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  後藤 元秀 市長

 

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市長の部屋 平成30年3月

「人生100年時代にそなえて豊前市は」

 「平成19年生まれの子どもたちの半数が107歳まで生きる」と、想定する人生100年時代の到来。大戦後70年間近くつづいてきた「教育―仕事―引退」という直線型から「教育―会社勤め・組織にとらわれない働き方・再就学―引退」というマルチ型の人生に移行する時代とも言われています。学校を卒業し、同期生という集団で企業に雇われる方式がくずれて、高齢者もふくむ多彩な随時採用になるという予測です。

 すでにIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)の活用は急速に進んでいます。ドローンが普及して同じ場所が高い位置からの見たことのない風景に変わって映ります。教育も家庭教育、学校教育、地域教育が時代の流れで変質しています。私たちがこれまで「当たり前」と思い込んでいたことが「そうではない」時代が来ているようです。

 「人生が100年になるって、本当だろうか」ではないでしょうか。100歳以上のご長寿の方が増えています。市内でもことし1月末現在で18人。生活環境が整備され、医療が進み、介護などの手当てが行き届いている結果かもしれません。こんな時代にあわせて市が取り組む生涯現役社会づくりも深化させなければと思っています。

 口腔ケア事業のいっそうの展開が必要ですし、ガン検診など早期に病気を発見して治療、回復とつなげていかねばなりません。地元の医師会、歯科医師会、薬剤師会などのみなさんの力を借りながら健康増進にいっそう努めます。

 郵便局・かんぽ生命保険などのご理解、ご協力も得られ、豊前弁で親しみやすく、面白いラジオ体操もできつつあります。市をあげて人生100年時代を創っていかねばなりません。

 政府、経済界が足並みをそろえて働き方改革をすすめています。仕事だけでない人生、家族とのかかわり、最先端技術をつかい空間を越えて、などなど。人生観が変わる、生き方革命でもあります。

 仕事だけでなく、働く人たちも変わります。市内には19ヶ国、271人の外国人が居住すると先月号でお伝えしましたが、今後はもっと多くの外国人が市内に増えてくるでしょう。企業は人手不足状態がつづいています。日本人だけでは、企業の生産態勢がとれなくなっています。

 地域経済の活力を失わないように、働く人材を海外にもとめる、求めざるを得ない時代です。海外からの人たちを企業だけでなく、地域がどのように受け入れるか、が問われる時代にもなります。「豊前が好きで、豊前が第2の故郷」と感じてもらえる人たちが増えるように備えなければならないのではないでしょうか。

 冒頭の「平成19年生まれ、半数107歳」という話は、首相官邸で安倍首相とともにご一緒した林文部科学大臣との勉強会での情報です。こんな時代を目前に、どう対処して前進するか、大きな課題を担いました。

 

市長の部屋 平成30年2月

  「19か国271人の外国人が市内在住」「急速に国際化が進んでいます」

 海外に出かける市民のみなさんの旅券(パスポート)、昨年4月から市役所・市民課で申し込みを受け付けていますが、この利用者が昨年12月までに363人になりました。毎日のように窓口に申し込みがありますが、いままでミスやトラブルなどもなく推移しています。「海外渡航へのハードルのひとつがパスポート取得。北九州市までとなると、ほぼ1日仕事だった。行きやすくなった。」などの声も聴きます。当初の予想を超えての利用者数で、利便性向上は「人を動かす」を実感しています。

 海外から、豊前市にやってくる人、移住する人も急増しています。昨年11月1日現在、19ヶ国271人。地域別ではアジアが10カ国251人、中南米4カ国8人、北米2カ国6人、ヨーロッパ、アフリカ、中近東各1カ国6人です。国別では、多いほうからベトナム98人、中国55人、韓国42人、ミャンマー21人、フィリピン21人と続いています。

 こうした外国人のみなさんに言語や文字で対応できる市役所でなければなりませんが、なかなか難しいのが現状です。英語や中国語、韓国語などこれまでもなじみの外国語だけでなく多言語対応が求められます。とくに、火災、自然災害時などの非常時対策を講じていかねばなりません。課題です。

