴史的転換です。

 豊前市の場合、保険者が福岡県となり、財政責任を負います。市はこれまで通り資格管理や保険税の賦課、徴収や給付の支払いと、きめ細かい保健事業などを行います。市民のみなさんには、医療機関などでの受診方法や市役所窓口業務を含め、これまでと変わりません。

 国保制度は、加入者が使った全医療費を支払った保険税と国などからの公費で賄う仕組みです。本市の国保加入者は自営業者や定年退職者など約6千人。ほかの方は、企業の社会保険、後期高齢者や公務員の健康保険に入っており、世界に誇る「国民皆保険」の一角を担っています。県下市町村運営では、支出医療費に応じ、また、独自の補てん措置などから保険税に差があります。本市は大きな累積赤字などはありませんが、財務体質は様々です。

 保険者移行後、3年間は激変緩和措置として国費が投入されますが、その後の保証はありません。1人当たり医療療が県内だけでなく全国最高位にある本市の場合、一本化で保険税均一化ということになれば「保険税引き上げ」もしくは「市の一般会計から補てん」という懸念が生じます。国保加入者に直接、もしくは一般会計だと全市民が間接的に、負担という可能性がでてきます。

 そこで、この3年間で取り組んでいかねばならないのは、医療費の削減に結び付く健康増進事業のこれまで以上の展開と健康診断・健診率の拡大です。また、1人平均約44万円(27年度)という全国トップの医療費はどこに、その原因があるのか。医療費の中身を徹底分析し、低減化できる方策を探らねばなりません。

 これに併せて「健康を維持、増進する」ことが必要です。市町村の役割「きめ細かい保健事業」がこれです。このほど発表された県の健康寿命は男性71.49歳、女性74.66歳。これを伸ばすことです。「生涯現役」を目指すことです。このために「運動」「栄養」「口腔ケア」事業にさらなる力を尽くします。「健康こそ最大の幸せ」実現に向かってまい進します。市民のみなさんも一緒に取り組みましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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