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81話~90話

第81話 東京弁に鼻もちならん

「今の娘は、都会かぶれで、おしゃれで、おませで困ったもんだ」
「そうちゃ、春子さんはなあ、小倉に3日間いって帰ったら、もう小倉言葉ばから使って、こばしやがるきなあ」
「そりゃうやしい方よ。夏子さんは、一週間後に東京に行くと言うのに、もう東京弁ばっかり使って鼻もちがならんよ」

第82話 おふくろの顔を忘れてみよ

「忘れるのは易しいが、覚えるのはむずかしいちこなあ」
わひは、忘れる方がむずかしいと思うがなあ」
「そんな馬鹿な、誰でも覚えることがむずかしいと言っているよ」
「でもなあ、わしは死んだ女房を忘れたいが、そんならあ前、おふくろの顔を忘れて見よ」

第83話 すててこが前後だ

「小便がはづんだので便所に飛び込んだが、困ったもんだ」
「そんなに人がこんでいたのか」
「そうじゃないよ。出らんのじゃ」
「膀胱炎かな」
「病気じゃないんだ。ズボン下のすててこを前後にはいていたのや」

第84話 あんな禿げ頭に

「遊んでばかりいないで勉強なさい。大きくなったらお父さんのようになれないよ」
「お父さんのように」
「そうよ」
「あんな禿頭に」

第85話 金仏がクワーン

弟の留守を幸いにお仏飯を食べて知らん顔である。
「兄ちゃんお仏飯をみんな食べたなあ」
「知らんよ」
「そんなら誰が食べた。ひとつもない」
「知らんよ、仏さんだろう」
「仏さんが食べるもんか」
「じゃ聞いてみよう。金仏さんお仏飯を食ったかね」
と言いながら、金仏様の頭をリン棒でゴッーン
「クワーン」

第86話 鼻の向いた方にー天に昇るのか

「もうこの年、いつ死ぬるかわからん。死んだら親兄弟にあえるきなあー」
「あんたん親父さんは何ぼで死んだかね」
「若死でなあー42じゃった」
「そんなら極楽で会うた時は、子供が85で親が42と言うことになるなあ」

第87話 菓子箱をおくれ

菓子箱をおくれと言った「折角君からくれた菓子箱じゃが、箱はとても立派なものじゃたが中味はちょっぴりだったよ」
「そうかも知れんなあー」
「どうしてだ」
「そう言えば、わしは買う時、菓子箱をおくれと言ったようだ」

第88話 算盤のカチカチは下っ端

「君は銀行に勤めていた程あって、金のさばきや算盤が上手でいいなあ」
「こんなものが上手だからつまらんのじゃ」
「上手でつまらんなど妙なことを言うな」
「銀行に行って見よ。金をさばいたり、算盤をカチカチやっているのは下っ端だ」

第89話 塩さえあればー

「君おこわ(赤飯、こわめし)があるが食べんかね」
「おこわ、そりゃうよばれるよ」
「君は、そんなにおこわにすいているのか」
「目のない程すいているのでなあ、塩さえあれば、おこわはいらんのじゃ」

第90話 ズボン下の上衣

鉄輪の温泉場で見た話。
風呂から上がったお客は湯煙で薄暗い更衣棚の前でシャツを着はじめた。裾を開いて頭を突っ込みながら
「スコッチのシャツは洗濯すると縮んで困る」
と独り言で頭を出し始めたがバリバリである。
やっと頭を突き出して裾を引き上げたとたん
「アッ!身丈が半分しかない。袖は馬鹿に長いではないか」

 

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