 また、こうした外国人が多い理由として、自動車産業などの人手不足があります。外国人にたよるのではなく、ふるさとを豊前周辺に持つ方のUターン、縁あってのIターンでの移住チャンスを、つくらねばなりません。で、2月25日に「豊前市企業合同就職説明会」を開きます。今年度だけでなく相談にも応じます。市内にある企業が、どんなに素晴らしく、将来性があるか、を認識してもらえます。参加ください。

 市内をおとずれる交流人口が増えていく中、市では山内地区に豊前市への移住に関心があるひとたちを受け入れる施設として古民家を整備しています。農業だけでなく、神楽や祇園、禅寺の体験も 楽しめる受け皿となっています。みなさんもぜひ一度、訪ねてみてください。

 海外との連携では、市内に建設が進んでいるバイオマス発電所関係でも広がりそうです。インドネシア・マレーシアからはヤシ殻、ベトナム・タイからは木質ペレットを輸入します。船便での積出港との交流も考えられます。

 いずれにしても、外国人を受け入れる豊前市としての国際化も問題です。小学校からの英語教育の充実だけでなく、市民の日常の英語との接触。市内で教壇に立つALT(外国語指導助手)のみなさんが市職員と協力して豊前市を舞台にした会話教材を制作してくれました。CDができています。ラジオ体操の英語版もできています。進む国際化を市民のみなさんが自分のこととして受け止められるように、こうした教材を幅広く活用したいものです。

 

新年のあいさつ 平成30年1月

「さらなる市民サービス向上へ」

 謹賀新年。新しき春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。市政2期目となった昨年は、各方面のみなさんに大変お世話になりました。改めてお礼申し上げます。

 「改革」を前面に掲げたあの春から8か月がすぎて越年、ことしは具体的施策を提示し、一歩前に踏み込む年となります。市民のみなさまのお知恵、お力をお貸しいただき協働のまち、豊前を元気にしたいと考えています。

 地方創生が声高に唱えられて久しいところですが「地域の独自性を活かし、地域の力で立ち上がろうとするところでなければ、支援しない」というのが国の基本にあります。「地域の力」で、となるとどうしても財政が基盤となります。平成の大合併の機を逸した豊前市は合併で財政支援を受けた自治体と異なり財政面で苦しい状況が続いています。

 財源が少ないからできない、ではなく「改革」によって無駄を省き、そこで生じたお金を有効に活かすことが求められます。経済成長期に3つも配置したし尿や汚水の処理施設を整理統合する方針です。一昨年以来の懸案でした、このし尿の公共下水道へのつなぎ込みは大幅に経費を削減する方向で最終調整段階に来ており、ことしは「これまで議論されてきた金額の3分の1、4分の1」で収める結果をめざします。来年4月から供給されるダムの水を活用してし尿処理し、貴重な、高い水を無駄にすることなく、市の窮迫した財政負担を削減すべく努力します。

 実は、人口減少がつづくことも、税財源が減り財政難につながっています。人口減を増に、いろいろな手を打たねばなりません。長寿を全うして逝かれる方などの自然減と就職進学などでの市外に出る社会減に対して、誕生や流入による増との差をマイナスからプラスに転換しなければなりません。

 その施策のひとつとして、商工課が2月25日に多目的文化交流センターで、求職中、転職希望、Uターン希望者などを対象に「豊前市企業合同就職説明会」を開催します。市で初めての事業です。わが家の、集落の、街の灯を点し続けるためにもぜひ、ご参加ください。お声掛けください。

 農業関係では、大きな変革が起きています。企業の農業参入が徐々に広がってきたようです。市内にも関心を持つ方々が姿を見せることがあり、耕作放棄地にも目を向けています。企業からの委託生産などで、負担やリスクが少なく、活性化に結び付けば、と考えています。鳥獣害対策で仕留めたシカ、イノシシを解体し、ジビエ料理に使っていただけるように今年の秋を目指して処理施設を完成させます。

 昨年、着工したバイオマス発電所の工事がいよいよ盛んになります。今まで以上の工事関係者が、現場に集まります。多い時には1日に400人ほどが集中するとか。これらの関係者が市内に、長期に滞在していただければ、商店街にも活気が出てくると期待できます。これからが楽しみです。

