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浄土信仰と浄圓寺

浄土とは仏の悟りによって形作られている世界で、穢れなく清らかな美しさに満ち溢れ、そこには一切の苦しみが無いとされます。
浄土信仰には多種多様なものがあり、数多くの仏がいればその仏の数だけ仏国土が存在し、それぞれの仏が治める浄土世界となります。この中で有名な浄土信仰としては釈迦牟尼(しゃかむに)仏の「霊山(りょうぜん)浄土」、毘盧遮仏(びるしゃなぶつ)の「蓮華蔵(れんげぞう)世界」、天台宗の解く「常(じょう)寂光土(じゃっこうど)」などがあり、また、四方四仏といって、東方薬師、南方釈迦、西方阿弥陀、北方弥勒の浄土信仰などもあります。さらに、菩薩に対する浄土信仰などもあり、観音菩薩の「補陀落山(ふだらくせん)浄土」、弥勒菩薩の「兜率(とそつ)浄土」などもよく知られています。これらのなかで最も有名で、浄土の代名詞ともいえるのが阿弥陀仏の「極楽浄土」の信仰でしょう。
「極楽浄土」は『浄土三部経』に解かれる浄土で、この世から遠く離れた西方に存在する別世界で、阿弥陀仏が住むとされます。この極楽浄土で死後に仏になろうと願う信仰が阿弥陀に対する浄土信仰です。阿弥陀の四十八願中の第十九願に「来迎(らいごう)引摂(いんじょう)の願」があり、臨終を迎えた念仏者を阿弥陀様自らが迎えに来て、極楽へ連れて行ってくれるというものです。こうした教えが浄土といえば「極楽浄土」と多くの人が連想する所以でもあるのでしょうか。

 

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豊前市大字松江   浄圓寺

浄円寺の阿弥陀来迎図(一幅)

阿弥陀如来は浄土教において信仰される如来仏で、『仏説無量寿経』の四十八願中の第十九願に誓われている臨終来迎の阿弥陀仏です。阿弥陀如来は古来より彫刻や絵画に表されていて、来迎図は一尊だけが描かれている場合と、三尊やその他聖衆来迎など多くの菩薩を従えている場合などがあります。
浄圓寺の来迎図は三尊像で、南北朝時代(1338~1392)の作品と言われています。中央に大きく金色の阿弥陀如来像を描き、如来が極楽浄土から紫雲に乗って飛来したかのように描かれていて、その豊満な体を自由に動かして念仏者の往生を心から讃迎する様子がよく表現されています。この来迎図の特徴は、向かって右側の小さい枠の中で如来に向かって両手を合わせている人物が、恵心(えしん)僧都(そうず)源信(げんしん)と伝えられていることで、三尊来迎図としては非常に珍しいと言われています。
浄圓寺住職によれば、来迎図は先代より「これは浄圓寺に伝わる寺宝であるから、大切に保管しなさい。」と伝えられたと言いますが、いつの時代に誰によって浄圓寺に受け継がれたかは不明です。

 

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豊前市指定有形文化財(絵画)
平成14年月日   指定
豊前市大字松江   浄圓寺

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