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平成18年度施政方針

平成18年度の予算が3月定例議会で成立しました。

釜井市長は、本年度の予算説明を通じ、市政運営の基本的な方針並びにその主要施策などについて所信の一端を述べ、市民の皆さんの市政に対する深い理解とご協力をお願いしました。その趣旨は次のとおりです。




 国内では、昨年末の耐震偽装発覚、年初のライブドア事件など憂慮すべき事件、事故が続いております。一連の事件、事故は、わが国の制度の根幹にかかわるものとも言え、今後とも推移を注意深く見守っていきたいと考えております。ただ、ライブドア事件を契機に勝ち組、負け組という仕分けをする社会に対しての反省の気運が生まれつつあることは歓迎すべきことであります。私は市報新年号におきまして、市民の皆様にこの勝ち負け社会はこの国の社会の伝統にそぐうものではなく、豊前市政は決してそのような考え方にくみせず、市民全体の幸福を求め続けることをお約束しましたが、そのお約束を再度この場で確認させていただきたいと存じます。


 さて、政府は去る1月「構造改革と経済財政の中期展望―2005年度改定」を閣議決定しました。その基となる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」を含めて一貫した考え方は、「官から民へ」、「国から地方へ」の改革を加速し、民需主導の持続的な経済成長の実現を目指そうとするものです。地方分権の時代においては、当然の原理とも言えますが、具体論として進められている「三位一体の改革」では、平成18年度までの改革として、4兆7千億円の国庫補助負担金改革、3兆円の税源移譲、5兆1千億円の地方交付税改革が達成されました。この国庫補助負担金改革を踏まえ、平成19年度には、所得税から個人住民税へ3兆円の本格的な税源移譲が恒久措置として行われますが、小規模自治体ほど財政運営は困難になることが予想されるなど、過去にない厳しい局面を迎えております。


 当市におきましても、極めて厳しい経済情勢に加え、急激な改革や変化の波が押し寄せるなど、まさに大きな時代の転換期を迎えております。これからの時代は、自治体としての力量が試される時代であり、地域自らの責任に基づく選択や行動が、将来の発展にとって、非常に重要になってまいります。
 今一度、私に与えられた使命と責任の重さをかみしめ、時代の変化を的確に捉え、行財政改革を断行するとともに、市民の皆様と一緒に知恵を出し、元気を出して、汗をかきながら、まちづくりを推進してまいりたいと考えております。
 私はこうした基本認識に立ち、本年度の市政推進の主要課題として、次の課題を掲げ積極的な取り組みを進めてまいります。


1点目は、行財政改革の推進であります。

昨年3月に示された総務省の「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」を踏まえ、この度、平成17年度から平成21年度までの「豊前市行政改革大綱」及び「豊前市集中改革プラン」を策定いたしました。その中心となります定員管理の適正化にあたっては、職員数260人を平成22年度当初までに35人削減して225人とするものです。


 また、民間委託等の推進、指定管理者制度やPFI手法等の活用、職員給与の適正化、行政改革に伴う財政効果等あらゆる角度から簡素で効率的な行政運営のあり方を数値目標で示した集中改革プランの公表を行い、行財政改革を積極的に推進してまいります。
今後は、この計画を最重要課題に位置づけ、自立・持続可能な行財政運営の確立と更なる市民福祉の増進、市民サービスの向上に取り組んでまいります。


2点目は、企業誘致と人口増対策であります。

 ダイハツ中津工場の40万台体制への移行など、北部九州自動車生産100万台構想は今年度中にも実現され、この地域は自動車生産の世界的な拠点として、ますます発展することは明らかです。企業の進出、立地意欲は大変に強いものがあると考えられます。豊前市におきましても立地のための諸条件を整備し、私自身が先頭に立って積極的に関連企業誘致を進めてまいりたいと存じます。


 また、ご承知のように、先般、東九州自動車道の着工が決定されました。3月16日の新北九州空港の開港とあわせますと、今後、この地域の交通インフラは格段に改善されてまいります。市内黒土にインターチェンジが設置されることもご案内のとおりですが、自動車道開通のおりには交通の要所として、流通産業を含めた企業立地の可能性が飛躍的に高まると考えられます。こうした将来を見込んだ施策を今後展開し、立地意欲を受けとめることができるよう準備を進めてまいりたいと考えております。