 人口減少のなかで求められる施策のひとつが交流人口の増加です。昨年、ようやく観光協会が正式にスタートしました。山内地区に古民家を改修した拠点もできました。関係者のご労苦に感謝しています。観光協会を軸に修験と森林セラピーの山、神楽の里、うみてらす豊前に集まる魚介類など豊前のもつ魅力をさらに磨きをかけていかねばなりません。早春の河津桜から始まり、ソメイヨシノ、ツツジ、ツクシシャクナゲ、アジサイとつづく花は人を惹きつけます。花のもつ求心力を最大に活かす方向を模索したいと望んでいます。

 そして、美味なる棚田米や肥沃な畑地で生産される野菜、瀬戸内西岸の温暖な気候で育つ果物、豊前海の豊かな海の幸が四季の旬の味を満喫させてくれるまち、花をめで、味を満喫できる豊前が、道の駅おこしかけを核に「豊前ブランド」として広く情報発信していかねばなりません。

 昨年の朝倉市、東峰村などでの豪雨災害に見るよう、いつ、どこで自然災害が発生するか、予測できません。いざ、という時に備えて自助、共助、公助の態勢強化が急務です。防災拠点となる市役所で、防災の部署を増強したいと考えています。また、「聞き取れない」「うるさすぎる」など防災無線の問題解消として、防災ラジオを31年度に各戸配布できるよう、ことし全体計画の設計費を予算計上する予定です。

 就任以来のテーマである生涯現役社会づくりは、健康面での口腔ケア事業をさらに推進してまいります。高齢の在宅の方々を主な対象にしていましたが、保育園や小学校などに展開し、企業などにも呼びかけて、より多くの市民のみなさんに参加していただけるように努力します。

 もっと幅広く健康増進も手掛けていかねばなりません。医師会など関連する団体のお力を借りて予防と病気の早期発見に注力していきます。とくに、塩分のとり過ぎは生活習慣病につながり、さらに重症化するおそれがあります。減塩教室など食生活改善推進員の活動を広く市民に呼びかけてまいりたいと考えています。

 市の執行体制が4月から大きく変わります。昨年の9月議会で、副市長を置かない条例ができ、12月議会では、部長制が可決されました。これまで、長い間つづいてきた「市長―副市長―課長―課長補佐―係長」から「市長―部長―課長―係長」を基本にした体制に変更します。この機構改革は、市民のみなさまに理解していただかなければうまく機能しません。「市民の立場」に寄り添い、協働のまちにつなげるべく取り組んでまいりますので、よろしくお願いします。

 ふるさと納税に関心が集まった昨年でした。返礼品によって寄付金の多寡が決まる面もあり、その内容や比率が問題視されています。豊前市は地元の特産品を育てる、ブランド化につなげる方向でさらに頑張ります。お正月で帰省された方も多いかと拝察しています。ふるさと豊前を応援してください。

 

 市長の部屋 平成29年12月

「積み上げて、積み上げて100万円にも」

 早や師走、向寒の季節となりました。暑かった夏が豪雨をもたらし、短い秋が行きました。が、先月、晩秋の候には各地でイベントが花盛り。さわやかな空気に包まれて、多くの感動がうまれたのではないでしょうか。

 そんな中、ぬくもり溢れる「ちいさな秋」に出会うことができました。市内のマスダホームリビングで開かれた第18回豊前エコ祭りです。元会社員の長井賢治さんが代表をつとめるボランティア団体の豊前エコクラブが主催する祭りです。

 祭りのほか、長井賢治さんが編集長をしながら毎月一回、20年近く、豊前市だけでなく苅田町から中津市までの行政情報、企業の広報誌、商店街のチラシなどを冊子にまとめて各所に配布する活動も続けています。

 このほか、長井さんたちは、ペットボトルのキャップや古切手、牛乳パック、書き損じはがきなどを回収する環境保全活動を継続。年に一回、福祉関係団体だけでなく最寄りのエアロビクス、神楽などとジョイントしたコンサート、エコ祭りを展開。併せて福祉団体のみなさんがバザーを開催するなど全員参加、手づくりで盛り上げ、小さいけれど、気持ちがこもった素敵な空間をつくっています。

 自分達が安心して暮らせる地域づくりに積極的に参画し、自分達でできるところは、自分達がやるという福祉団体のみなさんの姿勢に頭が下がります。

 もう、18回を数えたエコ祭りですが、ことしはピアノとバイオリンの演奏があり、50席ほどの客席と一体となった素晴らしい時間が通り過ぎました。コンサートでは障がいをもった方の大声が突然、響くこともありました。だけど、バイオリニストは「曲の中で、タイミング良い合いの手もあり、良かった」と、笑顔で語り、拍手を浴びていました。

