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豊前市バスの概要と課題

豊前市バス運行1周年を迎えるにあたり、準備段階から実際の運行に至る取り組みと課題を列挙しました。

総務課交通防災係 作成


項目 内容
運行者 福岡県豊前市(人口 約29,800人)
運行開始日 平成14年4月1日
運行形態 道路運送法80条に基づく白ナンバー有償運行、市単独運行
運行目的 民間バス会社撤退に伴う通勤、通学、通院、買い物、スクール、学童保育等、市民の足の確保
運行方法 通学、通勤、通院、買い物混在。一部学童、通学専用
バス所有者・台数 豊前市所有 マイクロ3台、15人乗りバン3台
運行便数 365日運行(12月30日~1月3日運休 平日70便、日祭日38便(h14年11月1日現在)
バス乗降場所 86箇所
利用推定 年間114,000人(スクール、学童を除く)
乗車料金 乗車距離運賃 区界停留所により変動初乗り100円~500円 子どもは半額 障害者は半額回数券、定期券あり乗車料金はバス使用料として収入
その他 燃料、整備は徹底したコストダウンによる地元利用

豊前市の地勢

昭和30年4月、9ヶ町村が合併して誕生

総面積1⇒11.12平方km

東西7.5キロ、南北14.7キロ

耕地24.12平方km、宅地7.14平方km、山林69.53平方km、水面・河川その他7.17平方km

主要交通網

国道10号線およびJR日豊線によって構成される東九州ルートが東西に走る

北九州市から約45キロ、大分県中津市から南東方向に7キロの位置

人口 29,810人(h13年3月31日現在)

65歳以上の独居世帯1650世帯、65歳以上の高齢者7,523人(男2,959、女4,564)

経緯

民間バス会社は、豊前市内の4路線(岩屋、轟、畑、櫛狩屋線)を以下のように運行していた。

路線 平日 土曜日 日祭日 所要時間
岩屋 14便 12便 8便 40分
4 3 2 40分
畑、櫛狩屋 3 3 0 25分

使用車両48人乗り⇒中型バス~52人乗り

補助金の推移

年度 金額 備考
昭和63~平成4 180万円 -
平成5~7 200万円 -
平成8~10 300万円 10年7月 対策協設立
平成11 720万円 国庫補助
平成12 900万円 -
平成13 1700万円 国庫補助(上半期のみ)
平成14 3200万円 当初3400万円要求(スクール定期200万円、タクシー借り上げ30万円、学童保育移送70万円は別途市負担)
→バス会社との折衝で2500万円、スクールは市が車を購入して担当、岩屋線以外は混合で市が担当→合意に至らず

 

廃止代替バスとしての市バス

道路運送法の21条と80条について検討

21条バス(貸切バス、貸切タクシー代替)

ノウハウを持つ会社に委託。タクシーは輸送力10人。コストに難。バスは2割程度しか減にならない。公共交通のあり方を住民自ら考え、運行できるノウハウを自前で持つことができない。市民の要請に対応した効率的な運行をするとますます費用がかかる。

80条バス(自主運行バス)…自治体の直営か委託か

バスの購入費等初期投資はかかるものの短期間で許可を取得できる。運行経費の大半は運転手、運行管理者の人件費。工夫次第では地元採用でコストを落せる。

 豊前市は直営による80条バス運行を選択

直営による効率的一括運行管理

  • 時間帯別に効率的な運行で待機時間をなくす。
  • 市民ニーズに対応して利用者を増やす。→安い運賃:ワンコイン、増便:サービス向上、利用者に優しい:バリアフリー車椅子乗車
  • コストの大幅改善
    • 15人乗りバン3台(270万円×3台)
    • 29人乗りマイクロバス2台(900万円×2台)
    • 34人乗りマイクロバス1台(h5購入、630万円=スクール)
    • バス乗降場所(バス停)設置、時刻表・定期券・回数券の作成、運行管理事務所の改造、運転手の研修等を自前で。
    • バスの改造にコストをかけない。燃料・整備管理費の圧縮、管理事務職員の兼務。平均乗車密度が3人以下の路線は15人乗りバンを運行。
    • 運転手も運行管理者も原則的にパート採用(市採用の場合は半年で1ヶ月解雇)。
      運行管理者 市採用3人 シルバー人材センター派遣1人
      運転手 市採用5人(大型1人) シルバー派遣19人(大型2種:12人、1種:7人)
      運転手 市職員1人 -
  • バス運行には制度的な枠組みや制約があり、財政的にも困難が伴う。しかし、市民の移動の自由の保証は自治体の責任である。赤字は避けられないとしても常に利用状況を調査し、市税を投入することの是非を問い、改善し、市の負担をできるだけ軽減していく姿勢をとること。
  • 市町村合併に備え、コストダウンによる路線維持、公共交通ネットワークの再構築を図らねばならない。

80条バスの課題(運行開始および運行に関しての問題点を列挙)

  • 規制緩和によって地方へ権限が委譲され、新規参入がしやすくなっている。しかし、財源保証もなく起債の対象ですらない。バス購入費などの初期投資、年間の赤字は市の単独財源(国の特別交付税8割対象)。財政規模の小さい自治体には大変な支出となる。
  • 80条バスは『事業」と認められない。市営は望ましくないので「豊前市バス」という呼称とする。また、既存のバス停は道路運送法44-5により共同利用できない規定となっており、バス停の前後10mは停車禁止である。
  • 80条バスの場合、「運賃指導はしない」ということとなっているが、「同一地域内は同一運賃が望ましい」、「市の責任でバス会社との調整が必要」という当局の見解。運行開始まで調整に手間取ることとなった。
  • 80条に「地域協議会の協議結果に基づく」を前提に「特段の事情がない限り、許可は1週間以内に行う」とあるが、バス運賃は使用料と解釈され、条例事項(自治法244-2)となり、決定までにかなりの時間がかかる。公営企業や地方独立行政法人格を与えられた場合も小規模自治体はノウハウを持っていないために、いずれにしても新規の場合には半年以上の準備期間が必要となる。
  • バス利用者の声が市の場合には「陳情」として反映されやすい。その結果、政治路線やダイヤになりやすい。市内包括許可の場合、収支バランスと「利用者自ら責任を持って維持する」芽をどう育てるかの視点が重要となる。
  • 80条バスはスクール、学童、乗り合いと1台のバスを多目的に活用できる。市内であれば臨時便も自由に出せる。運賃を取る、取らないも自治体の判断となっている。予算の関係で予備車は持てないが、乗客が多い場合には市の所有するマイクロバスを活用。独立採算の公営企業の場合には原則として赤字運営はできないのだが、過疎バス、コミュニティバスでは低コストは実現できても、赤字ゼロは難しく、80条が有利と考えられる。

 赤字(収支)改善を目指す取り組み

  • ワンコインバスを目指す。バスを自転車に近づける。高齢者をマイカー利用からバス利用へ。
  • 徹底した情報公開。マスメディアの活用と市民のニーズの把握。
  • 市ホームページ、市報を通じて情報提供。
  • 豊前市みなと祭り(8月10日)、カラス天狗祭り(11月9日~19)にはバス無料開放。「バスの日」(9月1日)には記念ポスターを募集(幼・保育園、小学校)。車体に掲示。
  • 昼間ライト点灯運動、アイドリング・ストップで人や環境に優しく。バス路線対策協議会、市民、議会の声を聞きながら、路線の見直し、再編、ダイヤ改正を行い、利用者のニーズに合う運行とコスト減を目指す。
  • 定期的なダイヤ改正で実労働時間(営業)を増やす。運行所要時間の短縮なども行う。