次に、昨年実施された国勢調査によりますと、全国2,217市町村のうち実に7割強の1,605市町村で人口が減少していることが確認されました。少子高齢化社会は予想を超えた速度で到来しつつあります。100万人以上の大都市は、軒並み人口増を果たしているという現実の中で、本市規模の都市の人口減少問題は、今後、わが国の大きな問題となってくるものと考えております。しかしながら、この問題に手をこまねいているわけにはまいりません。すでに述べました企業誘致により、まず雇用の拡大、住環境整備などの定住化政策を具体的に採用し、減少傾向に歯止めをかけていきたいと考えております。


3点目は、市町村合併であります。


平成17年度には、築上郡内に2つの新しい自治体が誕生しました。上毛町と築上町の2町の誕生をお祝いし、今後の発展を心からお祈りする次第です。豊前市は、当初より「豊築はひとつ」の理念のもと、全体の融合を目指してまいりました。今般の2町の誕生は、郡内全体の融合の大きなステップであると考えております。
ご承知のように、現在、吉富町との間で勉強会を開催しておりますが、今後、県とも密接な連絡を図りながら、豊築3つ目のブロック形成を目指してまいります。
議員各位におかれましては、格段のご協力を特にお願い申し上げます。


4点目は、高校跡地問題であります。


 築上中部高校および築上北高校の跡地利用につきましては、去る1月、跡地利用審議会より答申をいただきました。概要は、築上中部高校については「中学校再編に伴う統合中学校用地として保有」、築上北高校については「市街地活性化計画に編入し、街づくり市街地ゾーンとして利用」というものでございます。本答申をベースとして、今後、具体的なプランを策定してまいります。


 また、青豊高校は教職員、生徒のご努力のおかげをもちまして、地域社会と良好な関係を構築しつつあります。
豊前市唯一の高校として地域社会全体でバックアップできるよう、関係部署を督励してまいります。


 冒頭にも述べましたことも含めまして、これからの地域づくりの根幹は「人づくり」であるとの思いが大変に強くあります。先日終了しましたトリノオリンピックの開会式にオノヨーコさんが出場し、「平和を想像しなさい」というメッセージを表しました。そのメッセージは世界中の人々の感動をよびましたが、人づくりの根本はこのように多くのことを想像できる人を育てていくことと考えます。教育や文化関連の諸施策は、これまでの事業の継続と発展を基礎に、人づくりのために所要と考えられる事業を積極的に推進してまいります。



次に、本年度の主要な施策について申し上げます。



安全・安心のまちづくり


 昨年の福岡西方沖地震をはじめ、地震災害や度重なる台風の上陸による風水害などの災害が相次いで発生しております。また、毎日のように凶悪事件が発生するなど、今日では、かつてないほど安全や安心の確保が、市民の皆様の生活を支える基本となり、なお取り組んでいかなければならない課題となっております。
 対策として、最近、頻繁に発生しております水害につきましては、浸水被害の防止や軽減を図るために、排水路整備事業を進めてまいります。特に、能徳工業団地入口の排水対策につきましては、万全を期してまいります。


 また、砂防事業、急傾斜地崩壊防止事業を県と連携のもと引き続き実施してまいります。
 さらに、ため池の多面的機能の活用から改修、浚渫工事を計画的に進め調整能力を高めるとともに、浸水が恒常的に発生する地域の実態調査を行い、抜本的な対策を講じてまいります。


 次に、全国で相次いで子どもが被害に遭う犯罪が発生いたしております。このようなことから、学校等における安全管理の重要性が高まる中、安全マップの作成やパトロール等、今後とも学校・家庭・地域が一体となって、子どもの安全を守る活動を一層推進してまいります。
 次に、昨年10月に市内で起きました交通死亡事故をきっかけに、普通救命講習の受講を全職員に義務付けることと致しました。市職員が率先し、救命救急法を習得することによって、命の大切さや市民啓発に
繋がればと思っております。


 また、心臓に電気ショックを与えて、正常な状態に戻す自動体外式除細動器(AED)の使用が一定の条件の下で一般の人にも認められたことから、学校や公共施設へ設置してまいります。



福祉の充実


 誰もが住み慣れた地域の中で、健康でいきいきと暮らしながら、ともに参画し、支え合い、生きがいを持って暮らすことができるまちづくりを進めてまいります。
 障害者福祉につきましては、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法に基づく障害者への各種福祉サービスを一元的に規定する障害者自立支援法が制定され4月より実施されます。利用される方が身近な場所で良質なサービスが受けられるよう努めてまいります。


 また、障害者福祉計画の見直しを行い、長期的展望に立った施策の充実を図ってまいります。
 高齢者福祉につきましては、介護保険制度が大きく見直され、今年度より実施されます。今回の見直しは、制度の「持続可能性を高める」ことを柱とし、予防重視型システムへの転換、地域密着型サービスなどの確立、保険者の権限強化が盛り込まれております。高齢者福祉の面では、地域の連帯、支え合いがより強く求められる中、介護保険法の改正による変化に的確に対応してまいります。