 コンサートの始まる前に長井さんが、こう話してくれました。「18回になりました。みなさんが協力してくれたおかげです。チャリティコンサートには、あと2年もすると寄金累積100万円ほどになります。参加してくれたみなさんの気持ちが積もり積もって―。続けていくことが大切です」。

 これを聞いて、感動しました。本来、行政がやらなければならない障がい者支援を、きめ細かく取り組んでいただき、感謝の思いでいっぱいになりました。

 2期目の市政に「改革」を前面に出したのも、このような分野に使えるお金を産みだすには、無駄を省かなければ、と考えたからです。長井さんではありませんが、改革で少額でも積み上げていくしかない、のです。決意を新たにした次第です。来秋は19回目。次の20回記念も楽しみです。

 市長の部屋 平成29年11月

   「憂きことの なほこの上に 積もれかし 限りある身の 力ためさん」

 文化の秋、スポーツの秋、食欲の秋などなど様々な秋さかりの季節を迎えています。福岡県内28市の市長で構成する県市長会が10月に、続いて九州118市長が集まる市長会も、大分県佐伯市で開催されました。住民の生命、財産をはじめ生活を支える基礎自治体である市町村ですが、同じ悩み、問題を抱えています。たとえば、人口増の都市部では保育園や幼稚園が不足。一方、地方の大半では待機児童問題より人口減が止まらずに多方面で課題が山積しています。

 老朽化した市の施設の更新など施設整備事業等に対する財政措置は「行政関係」。地域医療保健の充実強化、学校教育の充実などは「社会文教関係」。道路や港湾等の整備促進、農林水産業の振興などは「経済関係」として要請文を審議、決定します。

 福岡県の市長会では豊前市に監事役が与えられており、理事会に出席して「多くの法令が戦後間もなくつくられ、改正が行われているが、今日の豪雨をみるときに国の設計指針が想定した雨量を大幅に超えている。豪雨対策で市道脇につくられる、補助対象の規格側溝(幅と深さ各30センチが基本)では対応できてなく、住民の不安に応えられていない。国の設計指針の抜本的改正が必要」と、発言しました。

 このように行政上の問題を都道府県や国に、各市でばらばらに要請するのではなく県や九州ブロックなどの組織として要望していく。連帯して働きかけていくことが肝要です。国県に頼るばかりでなく、災害が発生すれば直ぐに支えあうシステムも持っており、復旧のための職員派遣なども行っています。豊前市から東日本大震災の東松島市に職員1人を5年前から送っています。10月末から朝倉市にも1人派遣しています。限られた職員数ですが、困ったときにはお互い様の精神で頑張っています。

 九州市長会には、全国市長会を代表して松浦正人会長が出席されました。持論の「国を大木に例えると、根を張っているのが基礎自治体。日本国のために自治体が力を蓄えなければならない。」と、檄を飛ばしていただきました。松浦会長は山口県防府市の市長さんです。豊前から海を隔てた目の前に偉大な市長がいます。東京23の特別区を含む全国814の市区長を束ねる憂国の士です。座右の銘は「憂きことの なほこの上に 積もれかし 限りある身の 力ためさん」です。「進んで困難にぶつかれ、という意味」と言われています。

 豊前市も「憂きこと」がたくさんあります。消防職員の使い込みだけでなく、市職員による事件も起こしてしまいました。市民のみなさまに申し訳ない限りです。心からお詫び申し上げ、職員一丸となり、綱紀粛正と再発防止、信頼回復に努めます。与えられた憂きこと、試練を受け、力の限りを尽くし「試練にぶつかって」まいります。

 

 市長の部屋 平成29年10月

  「熱い、暑い夏が、豊前に多くの熱を」

 まだまだ残暑にさいなまれる日々が続いていますが、体温に近い猛暑の夏が去り、朝晩の冷気、秋風が心地よい季節にもなりました。元気にお過ごしでしょうか。残暑お見舞い申し上げます。

