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八幡信仰とその周辺

旧豊前国、宇佐の地に鎮座する宇佐八幡宮は、全国4万余社あまりの八幡総本社として古くから人々の信仰を集めてきました。初めは宇佐の地方神である比咩(ひめ)大神が祀られていましたが、その後誉田別(ほんだわけ)尊(みこと)大神(応神天皇)大帯(おおたらし)姫(めの)命(みこと)(神功皇后)も祀られ、さらに仏教思想とも結びつき八幡大菩薩(大権現)という神仏習合の神霊として崇拝されるようになりました。
その後隼人の乱、藤原広嗣の乱、道鏡による皇位継承の策略、東大寺大仏鋳造など、国の異変や事業の成否にかかわる上で重要な役割を演じたことは有名です。この様に、国家安護の神として崇められた宇佐八幡宮には朝廷や貴族などから広大な荘園が寄進され、その力は強大なものとなりました。また、宇佐に近い京築の地方も平安時代から鎌倉時代にかけて多くの宇佐神宮領、神宮寺領が成立し、各荘園内には八幡神が勧請されてゆきます。鎌倉時代以降、有力な武家たちは自分の領地内に戦いの神として八幡神を勧請し、領地の安泰と繁栄を祈願するようになります。
ところで、宇佐八幡宮の社殿は33年ごとに建替えられるしきたりがありますが(式年造営)このとき工事の安全を祈り「杣始め」という儀式が行われます。儀式は現在の築城町、豊前市、三光村の杣樟のもとで厳粛に行われたといいます。

盲僧琵琶(ささびわ及び付属品附文献二冊)

盲僧琵琶はささびわとも言い、盲僧が背負って回壇法要に巡った小型の琵琶です。この琵琶は延暦二十三年(804)藤原徳養(とくよう)という人物が最澄の教えに従って比叡山に登り、厳しい修行を行ったときに使用したとされ、その後、第五〇代の正信まで1140年間にわたり藤原家に相伝されてきたと言われています。
付属品は法鈴(ほうれい)、錫杖(しゃくじょう)、法螺貝(ほらがい)等で、文献は明治初年に盲僧琵琶廃止令が出された時、その存続について苦慮した事などが書かれています。

 

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福岡県指定有形民俗文化財
昭和31年7月28日   指定
豊前市大字鳥井畑247   求菩提資料館

電話番号:0979-88-3203

宇佐神宮の杣始めの掛札及び箱一口

宇佐八幡宮式年造営による杣始めの儀式は、古来第一殿が築城郡本庄の大樟のもとで、第二殿は豊前市白山神社大樟のもと、第三殿は三光村斧立八幡大樟のもとで執り行われました。樟は八幡神の神木とされ、神霊の宿る樟の大樹に造営が無事に行われることを祈願したと考えられています。
安政二年(1855)には、造営のための木材を調達するための杣山が求菩提谷の山中に定められました。その御世話役は上川底、中川底、下川底、大河内、下河内の五地区で、儀式は白山神社で厳粛盛大に行われました。本資料は儀式にともない諸役の位置を示す掛札で、造営の様子を知る上で大変貴重な資料といえます。

 

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福岡県指定有形民俗文化財
昭和31年7月28日   指定

豊前市大字鳥井畑247   求菩提資料館

電話番号:0979-88-3203

大富神社の棟札十一枚

大富神社は旧豊前国内での大社(元、県社)で、古くは宗像の神を祀り、後に住吉・八幡神を合祀したといわれます。そして鎌倉時代、宇佐八幡宮の弥勒寺の寺領として山田荘が成立して以来、14カ村余りの総社として氏子をはじめ多くの人々に崇拝されてきました。
指定の棟札は室町時代から江戸時代にかけての数回にわたる社殿の造営を記録したものです。形状は神職の持つ笏状(しゃくじょう)のものと、長方形上部の幅が下部より広く先端のとがったものの二種類があります。史料数も豊富で内容的にも詳しく、多くの文化財を保存する神社としてこれらの棟札は、神社の歴史を知るうえで貴重な資料と言えます。

 

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福岡県指定有形民俗文化財
昭和31年7月28日   指定
豊前市大字四郎丸   大富神社

 角田八幡神社棟札一〇枚

社伝によれば、角田八幡神社は貞観元年(860)、この地に勧請されたと言います。長元四年(1031)には、宇佐八幡宮の本御荘(ほんおんしょう)一八本荘の一つとして角田荘が成立し、宇佐八幡宮と深いつながりを持つようになります。以来、荘内九カ村の総社として人々の崇拝を集めてきました。
指定の棟札は鎌倉時代末期より江戸時代までの神殿、拝殿の造営にかかる貴重な資料です。特に、正応二年(1289)の棟札は県下で最古のものですが、一時期風雨にさらされるなど保存状態が悪かったため、今では文字も全く判別できない状態となっています。しかし、幸いにも昭和の初期に解読がなされていて、貴重な記録として残されています。

 

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豊前市指定有形民俗文化財
昭和59年11月22日   指定
豊前市大字中村   角田八幡神社

 

棟札(むなふだ)
建物を建築した時や大きな修理をした時に残された木の札に書かれた記録。その理由や年代、施主、工事関係者の名前などが記されていて、建築物の歴史を知るうえで大変貴重な資料です。

 

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