 児童福祉につきましては、近年の多様な保育ニーズに対応するため、引き続き公立保育所と民間保育園が協力し、より充実した保育をめざしてまいります。
 放課後児童対策につきましては、新たに千束小学校区に「放課後児童クラブ」を開設するとともに、角田放課後児童クラブの開設の準備を進めてまいります。
 児童手当については、対象をこれまでの小学校第3学年から第6学年修了まで拡大してまいります。
また、母子家庭の母の就労等による自立支援対策として、今年度より「高等職業訓練給付金事業」を推進してまいります。



産業の振興


 まず、農業につきましては、生産基盤の整備として、ほ場整備を引き続き実施してまいります。本年度から角田北部の整備に着手致します。
 また、農業の近代化や合理化を図るための機械利用組合、安定した農業経営を目指した高収益型園芸農業の推進を図るとともに、農業の活性化と農道、ため池等生産基盤の整備に努めてまいります。


さらに、農林水産物や加工品の販売促進を図るため、商工関係者と連携した取り組みを行い、地場産業の育成を図ってまいります。
 商工業の推進につきましては、空洞化が進む中心市街地の活力の回復を図ってまいりましたが、今年度も引き続きTMO構想の推進を支援してまいります。
 また、東八まちなか交流センターを中心としたソフト事業に取り組むとともに、宇島駅前の街灯整備に対し、補助を実施するなど商業環境の改善を支援してまいります。



都市基盤の整備


 都市基盤の整備につきましては、住みたくなるまち、住みよいまちを目標に引き続き進めてまいります。
赤熊南土地区画整理事業につきましては、平成18年度で、工事関係はおおむね完了することとなっており、保留地の分譲を計画しております。分譲にあたっては、あらゆる方策を検討し、販売促進につなげてまいりたいと考えております。


また、薬師寺地区の宅地分譲も、4月より受付を開始いたします。市民の豊かな住環境の確保・向上と農山村地域の活性化等を支援してまいります。
公営住宅につきましては、建替整備計画に基づいて、本年度から上町団地第1期工事54戸の建設に着手いたします。
交通網の整備充実は、市民生活の安定、利便性の向上とともに、地域浮上にとっても不可欠の条件であります。先に申し上げましたとおり、2月7日の国土開発幹線自動車道建設会議で、念願でありました東九州自動車道(椎田南から宇佐間)が道路公団民営化で発足した西日本高速道路株式会社により建設することが決定されました。東九州自動車道は、豊前市にとってもっとも重要な基幹路線であり、一日も早い開通を要望してまいります。


次に、街路事業であります「上町・沓川池線」につきましては、新たに東側に延長してまいります。
また、市内幹線道路である「八屋・求菩提線」「四郎丸・野田線」等の道路改良工事の推進、京築広域基幹農道、林道の整備促進を図ってまいります。



教育・文化の充実


学校教育につきましては、今日、児童生徒の学力低下が指摘される中、しっかりとした学力を身につけさせるために、研究の成果を各校に広める研究指定校制度や教育研究大会等に引き続き取り組んでまいります。
また、様々な文化に触れ、子どもたちの豊かな人間性と多様な個性を育むことを目的とした文化体験プログラムを今年度も引き続き実施してまいります。


 次に、小規模校への加配教員の配置や不登校適応指導教室を継続して実施し、小規模校の活性化や児童・生徒の健全育成にも積極的に取り組んでまいります。
 また、障害のある児童・生徒の適切な就学を可能とするための施設整備、学校生活支援補助員の配置など受け入れ体制の整備に努めます。
 社会教育につきましては、コミュニティー活動の拠点となる公民館整備につきまして、財源確保で遅れておりましたが、今年度、山田公民館の改築予算を措置したところであります。


芸術文化面におきましては、文化団体など関係団体との連携のもと、地域の伝統文化の普及・拡大に努め、市民のニーズをふまえた文化活動を通じて地域の活性化を図ってまいります。
また、地域伝統芸能保存事業、文化的景観保護推進事業並びに求菩提山史跡整備事業を進め、貴重な文化財の保護・保存・活用に努めてまいります。


以上、市政運営に関する私の所信並びに主要施策の概要について申し上げましたが、今後の行財政運営につきましては幾多の困難を乗り越えて、私を先頭に職員一丸となり、全力でこれに取り組んでまいります。議員並びに市民の皆さまにおかれましては、市政発展により一層のご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。


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