 ことしも甲子園球場だけでなく、暑かった日々に負けない「熱い夏」が市内でも多くの場面で繰り広げられました。青豊高校ダンス部は、お盆のときに東京で開かれた全国高校ダンスドリル選手権大会に3部門が出場。POM・スモール編成(ポンポンを手に10人以内で構成)が優勝。同校初の全国制覇、来年米国で開催される世界大会の出場権までも獲得しました。選手たちの熱い演技に拍手です。厳しい練習を積んで、日本一となったのはどんなダンスなのか。知りたい方も多いのではないでしょうか。10月29日開催予定の「カラス天狗祭り」のステージイベントにこのダンス部が出演していただけるようになりました。ぜひお越しください。

 このほか、相次ぐ台風の襲来に見舞われながらも求菩提キャンプ場や畑の冷泉には涼を求め、冷水に魅かれた多くの方が押し寄せ、熱い夏でした。7,8月の2か月間に求菩提キャンプ場を約2千800人が、畑冷泉を約2千500人が利用。いずれも台風が直撃しなかった昨年より減少したものの善戦しています。

 こんな中で、ちょっとしたいい話もあります。求菩提のキャンプ場の河川プールに子どもを連れて市バスで行った方が、見受けた光景。ほぼ満席のバスに乗り込んできたおばあちゃんを見つけた女子中学生が、さっと席を立ち、譲ったのです。おばあちゃんが「ありがとう」と口にしたのをきっかけに車内に会話がはじまったとのこと。「ほのぼのとした空気が漂いました」と。

 また元気の出る場面を見ました。畑冷泉にある「冷泉茶屋」は、地元野菜、山野草を中心にした美味しい料理が「うり」ですが、この夏も市内外から多くのファンが押し掛けました。行橋からの女性客は「健康にいい料理が魅力。豊前の素敵な名所ですよ」と。

 海の方でも、熱による環境変化からでしょうか、この夏は海で獲れる通称青ガニが多かったように感じました。うみてらす豊前では、連日たくさんの青ガニ(和名タイワンガザミ)が水槽に入っていました。まさに夏が旬で、豊前本ガニであるワタリガニより1回り細く、小さく見えるのですが、身はびっしり詰まっています。美味しさを一般に知られていないためもあって安い価格で売られていました。

 ところが、9月になって新聞各紙に「夏が旬の青ガニ」「格安価格で豊前本ガニ並みの美味しさ」と紹介されて大評判。水揚げされるやその場で買い取られていく人気でした。青い「夏ガニ」が新豊前名物になる日は近いかも―こんな熱い、暑い夏がいき、虫たちの声響く秋。この季も豊前が熱く輝きますように。

 

市長の部屋 平成29年9月

  「1%増で人口減は食い止められる」

 市民のみなさんと意見交換して市政に反映することを目的に、市政懇談会を開催してまいりました。多くの方々に参加いただきましたことを、この場を借りてお礼申し上げます。

 2期目となった今年度は前期の5ブロックから11の公民館と市役所という12か所での開催でしたが、お蔭でたくさんの意見をお聞きすることができました。ご質問に丁寧にお答えしたつもりでしたが満足いただけたか、気がかりなところもあります。さらに勉強して、期待に応えられるように努力いたします。

 そんな中で、いくつかの会場で「人口減少対策」に関して質問をいただきました。これまでも、議会でご指摘を頂いてきたところですが、残念ながら現実は結果を出せていません。

 従来、人口を増やすためには「若者が働く場所として企業を誘致するのが第一歩」との認識がありました。そう信じていたのは私だけではないと思います。工業団地を造成し、自動車産業、医薬品など製造業の立地を見たところです。昨年度、豊前市は約5ヘクタールの工業用地を売却。各企業は従業員を採用していますが、どこも人手不足の状況です。

 「働く場所をつくれば、人口が増える」どころか、「働く場所はあるのに」人口減少に歯止めがかかりません。「製造業だけでは、若者を引きとめられない」「サービス業、第3次産業の会社をもっと」などの声も聞こえます。そこで市は、遊休資産となっていた職業訓練センターの空スペースを利用した企業誘致に乗り出し、実績をあげました。

 こうした取り組みに加え、結婚から出産、子育てにつながる婚活事業や新婚家庭の家賃補助と、幼稚園、保育園の第3子からの保育料無料化、中学校3年生までの医療費の負担軽減など子育て支援にも力を注いでいます。しかし、こうした努力が報われていません。

