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91話~100話

第91話 海のかけ橋ー山のかけ橋

「関門の海に橋がかかったそうじゃ」
「わしは昨日見に行ったよ」
「やっぱり、海に橋がかかったのか」
「ちがうちがう」
「海のかけ橋じゃないのか」
「そうよ、山から山のかけ橋だ」

第92話 うそよ坊主の頭はいわんよ

「君、おれをだましたのじゃないか」
「うそじゃない。本当だよ」
「ごまかすと、承知しないぞ」
「知っての通りわしは、うそと坊主の頭はいったことがないよ」
「そりゃそうだろう。近頃は御婦人でさえ、島田もまるまげもいわんのだから」

第93話 部長タイプ

「君は平社員には似合わんよ…部長かな…社長でもよいタイプだ」
「頭がよいからなあ」
「そうじゃないよ」
「企画性があって運営がうまく、どっしりしていると言うのか」
「違う違う、口ばかりで、手足を動かすことなら不精で、椅子を離れないからだよ」

第94話 酒のかんにきけ

「区長さん、区民が皆そろったようですが開会したらどうですか」
「わしは、何時始めてもよいのだがなあ、そんなことは、わしに聞くもんじゃねえ」
「じゃあ、誰に聞けばいいんですか」
「当たり前じゃねえか、そんな時は酒のかんに聞いてみるんだ」

第95話 座頭ー所ところにさまがある

座頭さんが琵琶を弾きながら
「♪ べんけいがな、ぎなたを持って、打ち振ったり。穂が八尺、幅八尺、さながら戸板を振るごとし…」
「座頭さん座頭さん、それじゃ向こう向き見えめえ」
「♪ところどころにさま(まど)がある…」

第96話 どもり

どもりの友を連れて中津へ行き、帰りに国道橋の上で、どもりが立ち止まって後ろを見ているから
「こら帰らんか、何を見とれとるか」
と、促せば、どもりは急に
「ベーッベーッ」
と、うなり出した。
「食中毒かな」と心配している間も、時々
「ベーッベーッ」である。
「困ったな」と、様子を伺っていうるち土佐井の下田井にさしかかった、
と同時にこのどもりは、吐き出すようにして
「ピン(別嬪)が居ったんじゃら」と。

第97話 こたつを温めてやれ

「おっとん、こたつはまだつめて」
「わかったこつ、今、火を入れたばかりじゃ」
「こげなんつめてこたたわりい」
「つめとうじ悪けりゃのーお前のけつはぐって、こたつぬくめちやれ」

第98話 むごが暑い

「暑いなあ」
「今年は何十年振りの暑さと言うじゃねえか」
「そうだう儀助さん方のむご(唖)が
「こりゃ暑い」
とものを言ったちゅうからなあ」

第99話 半殺しにする

山にさしかかったが日が暮れた。旅人は、あばら家を見つけて飛び込むが早いか
「婆さん、宿を貸してください。向こうの家で泊めてくれると言ったんですが、
おはぎをすると言ったから、これは大変と思って逃げて来ました。
「よかったじゃないですか。私も、あんたが泊まるなら半殺しにしようと今思っているんですよ」
「キャアー助けてー」

ぼたもちの別名が、おはぎ・杵いらず・隣知らず・半殺し

第100話 合間藁(おおまら)

下毛郡合間(オオマ)村にできた藁は質のよい事で評判がよかった。
それで村人達は、師走になると藁を小束にして中津の町に売りに出た。
或小柄な声のよいおっさんが、藁を担いで町中を歩きながら大声で
「おおまらーおおまらー、おおまらはいりませんか」
と叫ぶと、炊事中の主婦達が我先に駆け寄って喜んで買ったという。

昔は町人でも藁は必需品として僅かながら準備していた。しめなわ、たわし、束ねもの等に使う。

 

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