 人口減少には豊前市で生まれる人と亡くなっていく人の差。年間200人弱が生まれて、400人ほどが逝去されます。この差約200が自然減です。加えて進学や就職で出入りする社会増減も実は減少傾向です。この結果、毎年250~300人ほどが減っています。

 これをどのように食い止めるか。いろいろ画策しますが、妙案は浮かびません。が、国土交通省が「国土のグランドデザイン」資料として発表した「地域人口1%取り戻し理論」が「もしかして」との期待を抱かせてくれるのでは、と感じています。

 いくつかの市政懇談会で、紹介したのですが、人口の1%を毎年増やせば、人口減少は食い止められる、という理論です。豊前市の人口約2万6千の1%は260人。これは大きな数字ですが、これを131ある市の行政区で分けると1区あたり2人です。

 区の顔ぶれを思い浮かべながら、親戚縁者を動員して具体的に市に移転、移動してもらう。この数なら何となくできそうではありませんか。「人口減対策は市の仕事」ではなくて「身近な人集め」です。「東京にいるあの家族を」「福岡のあの子を」取り込もうということです。

 これは行政だけではなく、地域の力が大きく求められるのですが、理解ある市民のお力を貸していただき、市は、住むところや医療、教育に不安なきよう受け皿づくりなど努力します。ぜひ、協働のまちづくりにご参画ください。

 

市長の部屋 平成29年7月

「口腔ケアに効果が見えてきました」

「12か所で市政懇談会開催 ご参加を」

 突然襲ってきた落雷によって、求菩提山のふもとの集落が被災しました。5月12日のことでしたが、直撃された築130年の民家が全焼。誘導雷で集落の上水道施設や卜仙の郷のエレベーターの電気設備が動かなくなる被害がでました。被災地区のみなさんに心からお見舞い申し上げます。市として給水や復旧に取り組み、ひと月ほどかかった6月になってようやく回復できました。最先端の技術 をもってしても落雷防止には限界があり、再発を食い止めるのは難しいと、歯がゆい思いです。6月議会でもこの問題が取り上げられ、梅雨の季節に緊張感が漂う日々です。

 この議会開会がせまったころ、九州歯科大の西原達治学長から嬉しい知らせを受けました。「テレビのコマーシャルでもよく見聞きする大手製薬メーカーが、豊前市と豊前築上歯科医師会で取り組んでいる口腔ケア事業に参加したい」との申し出があり、承諾を求める内容でした。「全国的にも少ない在宅の高齢者を対象とした口腔ケア事業で、認知症予防と口腔ケアの関連を調査して予防薬などを開発したい」との構想もあるようです。もちろん快諾しました。

 この事業は平成27年度にスタートしたあと、昨年度までに在宅療養している高齢者など82人が参加。多くの方に唾液、粘膜、口臭、舌圧に改善が見られたほか、介護認定更新で要介護1から要支援1になった方もおられます。

 いずれにしても、豊前市と歯科医師会、九歯大が全国に先駆けて進めている口腔ケア事業が大企業に認められたということは、誇らしいことです。筒井修一歯科医師会長は「全国初の小さな地方の口腔ケア事業を、豊前モデルに育てていきたい」と張り切っています。今年度も50人を対象に事業を続けていきますので、ご希望の方は市役所・市民課にお申込みください。

 中に居ては見えにくいことが、外からの評価で理解される、ということはありうることですが、口腔ケア事業がまさにこれに当たるのではないでしょうか。市民のみなさんはもちろん、市内の企業等にも参加を呼びかけ「豊前市はみんなで口腔ケアに取り組んでいる生涯現役、健康のまち」となりたいものです。

 今月4日から8月19日にかけて、市内の11校区と市役所の全12か所で「市政懇談会」を開催します。昨年度までは、同時期に市内4か所で開いていましたが、より細かく、より身近に「後藤市政2期目 の目指すところを市民のみなさんに聞いていただき、なにより市民のみなさんの声をたくさんお聞きしたい」という思いです。とくに、校区で暮して校区をもっともよく知る市民のみなさんから、校区のもつ潜在力、未知の可能性を教えていただき、市と協働で校区をもっと輝かせていけたらと願っています。たくさんご参加いただき、素晴らしいお知恵を、夢をお分けください。お待ちしています。

 

市長の部屋 平成29年6月

「区長さん、お力を」

 29年度がスタートして早くも3か月目を迎えました。市長選挙のため骨格予算という1年間に必要な、義務的な予算を3月議会で議決いただきましたが、6月議会ではこれに肉付けする予算などを審議いただくことになっています。

 4年間の実績の上に、これから先の豊前市をどのようにカジ取りしていくのか。新たな施策、実行が課されています。期待に応えるべく市をあげてしっかりと取り組む覚悟です。

 ところで、読んでいただいているこの市報を毎月、市民のみなさまのもとに届けていただいています区長さんたちの任期満了に伴う改選があり、このたび131人の区長さんが再任、新任されました。5月15日には地区の正副区長会長さんで構成する21人の役員会があり、八屋・大村地区の清本靖弘さんから宇島地区の熊原博幸さんに会長がバトンタッチされ、新体制での1歩を踏み出しました。これから2年間、地域のコミュニティ(共同体)活性、課題解決にお力を貸していただきますようお願いいたします。

 地域最先端で頑張っていただいています区長さんたちですが、最近では、引き受けてくださる方が限られ、地域によっては順番に、と交代制を取り入れているところも多くなったと聞いています。131人のうち71人、半数以上が交代されています。定年延長で地域活動に加わることが困難になっていることや地域課題などを担わされて負担が大きいなど、区長就任、継続を敬遠する傾向にあるようです。

 区長さん、副区長さん、組長さんは地域コミュニティの根幹になる役職です。市政を住民のみなさんに隅々まで浸透するには市職員だけではできません。われわれが目指す協働のまちづくりに欠かせない貴重な人材、戦力です。

 なぜ、区長さんになるのを敬遠されるのか。どうしたら区長さんを進んでお引き受けしてもらえるか。やってみたい、と思われる区長さん像とは、などなど考えていかねばなりません。2期目の大きな課題です。どなたか、お知恵をお貸しください。

 こんな原稿を書くのに呻吟していたとき、枝川内あじさい祭り実行委員会のみなさんが、市長室に来られました。17、18日におこなわれる祭りについて概要をお聞きしました。シャトルバス運行、交通指導員配置、あじさいフォトコンテストなどの支援要請もいただきました。

 いよいよアジサイのシーズン到来か、の思いと同時に枝川内というわずか40人ほどの集落が、棚田にアジサイ1万5千余株を植栽、手入れしていること。除草、枝切りはもちろん鹿被害の対策までこの1年間尽くしていただいた結果が、赤や青のきれいな花にあらわれること。多くの遠来のお客を地元の農産物と共に迎え入れる、おもてなしの心など、頭の下がる思いです。まさに「小さな村の大きな挑戦」です。同時に、すばらしいコミュニティの姿です。2日限りの地元産そばをふるまうそば屋さんもあります。みなさん、是非ご参加ください。

 

市長の部屋 平成29年5月

「人間関係を活かして」

 この度の改選で再度、豊前市長を拝命いたしました。無投票という結果ではありましたが、市民のみなさまの信任を得ることができ、1期4年間の努力を認めていただけたと感謝いたしています。

 この4年間で最初の大きな衝撃は、平成25年の市長就任直後に動き出した市内大手製造工場の熊本県への大規模移転でした。当時120人ほどだった社員さんが約20人に縮減。関連企業の社員さんを 含めると大変な人材流出でした。そして10haほどもある工場用地の大半が空きスペースになったのですから。

 八方手を尽くしましたが、なかなか展望は開きませんでした。そこで、広大な空きスペースを借りて別の企業を誘致できないか、という働きがけが始まりました。そんなときに当時、経済産業省から東北大学教授に転身していた豊築出身の方が紹介してくれたのが、同31年営業運転開始めざして工事が進行している豊前ニューエナジー合同会社の豊前バイオマス発電所です。

 「未来へつなぐ電源のまち」宣言した豊前市にふさわしく、海外からの燃料を宇島港に陸揚げする計画で、国際的な企業の進出です。投資額は当初、約250億円とも言われました。

 あわせて喜んだのは、九州電力豊前発電所の遊休地に建設された世界最大の蓄電池設備です。やはり国内最大と言われる太陽光発電の「電気の貯金箱」です。約200億円の投資額は発電所分と合わ せると豊前市に税収面で大きな成果を生み出してくれます。

 こうしたハードの投資だけでなく、市の職業訓練センター3階に進出した富士通コミュニケーションサービス株式会社豊前サテライトオフィスは、市内に多い製造業の分野ではない事務系の企業進出となりました。事務職がないから市外に出ていく、といった若い人たちを市内でも活躍していただけるソフト企業です。この秋には規模が拡大、将来計画ではさらなる拡張が期待できそうです。頼もしい限りです。

 こうした元気になる明るい報告が、どうして市民のみなさまにできたのか。実は共通していることは、豊前市を知らなかった方が、ちょっとしたきっかけで知るようになり、企業の進出に結び付いたのです。最初のバイオマス発電所は、ご縁のある地元関係者が広大な空き地と発電の歴史を結び、知り合いだったイーレックス社の幹部に繋いでくれたこと。世界最大規模蓄電池は、ご縁の深い知り合いが「豊前立地」に動いてくれたようです。力のある、頼もしい先輩です。

 富士通誘致は、親しい県庁の職員が、「人口減で空き部屋となった公共施設の活用を」と、足しげく通ってくる私を見かねて立案してくれたのが、大きな引き金になったと聞いています。いずれにしても、ご縁を突破口に、市議会をはじめ、周囲の多くの方々のお力添えがあってできたことです。また、ご縁を大切に、人間関係を活かしていく姿勢が功をなしたと認識しています。こんな活動を今期も続けていきますので応援してください。

 

市長の部屋 平成29年4月

「財政基盤の再構築」

 歳月のたつのは早いもので、市民のみなさまのお蔭で市長就任させていただいてから満4年になろうとしています。後藤市政の一期目が幕を閉じようとしています。

 政策に関して質問という形で執行部に論戦を挑んでいた議会人から、質問を受けて立つ、執行部の責任者に、まったく逆の立場になったわけですから、ずいぶん混乱をして多くの方々にご心配とご迷惑をかけたことと思います。支えていただいた市の職員や地域の最先端で市民生活を一緒に支援してくださっている区長さん、各種委員のみなさま始め多くの市民のみなさまに感謝申し上げます。

 豊前市が少子高齢化進展のなか、どのようにかじ取りをすべきか、想いを巡らし汗をかかせていただきました。第5次総合計画と第2次、第3次行財政改革推進プランを基本に、厳しい財政を少しでも効果的に活用し、国の進める地方創生の流れに沿って「豊前市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を土台に「豊前がもっとよくなるように」取り組んできました。

 創生会議・総合戦略の第一に、人口が減っていく中、地域活力を失わないように「観光振興」で交流人口を増やしたいと考えています。長期に利用しやすく滞在していただける古民家活用事業を年度内完成目指して進めています。多くの空き家を移住者の受け皿にできるように、との取り組みも目指すところです。

 第二に、「教育、文化の振興」です。豊前に生まれて、明るく元気に育ってくれるように子育て支援の強化が必須です。ふるさとへの愛着は、歴史や地域の伝統文化を知り、体験することで深まっていくはずです。とくに地域の神楽や祇園は深い人間関係、誇りにつながり、子どもたちがふるさとから離れられなくなるのではないでしょうか。

 第三に、1次産業の振興です。農林水産業は豊前市産業の基本です。生命と環境保全につながる豊前市の山、川、里、海と空気、清水を大切に守るのは、この恵まれた自然を高度に活用することです。6次産業化につながる犬ヶ岳のツクシシャクナゲ群生、求菩提の修験道、森林セラピー基地、そして畑の冷泉、うみてらす豊前などは魅力いっぱいの財産、資源です。

 このような戦略をもって、少子高齢化がじわじわと進む豊前市に、どのようにしたら活力が取り戻せるのか。日々悩む市長拝命いらいの4年間でした。まだまだ十分とは言えません。
とくに財政基盤の再構築は喫緊の課題です。市の一般会計だけでなく広域の一部事務組合や特別会計などについても、無駄を省き、活きたお金として使えるように努力します。市民のみなさまや、議会の方々から知恵をいただきながら、謙虚に取り組む覚悟ですので更なるご指導をお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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